使者 一関砦
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葛西氏
現在の宮城県北部の地域を治めていた小大名。最大三十万石の領地を持っていた。歴代の当主は大崎氏との抗争に明け暮れ、結局は滅ぶ原因となった。
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一関砦
本来、葛西氏と大崎氏は仲が悪く、葛西親信が家督をつぐ1555年頃から泥沼の抗争に明け暮れ伊達の勢力拡大の一因となるんだが、急激な南部家の勢力拡大のおかげでめでたく和解と相成ったわけだ。
しかし長年の抗争相手をいきなり今日から仲間です、と言われて納得しているのかな?
盟主型の同盟はちょっと亀裂を入れるとガタガタになるからね。
ツッコミ処を探すとしますかね。
「南部家の使者として参った、城代と話がしたい。」
もちろん、先触れで了解は取ってあるけどね、アポなしで使者が行くなんて本来あるわけないんだが、アポを取って行って斬られるってどんだけーって思いません?
門が開き中に入る。ハイ、一の門の構造把握!山砦とかだと岩を利用して開かない飾り門とかあるから注意しないとね。
実際飾り門に破城槌をたたきこんでいて部隊が壊滅した例なんていくらでもあるから、こういう所を見ておくのにこしたことはない。
俺はこのナリ(黒装束)だから簡単に油断してくれるしね。
もちろん裏に土を盛るとかいろいろ手があるけど開く門、開かない門は知っておきたいね。
目暗だと油断しているのか簡単にに砦の館まで案内されました。
ごちそうさまです。
まあ、使者に目暗の僧を使うのはスパイじゃないですよって意味なんだが……ばれたら怖いから黙ってよ。
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「使者としてまいりました。八戸政栄です。」
「城代の葛西晴信だ、捕虜交換と聞いているが。」
「はい、今回は南部家の捕虜はいませんので金銭での交換といたしたいのです、あと大将格の方には、書状をしたためていただきました、これを。」
「フム、確かに、既に早馬で大崎殿に連絡を取っている、何日か逗留してもらっても構わんかな。」
「お役目でございますから。」
ええ、じっくり見させていただきますとも、感謝しますよ。
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一関砦
現在の一関市にあった山砦なんですけど、国道4号線を平泉から一関さらに築館に向かって車で走るだけで、なる程要害の地だとわかります。入り組んだ地形に崖と川、一番高い所に砦といった正に守り易く攻めがたい地であります。
一関砦は中世一関城と近世一関砦で少し場所が違いますがどちらも国内有数の要害の城であります。
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二日後 一関砦
【大崎義直】 「奥州探題大崎義直だ、使者殿顔を上げてくれ、それから話をしよう。」
久しぶりの土下座です、奥州探題って伊達が自称するのはこの人の後だったのか。知らなかった。
「では、失礼を、南部家家臣八戸政栄でございます。」
「それで、婿殿と一栗が生きているとは本当か!」
ほう、黒川は娘婿だったのか、なる程一族なのね、別働隊の大将な訳だ。
「はい、一栗殿は負傷しておりますが、命に障るものではないかと。」
「ほう、そうか、何よりの朗報である、感謝するぞ使者殿。」
以外…かなりまともな?主君なんだな、ふむ…話からして家臣団の結束は固そうだな……。
「はっ!、ありがたく、それで義直様、捕虜交換の件についてですが。」
「うむ、そちらの金額を聞こうか。」
「では、こちらは戦死者への一時金として一人百五十文を家族に渡しております。捕虜八百人で百二十貫、死んだはずの者が生きて帰ってこれたとお思いください、大将格は五十貫、まとめて二百二十貫でいかがでしょうか。」
「なんだ、たった二百二十貫でよいのか?……わかったそれでよいぞ。」
南部なら殺してくれてかまわんとか言われそうだな。家督は弟が継ぐとか言って。
「南部家は困窮している領も多いので、次の交渉でもこの位の価でお願いをしたく。」
「そうか!ハッハッハ、なる程な、わかった盟主として約束してやろう、伊達も文句は言うまい。」
「ありがたく、感謝申し上げます。」
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もちろん、大将格に千貫位ふっかけてもいいんだけどね。
何故安くしたかって、これも種なのですよ。
南部と戦う時はいざとなったら降伏すれば命が助かる、無理に抵抗して命を落とす必要がない、と認識させる事。
貧乏な南部はともかく、他の大名の所は捕虜になれば死なずにすむなら、もちろん誇りを優先させるだろうけど最終的に死ぬまで戦うなんてしないだろうね。
上がそうなら、一般兵は当然ね。
でもそれは、命を賭ける覚悟がないということ。
戦場での覚悟のあるなしは……言うまでもないよね。
でもまあどこにでも、九戸のような脳筋はいるからそこだけは気をつけないといけないな。
さて次からは、捕虜をとるのも頭に入れて作戦を組まないとな。
まあちょっとはやる気がでてきたかな、大将ごちになりますよ。
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