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帰路 雑賀

堺の町は本当に楽しかった。斎藤衆も良い休日になっただろう。

早く我が領の港もこの位に成長させたいものだな、さて田中殿の手腕は予想以上に早く、三日程で堺で手に入る物を南部丸に積み込むことができた。


駿河でやることも残ってるし早めに戻らないとね。しかし堺での成果は予想をはるかに超えるものだったな、やはり田中与四郎と言う超一流の商人の力を借りる事ができたのが大きかった。


駿河へ戻る事を田中殿に伝えこれからの事を打合せた。


まず、駿河に拠点となる南部商会を置き、荷物の集積地とする事、今回頼んだ荷物は駿河に送って貰う事に。


一から五号鑑までの南部丸を順次完成次第に八戸~駿河を運行させる事、駿河~堺は不定期か雑賀の船を使う事に、話し合いは田中殿に丸投げだ。


自分は三年後位を目途に新型の南部丸で堺にやってくるつもりであり、その時改めて計画を話し合う事。


八戸~駿河の大名や水運関係で協定を結び各港を南部丸で回る事


以上の事を田中殿と打合せた。


寄港予定地は、雑賀荘、伊勢、津島、駿河となるだろうって、まあそうなるよね。(泣)


数日後堺を後にした。


◆◆◆


帰路 雑賀荘


早速鈴木家に、味噌、醤油職人の返事を聞かないとね。


雑賀荘 鈴木家


なぜだ?鈴木家の当主とあうことになった。


なんかしたっけ?


鈴木重意(しげおき、左太夫) 鈴木左太夫重意と言う説有り


現雑賀孫一、雑賀衆の頭、実は鉄砲不得意?、まとめ役、一向宗 戦闘民族、目が人殺し、マイホームパパ。


「先日は留守にしていたため失礼した、鈴木左太夫です、雑賀のまとめ役みたいな事をやっている。」


「これは、丁寧な挨拶を、南部家家臣八戸政栄です。」


「先日は、うちの愚息が失礼した。」


「気にしないでほしい、なかなか楽しかった。」


気兼ねなくケンカなど、どれ位ぶりかなー。


「それで、これを改良してもらったと。」


おう、調子に乗って魔改造したアレか、うんかんがえなしにやった、こうかいはしていない。

というか、我ながら良い仕事をしているな。


「うむ、的に当たりやすくなったろう。あと暴発防止に火皿を加工しておいたぞ。」


「ここの繋ぎ目にあるこれは。」


「ただのネジだが?それがどうかしたか?」


「是非、この技術を教えていただきたい。」


うーん、まあすでにこの時代にある技術だし構わないか。

鉄砲を自作してるんだ、硬鋼の刃ぐらいなんとかなるかな?


「いいけど、一応秘伝の類だあまり広めないでくれよ。」


「そうですか、いやかたじけない、職人たちが余りに騒ぐ物ですから。」


むっ、堺で、硝石をタンマリ仕入れたなぁ、アレが作れるんじゃないか。


「左太夫殿、それなら工房を少しかりてもかまわないか?一丁作ってやろう。」


黒色火薬の配合率は有名だからいまさらだが、セルロースファイバーを使う白色火薬(無煙火薬)系の他にも、実は硝石を多く使用ムダする白煙系の火薬もあるのさ、爆発力は黒色火薬より上だが暴発しやすい弱点があるから種子島には向かないんだけど

火皿を改良した後期型なら射程が少し伸びるんじゃないかな。

まあ、銃身も厚くしないといかんけどね。


くくく、狙撃用種子島とでも名づけるか。


◆◆◆


火薬はとても危険です、よい子も悪い子も大きなお友達も火薬で遊ぶのはやめましょう。<(_ _)>


◆◆◆


鈴木家 鉄砲鍛冶工房


「で、こうして、ネジの加工をする、この工具は硬い鋼の刃をつかうこと、まあ鉄管が作れるなら自作できるだろう。熊八はできたし。」


さて、それでは本命の狙撃用種子島改二号の製作にかかりますか。くくく。


◆◆◆


パン!


「ふむ、有効射程は少し伸びたが、銃身が冷えるまでこの火薬は充填できんから、連射はできないな。」


「更に、銃の長さは倍だし取り回しも不便、火薬が強いため寿命も短いな。」


「と、申されると?」


「欠陥品ですな、ワハハハ。」


イヤー、興味のままにアホなものを作ってしまった、いや愉快、愉快。


「この銃は、いかがします。」


「ああ、左太夫殿、鈴木家の工房でつくったもの、欠陥品ですから潰すなりなんなり。」


「いただいてもよろしいと?」


「そんな欠陥品をですか?まあどうぞそんな物でよろしければ。」


◆◆◆


「せっかく左太夫殿に会えたのだから、商談をしたいのだが。」


「商談とは?」


「駿河に南部家の店をつくるつもりなので、堺や西国からの荷を運んで欲しい、このあたりは利権が絡んでいてわかりづらい。」


「なる程、縄張りなど目に見えないものが多いですからな、しょっちゅうケンカしてますし。」


「堺の田中与四郎殿に、荷を集めて駿河に送って貰うことにしているのでな。」


「わかりました、堺と駿河の間の輸送ですな。」


「運賃などは、田中殿に頼む故、そちらと交渉してくれ。」


「最後に味噌と醤油の職人の話だが……」


◆◆◆

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