常陸国 乱 その三十六 谷田部の戦い
戦は一気に動き出した。
右翼+本陣増援の部隊は鬼怒川沿いの小山勢を完全に敗走させ勢いのまま追撃態勢に入っていた、予め指示されていたとおりに追撃をしつつそのまま時計回りに中央を包囲すべく陣形を細長く伸ばしていた、半包囲に成功したと思われた所に敵中央からの横槍が入った。
伝令
「敵中央前衛が後退したところに後衛が突入、我が方前衛が混乱しております。」
チッ逃げる前の全力行動だろうが、タイミング悪すぎ今の前衛を下げて後衛で本陣と合わせて再編、止めの突撃陣形を作る予定だったのに。
八戸政栄
「ここは前衛を退かせ再編成しましょう、今中央で補充振り分けしている部隊と後衛で再編を終えた部隊に密集隊形を取らせて槍衾で前へ出します。」
小貫頼久
「壁の強化ですか。」
「足は遅くなるが仕方ない、正直選択肢が今はこれしかない。」
大阪夏の陣での徳川本陣の失態の例もある手負いの獣相手に油断は厳禁、騎馬の一手を使った以上無理せず今は守り重視だ戦況は既に大きく傾いてるこのまま戦列を維持したほうが良い、隙をみて左翼から兵を引き抜いて全体を斜線陣に移行、半包囲を完成させるべきだろう。
「ですね、事前の打合せで無い行動をとらせても混乱が広がるだけですし。」
まあねェ士気が高いから突撃!って言えば喜んで突っ込んで行くだろうけどその後コントロール不能になったら意味ないから。
徳寿丸
「うむ、では退き太鼓を!中央と後衛には伝令を走らせよ!」
「前衛に隊長格が少ないのを完全に見越されましたな、このまま頃合いを見計らっておそらくは戦場を離脱するつもりなのでしょう。」
「このまま前衛を抜き雪崩込む可能性は?」
真田幸村の特攻の例もあるがあれは全滅と引き換えだからできることで水谷殿は兵を自領に帰さないといかんからな……まあ無いだろう。
「……無いですね、もし来たなら本陣も参加してその場で水谷隊を包囲殲滅します、……まあ全滅する可能性がある選択を水谷殿がするとは思えないのですがね。」
「わかった!腕がなるぞ!」
………だから白兵戦すんなっーの!
◆◆◆
結城側 水谷本陣
皆静かに戦況を眺めている、何度も危機を乗り越えてきた者達だここが勝負所とわかっているのだろう、それに今より危険な状況は何度もあったこの程度なら動揺も少ないだろう。
「……正村様、いかがされた。」
水谷正村
「すまん、少し緩んでいたようだな気を引き締めんとな。」
「いえ、笑っておられたようなので。」
「ん、笑っていたかそれはいかんな……だが困難だからこそ生きている実感が湧こうと言うもの。」
伝令
「敵前衛算を乱し逃げ出しております、その後方から密集した槍部隊が迫ってきました。」
「逃げている方向は、敵本陣か。」
「千々に乱れておりますが、丘に向かっております。」
……ったく、これも織り込み済みか……熟練の大将でも退き場所を指定しておくものかね……だがそれでも一度騎馬隊を使ったのは我慢が足りなかったな対応は正しいが損害より詰めの一手を残すべきだったろう……密集した部隊、指揮をとる者がいない前衛、守りは硬いが亀では追撃はできぬぞ。
「荷物になるものは全て捨てよ!一掴みの干し飯を持って全力で駆ける!!敵正面から右へ転進!小山勢に追撃をかけている敵右翼に横槍をかけそのまま戦場を抜ける横槍の後は鎧を捨てても構わん!よいか全力で駆けるのだぞ!!」
「オオオオオオオ!!!!!」
◆◆◆
休みの日を見て、10日間隔位を目標に行きたいなーと<(_ _)>




