常陸国 乱 その十七
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常陸太田城
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「なるほど、南部地域の要である鹿島神社惣領家にヒモを付けるのですか。」
「軍師殿の手紙では、大掾家対策に貞国を傀儡にする案付きで詳細が詰めてある、この二つの案可能だと思うか?」
「大掾通幹は暗愚で現当主は親馬鹿ですな貞国を正当に評価してやればこちらに靡くものと考えます、鹿島神社は地域の要常陸を支配下に置くなら避けては通れぬかと。」
「よし了承しよう。どうせ南部地域を我々の支配下に組み込むには時間がかかるのだからな、協力的な惣領家の方がありがたい。」
「オマケにこの水運の相関図、下総香取と上手く渡りをつけねばなりませんが、これだけで毎年十万貫(石)を軽く超える取れ高になりますぞ。」
「無理な関税を掛けず育てれば成長するか、海路を牛耳ってるだけの事はあるな金の流れに目敏いのう。」
「舟を利用して霞ヶ浦に佐竹水軍を創設するまでの叩き案がきてますな。 少し急ぎ過ぎの気もしますが南部地域を押さえるのには必須条件だそうです、平時貨物船として使えば投資に見合う返りが期待できますな、投資……銭に関しては家中の議にかけて広く商人の出資を募るですか、金を回収するまでは商人は離れない……鬼ですな軍師殿は。」
「人格に問題があるかと思ったら、年相応のお人好しだしのう大領の当主でなければ軍師として我が家に招くのだがな。」
「誠に、惜しいですなあ。」
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後日、日の出の勢いで成長していく常陸国に一人の男がやって来るのだがそれはまた別の話で。
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土浦城跡 土浦港建設予定地
霞ヶ浦を無数の舟が埋め尽くしている、常陸南部地域の諸侯(どちらかといえば湖賊)の皆さんの舟である。
なかでも今は鉾田に本拠地を置く鹿島家の影響下にある鹿島水軍は中型船もちらほらと見られ中々の勢力であることを印象付けるられる。
「泰造、何隻あるか数えてみろ、大体で良いから。」
「は?これを数えるの、ああ……ひ、ふ、み、よ……」
「そうじゃない、敵の軍勢の大体の数を数える時と一緒でな密度を見る、一定の面積の中に何隻あるか、全体の割合で幾つかをみるんだ。」
「飛んでいる鳥の群れの鳥の数の数え方だったか、ほい八百二十二隻だな。」
「忍びの訓練に取り入れるよう言ってたんだが、お前一つ一つ数えただろ。」
バードウォッチングの初歩だが、一次世界大戦まではこのやり方が一番正確だったのよね、旗とか炊飯の煙とかでは誤魔化されるからな。
「正確な数が分かる方が良いじゃないか、数え間違ってはいないぞ。」
「はー、優秀すぎるのも考えもんだな、斎藤衆以外の一般の偵察部隊に覚えてもらうかな。」
「いえ殿、泰造がおかしいだけで我々は殿から教えられた方法でやっております、庭に色の付けた石を投げ置いて数える訓練をしてきてますから。」
「だよな、こいつがおかしいんだよな。」
「優秀と言ってただろ、なんだよおかしいって。」
「殿、塚原殿が到着しました。」
「わかった今行く、偵察部隊の運用は考え直さなくて良さそうだな斎藤衆の教師をつけるか。」
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「八戸殿、鹿島家の現当主治時様をお連れしました、さぁ治時様話していた八戸殿です。」
「鹿島治時じゃ危急の時元服を急ぎ参戦したため、このようなナリだが勘弁して欲しい、鹿島家の悲願成就に力を貸していただいて誠に感謝申し上げる。」
(オイ!爺さん何ガキ引っ張りだしてんだよ、俺はそういうの苦手だって言っただろ。)
(仕方ないじゃろ先代はとっくに死んだし、治時様の両親は既に亡くなっている、鹿島本家には治時様しかいないんじゃから)
「……佐竹家と交渉して、この後の領地替えで鹿島城と一帯を治めて貰うことに成る予定ね。」
「予定ですか?」
「うん、大掾通幹がグズッたら掃除しないといかんしね、部屋の掃除は大事だよ管理人としてね。」
「よく分かりませんが、よろしくお願いします。」
「よろしくされるのです、所でやけにお付きの人が少ないけど他の人は?家臣団とかは如何するの?鹿島水軍とは別組織でしょ。」
「本家の元直参たちに声を掛けてはいるのですが、とっくに他の家に奉公していたりして中々……」
(オイ!爺さんムリムリ、鹿島地区は三年後予定で十万石相当だぞ、本家惣領がこんな子供では他に食い荒らされるぞ。)
(数え十一の御主が言うなって十万石?なんじゃそんな話し聞いておらんぞ!鹿島は三千石じゃなかったか、ええいとにかく佐竹家のヒモ付きじゃろなんとかならんのか。)
(話してないしねーていうか計画性がなさ過ぎる件について。)
(急な檄文じゃったから仕方ないじゃろ、御主の責任でもある。)
(あるか~ー!なんか裏でコソコソしてると思ったらこんなん画策してたのか。)
(ワシ、有名な策士ですから。)
(うそつけ)
「あのー二人でなにを小声でやり合ってるんですかね。」
「治時様は気にしないで、ああ言う人達なんです放って置くのが一番ですから。」
「そ、そうなのか。」
(…………)
(…………)
「とりあえず、春とはいえまだ寒いですから風に当たっていると風邪をひきます、天幕の中へどうぞ。」
「わ、分かった。」
(………!)
(………!)
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