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常陸国 乱 その五

◆◆◆


「殿!佐竹家から書状が届いております。」


「どれ!見せてみろ……」


告 同盟者であり関東の静謐を護るべき家系の出でありながら、当主不在の佐竹家を襲うべく戦の準備をしていたことは明白でであり、砦や城の用意された武具などで証拠は既に明らかとされた、この上は速やかに縛につき自らの罪の清算をせよ。尚もくだらぬ妄想を実現出来ると思うなら城をでて決着をつけるべし、地獄に送ってやる故先祖に頭を下げて己の不明を詫びてくるがいい。


「なんだと!ふざけおって!!政貞!佐竹の軍勢は今どこにおる。」


「殿、佐竹の軍は北部の我が方の城や砦を蹂躙したあと小田城の北三里ほどの川沿いに集結しております。」


「よし!城の兵士を掻き集めて出陣だ!!奴らに目に物みせてくれる。」


「はっ!」


菅谷政貞


報告にあった佐竹の兵士は千名ほど、本城である小田城には二千程の兵士が常駐している二倍近い兵で圧倒すれば負けはしまいが、なんだ?なにかがおかしい、報告にあった集結した佐竹の兵、砦や城を蹂躙して回った兵数とは数が合っている、だがここにいるのは小田でも選りすぐりの精鋭、二倍の数の精兵を本気で攻めるつもりなのか。

罠では……だが殿は言いだしたら忠告を聴かない性格、味方同士で不和を起こすより今は兵の運用を考えるべきだろう。


◆◆◆


半日前


檄文が発せられた夜、闇夜に二つの旗がゆっくりと街道を南下していく、旗は扇に日の丸、片方の旗は日の丸が金糸で刺繍された逸品である。


「政栄よ、千五百しかない軍から二百も街道整備に回して大丈夫なのか?小田勢は三千は下らないはずだが。」


「ですねえ、各支城や砦の兵力をあわせれば最大五千を超えると考えています。」


「本当に大丈夫なのか。流石に本隊の数が少なすぎではないのか?」


「数が少ないのは行軍の速度を上げるためもありますが、この位の数だからできる作戦というのもあるのですよ。諸将には個別に指令を出していますが、そろそろ奇襲作戦の全体像を話しておきますね。」


「敵の支城や砦に常時詰めている兵は三十人ぐらい、軍を四つに割り各砦や支城に兵を三百づつ十倍の兵を当てて、朝までに人口の多い街道沿いの城を八つ、ついでに近隣の砦を奇襲で落とします。」


「城や砦が落とされれば、そこに集合予定の兵士が他の城や砦に移動したり戦の準備をしてるとはいえ人口密度の低い山間部の砦に兵が集まるのにはかなりの時間がかかりますからな。」


「城を落とすのが目的ではなく、兵士が集まるのを妨害するのが目的なのか。」


「そうです、本城である小田城でも二千が詰めているかどうか、朝までに彼我の兵力差を二千対千まで縮めたいと考えています。」


「なるほど、夜間の奇襲で城を落とす事にこだわったのはこの様な意味があったからなのか。」


「ええ、早朝には小田殿に挑発の書状が届く予定ですから、岡本殿の秀作ですよ、書状を読んで城を飛び出した小田勢が戦場に集まった時には二千を切っているかもしれませんなぁ。」


「なるほどな、では二千対千での戦も策があるのだな。」


「まあ、用意しているのは三つ程、一つは一応そんなことはないと思いますがもしかして全軍出撃して城が空になっている時がたまにありますので別働隊百を後方撹乱のため送っています。」


所謂いわゆる気休めか。」


「ええ気安めです、ですが膠着状態になったときの退路遮断は効果が期待できますから、やっておいて損は無いでしょう。」


「分かった残りの策は?」


「一つは一当ひとあててして思ったより敵の攻撃力が高かった時は少し引いてくの字陣形の罠に嵌めてさしあげます。」


小姓とはいえ、未来の精鋭、中級指揮官位は期待しています。とくに猛虎のバカにはね。


「弱かったらどうする、って事も無いんだなそのまま押し切れば良いのだな。」


「策でも何でもありませんが、押し切ると期待しています。」


佐竹の本城詰めの精鋭部隊だからな、もしかしてやっちゃうんじゃないかなーなんてね、イヤイヤ戦はそんな甘いものじゃ無いよねわかってるわかってる。


「よし政栄よ、私の初陣だ景気よくいくぞ!!」


「オオオオオオオオオ!!!!」


ウーン、この子もしかしてアッチ側の人だったのかな?伝説も誇張なかったりして。


まさかね。


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