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鉄鋼流通

◆◆◆


共同鉄鋼工場


愛姫 「……鉄道馬車計画ねえ、そうですね重量物の輸送に川下りの小舟では限界がありますからね。わかりました、共有財産ということで予算をだしましょう。」


「ありがと、蒸気ボイラー動力の鉄骨クレーンを積む予定の新南部丸二号艦、港区や造船所にも新しいクレーンを設置していくから輸送能力は格段に上がる予定だよ。」


「鉄骨とか、ええとスプリングだったかしら、重量がありすぎて船が沈む様な物を作って如何するつもりかと思っていたら、クレーンを改良していたとは、新南部丸も改良してるなら積み込みも早くなるわね。」


「鉄鉱石やくず鉄の輸送にも使えるからね、鉄道馬車を組み合わせれば、高炉の稼働率も格段に上がる予定だからね。」


「上がるのはいいんだけど、玉鋼や銑鉄はあまりやたらには市場に流せ無いわよ、その辺はどう考えてるの?」


「上方で鉄砲が流行り出してるから。銑鉄の需要は拡大傾向にあるかな、後はうちの領で刀鍛冶の育成を計画してる。鉄砲は売らない方向だけど刀や槍は売ろうかなと思ってる。」


「鉄砲はなんで売らないのよ?」


「雑賀に銑鉄とコークスを卸そうと思ってる。鉄鉱石の銑鉄化は本来大量に燃料を消費するからね、うちの高炉みたいに効率が良くないから鉄の値段があがるんだよ。」


「なる程低価格の銑鉄を鉄砲の生産地である雑賀に流すのね、玉鋼だけでは頭打ちだったけど……」


愛姫…… 鉄骨を作ったりクレーンを改良してたのはこの布石か、何処まで先を見てるのか一度問い詰める必要があるわね。


「値段を下げた銑鉄を雑賀に流して、需要が無くなって値段の下がった鉄鉱石を仕入れる流れを作ろうというのね。」


……流通で鉄の生産地を牛耳るつもりね。


「でもそうなると、いずれ石炭が足りなくならない?鉄鉱石は買ってくればいいけど、石炭を売っている所は少ないでしょ。」


「九戸の石炭で足りなくなる頃には東北で最大級の炭鉱を手に入れる予定だからね。」


「……やっぱりね、うちにもちゃんと噛ませなさいよ。」


「もちろん、炭坑を開発するノウハウは九戸にあるんだし管理は全て任せるよ、鉄鋼関連を全部管理するなんて面倒くさい。」


「そうねえ私と政栄殿だけで回しているのは如何しても限界があるわよね、販路に関しては雑賀と田中殿に任せるつもりなんでしょ。」


「餅は餅屋、運送に関しても雑賀や水軍連中を雇って相互依存の関係を作ってズブズブにするつもり。」


「鉄の生産地、海を間接支配するつもりね。」


「なんのことやら?うちはまっとうな商売しかしませんよ。」


「新南部丸を持っている時点で嘘じゃない、あの武装で誰と戦う気なのよ。」


「ん~進路を阻むものすべて?」


「海は直接支配するつもりか……」


「心外な、バリスタに炮烙玉を組み合わせて打ち込むだけですよ。」


「それが凶悪だって言ってるの!石巻沖の海戦の話は聞いてるわよ、新南部丸と南部丸三隻で石巻、相馬、岩城の水軍を全滅させたんでしょ。」


「いや、三陸の水軍、函館、田名部、それに安東だって九戸丸で加勢してたじゃないですか。」


「速度の速い三隻で混乱させて一網打尽にしたって聞いてるわよ、九戸丸はどちらかと言うと敵の船員救助してたって報告を聞いたわよ。」


「ハッハッハ、海のルールですよ、彼らもいずれ俺の為に働いて貰うんだからね簡単に死なれては困ります。」


「優しい鬼とか、タチが悪すぎて言葉がないわね。後で九戸丸も帆柱を改装して貰うから、よろしく。」


「……ところで話は変わるんだけど、実親殿が“義姉上、木砲を買って下さい”って煩いんだけど、どういう事?」


「あーよっぽど気に入ったんですかね。中新田城で撃ちたいっていうから撃たせたんですがね。」


「撃たせたって……鉄砲のデカイのなんでしょ、鉄砲だって今はとんでもない値が付いているのに、しかもそれ使い捨てなんでしょ。」


「……木砲か……たしか愛姫には火薬製造マニュアル中級編を渡してましたよね。」


「ええ、一応全部試してみたわよ、調合比率が分かってるのがあれほどありがたいとは思わなかったわ。」


「木砲は作りは簡単ですから、サンプルを売りますのでそちらで製造販売しても良いですよ。」


「え?いいの?八戸の主力武器では無いの?」


「まあ、いずれ広まればマネされる物ですからね、マニュアルの最初にある黒火薬でも十分使える代物ができます、それに敵国で作られる位なら我々で大量に作って安く売ったほうがまだましですからね。」


「鉄砲より安くて威力があるなら、買ってくれるか……値段設定を考えて……」


……木砲が流行ったら、大砲を、大砲が流行ったら、改良火薬で射程をのばせば二十年はアドバンテージがとれるかな?

それと木砲は火薬をかなり消費するからね、実際問題そちらの方が利は大きいかな?今のところ硝石は有限で希少だからね。


「わかったわ、サンプルを開発費込みで買います、販売に関しても任せてくれるんでしょ。」


「七年後まで東北で流通させない条件でなら、構いませんよ。」


「サラッと恐ろしい宣言しないでよね、やりかねないっていうか、政栄殿の中では既定事項なんでしょうね。」


「ええ、南部家による奥州統一です、次の戦からは一気に南下していきますよ。」





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