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海の不穏

再開いたします、お待たせしました。よね?

◆◆◆


「若、石巻に不穏な動きが。」


「いつかは来るものと思っていたけれど、予想以上に早かったね、敵は?」


「伊達家勢力下の石巻水軍、相馬家勢力下の相馬水軍、岩城家勢力下の小名浜水軍とのことです。」


……偶然かな、それともうちの弱点をわかって仕掛けてきたのかな。どちらにしろうちの生命線である海路に手を出したらどうなるか教えてやらないとな。


「仲の悪い二家が手を組んだか偶然にしてはできすぎだな、……あらかじめ晴政様に緊急事態には水軍の指揮権を執ることを了承してもらっている。南部の勢力下にある安東、函館、田名部、八戸、三陸の各港に連絡を入れて三陸で合流、石巻水軍をを迎撃する。」


……敵方の三港ともに寄港したことがある、……南部丸を知っていてなお挑んでくるのか、海戦はまだ経験したことが無い、気を引き締めていかんとな。


「……まて、佐竹家に協力要請して縁故のある鹿島水軍にがら空きの小名浜や相馬を襲わせるか……足りんな……千葉家や里見家にも声を掛けてみるか。」


「小型快速船で向かわせれば六日程で銚子に着きます、途中鹿島によっても七日程かと。」


「それほど親しい訳ではないけど、空き家を好き放題できる機会だからな、我ながら酷い策だとは思うけどね。」


……相手からの侵略だ今回は根拠地ごと壊滅させる必要がある。


「すぐに快速船を出航させます、各港には普通に船を向かわせても余裕でしょう。」


「そうたなあ、新南部丸には解体してないバリスタを積んでおこう……バリスタがあるか……実親殿から貰った硝石で炮烙玉を作って……三日あれば五十は作れるだろ、あれの在庫は幾ら残ってたかな?」


「炮烙玉でございますか?なにか考えがあるのですかな。」


「ん?ああ、バリスタで敵船にワイヤーを撃ち込んで滑車に付けた炮烙玉を敵船に送り込むんだよ、百発百中だな節約節約。」


「新南部丸や南部丸の巨体なら上から攻撃できますから、速度差が無いときなら十分可能ですな。」


「速度差かふむ、まあ外れたら引き上げればいいんだしね、そうだ改良した連装弩塔は南部丸に積もうか?いやあれはまだ火矢を撃てるように鉄板で改良してなかったな……使えると思うんだが今回は見送りだな。」


「それほど武装しなくとも新南部丸と南部丸があれば余裕ではないですか?」


「爺、海戦は船の大きさでは決まらないんだよ、如何に海戦に慣れているか、戦闘訓練を積んでいるかなんだよ。」


「では、負けようがありませんなぁ、毎日のように船団行動の訓練しながら漁をしてますからな。」


……うーんあれは単に魚を効率よくとれるよう船団を組ませてるだけなんだが、まあいいか。


◆◆◆


港区


緊急事態に港区域で働いている全員が集められ二万人以上のひとが集められていた。


「皆聞いてくれ、八戸領の発展は海路の安全にかかっているといっていい。我々の生活の基盤を脅かす今回の敵は全力で叩きつぶす!我らの力をみせてやろう!!」


「オオオオオオオオ!!!!」


「では、各自仕事場に戻り戦の準備に入れ!!」


棟梁 「えらいことになったな、水軍三つまとめて相手かい。」


「まあ正直な所、足の速い新南部丸が無かったら作戦計画段階でかなりヤバかったな、三本マストの船を作っておいて本当に良かったよ。」


「半分冗談とか言ってなかったか?まあそこは嬉しい誤算だな。それより新生新南部丸の初陣だしっかりやってくれ。」


「ところで旧式の南部丸二隻は仕方ないとして、後期型で完成している十一号艦一隻では心もとないから、改装している南部丸の一号艦と二号艦は出せないか?」


「一号艦は船体にガタがきてるから、しばらくかかりそうだが二号艦は三本マストへの改装も終わって快速船仕様になってるぜ、後はタールを塗るだけだから明日中にドックから出せるぜ。」


「防水防火防腐、ちょっと小さいが黒船だな。北条へ渡す予定の六~十号艦は旧式のままでないと操船できないから仕方ない(悪)として一~五号艦、十一号艦からは全て三本マストに仕様変更だからな二度手間をかけちゃったね。」


「なに問題ないさ、そろそろ本格的な修理が必要だったんだ、鉄骨を三本入れて船体強化してるし、三本マストでも十分耐えられる、排水量が下がるのは残念だがな。」


「戦力は新南部丸が一隻、改装済みの南部丸が二隻、前期型の南部丸が二隻、小型の快速船は戦闘向きじゃないから除外、普通の船が八戸領だけて二百程、小型船は使わないっと。」


「敵方の戦力は?三つの水軍合わせて何隻なんだ?」


「爺、細かい数はいいから、おおまかで何隻だ?」


「此方から見て、中型船が三百隻程、小型船は千隻を超えるかと。」


「オイオイ勝てるのか?」


「うーん、正直な所を言うと、相手が木砲を持って特攻してこないかぎり火矢では南部丸は沈められないからね。」


「そうですな注意するなら鉤爪で登って来た連中を片づける時だけですかな。」


「弓隊と工兵から選抜して南部丸に別れて乗って貰うとして、中型船は二隻の旧式南部丸を中心に船団行動して旧来の戦い方をして貰うかな、旧式の船は新南部丸の速度に付いてこれないからな。」


「新南部丸と改装済みの南部丸二隻で如何するつもりだい?」


「いや、特になにも特別な事はしないよ、訓練どうり単縦陣で連なって旋回しながら順番に沈めていくだけさ。」


「そういうところがおっかねえんだよなお前さんは、まあ火矢も十万本単位で南部丸に積み込めるからな、矢が尽きる事も無いだろう。」


「大量生産品だから、多少の不良品には目をつぶるさ。」


「おいおい、矢を内職してる連中を舐めるなよ不良品なんか一本もねえよ。皆戦にでてた連中なんだからな。」


「おっと失言だったな、わかったありがたく使わせて貰うよ。」


「火矢用の連装弩塔も完成してればよかったんだが、後は火矢の部分を鉄板で被えば完成だったんだがなあ。」


「まあ仕方ないさ、今回は多分問題ないよ大型艦が相手には無いからね中型船の動きに注意していれば小型船では体当たりでも止められないよ。」


「だからって過信するなよ、タールを塗ったり、防火仕様にしてても火は着くんだからな。」


「わかったって、棟梁達が造った船だ信頼してるよ。」


◆◆◆


六日後


三陸沖


「安東領から南部丸級が一隻来るとはな、正直ありがたい後で礼を言わないとな。」


各南部領から中型船をかき集め三陸の各港から小型船を徴発して、新南部丸を旗艦として千隻程の船団を組んで石巻に向かっていた。


「三陸の港には避難するように勧告しておいたから人的被害は出ないと思うが……せっかく海側も景気が良くなってきた所なのに、余計なチャチャ入れやがって、今回策略を仕掛けてきた奴にはいずれお仕置きしてやらんとな。」





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