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新三戸領 細々

不来方城


「晴政様、八戸殿から書状がとどいております。」


「またか、内政は信愛に回せと言っておるのに。どれ……」


「……よく意味が分からんが、まあ良いだろう、早馬で来ておるなら今書状を書いて渡すから待たせて置け。」


……ワシの奥方に会ってなにか得るものがあるのかのう、まあ三戸本城には信愛が入っているから変な事にはならんだろう。


◆◆◆


三戸城 


北信愛は二千石を加増されただけでなく本城の守りを任され剣吉城から三戸城へ移り城代として一帯を治めていた。

日々強大化していく八戸領と飛び地が多い九戸領に囲まれたある意味危険ではあるが、安全とも言える地帯でもある、内政関連なら南部筆頭の北信愛が任されたのは当然と言える流れなのかも知れない。


信愛 「相変わらず足が軽いですね。今回は何用ですか内政関連なら書状で十分ですからね、直接となると込み入った話ですか。」


政栄 「イロイロ有ってね、少しというか、かなり頼み事がね。」


「ふむ、頼み事とは珍しいとりあえず聞きましょう。」


「いきなりで悪いんたけど本家筋の家臣格位の十代の嫁を三人ほど紹介してくれない?」


「家臣の縁談ですか、家格はどの位の家ですか?」


「先代の家臣だった息子達だ、元服、初陣は終えている将来有望ということでよろしく。」


「ふむ、今は五十石取り位ですか?」


「一人は、百五十石で二人は百石だな、ああ百石は現物支給だがな。」


「現物支給でも貴方のお墨付きですからね、問題ないでしょう。ここの家はまずいとかありますか。」


「いや、特に揉めている案件はないから何処でもいいんだが、なんとなく実家は近い方がいいのかな?」


「あまり近いとそれはそれで、ところで後見人は……」


「俺。」


「ですよね、分かりましたそれも含めて探してみましょう、それで他には何か。」


「後うちの姫なんだが。」


「いつの間に子供をって、ああ、鈴姫のことですか。」


「うむ、俺も武家の姫としての常識とかよくわからないし、三戸城なら本家の姫様が沢山いるだろ、イロイロと学ばせたいんだが。」


「なるほど領地替えで問題が無くなりましたからね正式な姫として復帰というわけですか、たしか数え十歳でしたな……晴政様の許可があれば、奥方様につなぎを入れてみますが。」


「奥の事は分からないから、任せるよ晴政様には早馬を出してるから明後日には返事がくると思う。」


「本当に早いですね、となれば奥方様への贈り物とかは持ってきてますか?」


「当然、こんな事もあろうかと京や堺から取り寄せておいた腕利きの職人が作った物をイロイロとね、あとうちの領で採れた物で作った甘味とか珍味とかイロイロ、あと許可してくれたら滞在中はうちから食材を大量に送らせて貰うぞ。」


「海産物や生ものは滅多に食べられないから助かります、話は聞いてますよ馬車に水槽を付けるとかよくやりますね。」


「水槽はちょっと贅沢だけど、活きの良いのを食べる為だからね板バネを開発した時ついでに作ってみた。」


「女性は贅沢を覚えると手が掛かるようになりますよ。」


「八戸領ではそれ程、贅沢な物でもないんだがな。」


「うち(三戸領)でそれだけの物を交換するとなると大変なんですから、贅沢は覚えさせたくないですね。」


「あーそれなら、定期的に旬な魚を送るようにしようか、上納品とは別に。」


「もしかして、生きた魚を売り歩こうとか思ってませんか。」


「ほほう、なんのことかな~?だが欲しい人がいるなら、しょうが無いかな~道の続く限り行くしかないよね。」


「売り上げから幾らか納めて下さい、関所の許可は出しますから時間をかけずに通れるようにしましょう。」


「大胆だな、と言っても物々交換だから、清算は一括で海産物にしてくれない?」


「では、関所でこちらからの持ち出しを記録しますから……量もありますから一月毎に清算しますか。」


「じゃあそれでよろしく。」


政栄…… うまく乗せられた気もしないでもないが、まあいいか。行商の許可取れちゃったな~、改造馬車増やそうか、水槽でなら種類によっては三日は持つしこの辺では生きた魚は贅沢品か。ふむ八戸領で不足気味の野菜や山菜に変えられればこちらとしても万々歳だな。

こういう小さな商売が以外と侮れんのよ、経済を活性化させる良い刺激になるからね。魚問屋に話を通して行商させて、野菜や山菜はうちで買い取ろう、馬車はしばらくは無料提供でいいか。軌道に乗ったら買わせればいいんだし。

思わぬ収穫もあったが本命に戻ってと、堺から着物とか送って貰ってたのとかどこの倉庫だったかな、一番良いのを着せて送りださんとね。あれ?そういえば着物の小物類って派手になるのは江戸時代からだっけ……。売ってるんだから小袖や帯はあるよな、小物類は殆ど見た記憶が無かったな。元禄文化では派手な着物の絵があった気がしたが……


売れるな。


よし!帰って着物造りしてるおばちゃんの所に話を聞きに行こう。余裕がないと贅沢はしない物だから、大名の奥さんとかに送るって手もあるな。

一点物は高額商品だし、奥方の為に散財する大名や武将のデータはそろっている。まあ俺に小物類のセンスがあるかどうかは別問題だがね。

今のうちに職人を育成しておくか、豪華絢爛な桃山時代は近いからな。蓄財蓄財。


信愛…… 上手く手に乗ってくれたというか、最初から考えていたようですね。食糧をかき集めている情報が入ってますからそれ程アコギな商売にはならないでしょうし。生ものは売れなければ値段が下がる物さて、誰が一番得をするやら。

干物も良いのですがやはり生の魚は美味しいですからね、おっと私も八戸領の毒にやられつつあるのでしょうかね、欲というのは際限のないものですから。


◆◆◆



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