61 家族会議2
「……すごいわ!」
侍女の姿を見た王妃はその小瓶を大事そうに手元に寄せた。
「いつの世も女性は美しくありたいと願う。これはそんな乙女心をくすぐる魔法薬だ。様々な魔法薬が開発されれば公爵家の支援金などはした金だろう」
「ユーグの言う通りね。これにいくらでもお金をかける女性は多いもの。ユーグがこの魔法薬を作れば王家も安泰ね」
メルローズ妃は満面の笑みを浮かべ、そう話をする。
「母上、残念ながらこの薬はクロエが作ったもの。俺には作れない。俺は魔法円を作るのが得意だからな。国の魔術は今、クロエ一人のおかげで成り立っている。彼女を失えばどれだけの損失になるか分からない」
「……そうなのね。失われた魔法を馬鹿にしていたけれど、とても有用なものなのね。分かりました。私からもポストマ公爵令嬢には諦めるように勧めるわ。そうね、隣国の第三王子を紹介してあげるわ。彼も優秀だと言うし、彼女好みだと思うわ」
「ああ、父上。婚約白紙を一刻も早く頼む」
「分かった。ユーグ、本当にそれでいいんだな?」
「ああ。全く問題ない」
こうして急遽始まった家族会議は終わったようだ。
私たちは魔術師顧問の部屋へと移動する。
いつもと変わらない部屋。
久々に部屋に戻ってきたけれど、書類が積まれている様子はなかった。




