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 二層二階で見つけた泉での経験値釣り。

 それから泉は二層一階でも見つかり、そこでも釣りをした。



 二層三階は――。


「もしかして、さらに『下』に来たのか?」


 二層三階は、洞窟の中だった。

 薄暗く天井から水滴が落ちる音が大きく響きわたる、鍾乳洞。

 天井の岩にはわずかな裂け目があり光が差し込んでいるが、そこから上を覗くと巨大な山が見える。

 多分あの山だろう。


 ということはなるほど、1階が山の上、2階が山の麓、3階が山の下、とどんどん下ってきてるんだな。

 地面の下の洞窟より下ってどうなるんだ?

 次の階が気になりつつ、3階の探索を始めた。


 3階はサクサク進むことが出来た。

 泉でしっかりとレベルを上げたおかげで、3階のモンスターも問題なく倒せるようになっていた。

 さらに再び爆炎のクリスタルも手に入っていざという時のための備えもできて、順調に3階の洞窟を進んで行き、そして例の次の階へ進む台座を見つけた。


「もう見つかった、早かったなここは」


 それもこれもしっかりとレベルを上げておいたおかげだ。

 やはりレベルは全てを解決する。レベルを上げて物理で殴れば万事それで良いのだ。


 さて次の階はどうなっているか――。

 俺は台座の上の白い霧をくぐる。




「……そうきたか」


 ダンジョン第二層4階。

 洞窟より下はどうなるかと考えていた俺だったが、今目の前に広がっているのは、目も眩む高さの崖、遥か上まで伸びる岩肌、広がる空。

 第二層1階と同じ景色だった。


 とてつもなく巨大で高い山の中腹。完全に見覚えがある場所だ。

 だが、戻ったのでないことは岩山の色でわかる。

 二層1階は茶色い山肌だったが、ここは灰色の山肌となっている。

 そして空の色も変わり、夕焼けあるいは朝焼けの赤い空だ。


 おおよそ二層の構造は理解できた。

 山を降りていく3層構造が繰り返されるんだ、色が変わりながら。

 一層とはまったく異なる趣向の二層。

 ダンジョンを創りし者、なかなか凝ったことするな。仲良くなれそうだ。


 景色を目に焼き付けたところで、進み始めた。

 灰色の山肌が赤色に照らされると不気味で、より危険な場所に来たことを感じる。


 その赤灰色の中に、色の違う岩を見つけた。

 やった、宝の在処はこれまでと同じみたいだ。


[雷の指輪]

・雷による攻撃に耐性を得る

・雷攻撃を受けると経験値を得る。


 うわめちゃくちゃいい防具が。

 耐性がある上に、経験値の能力もしっかり付与されてる。

 炎帝の剣と似たようなタイプの経験値獲得条件だな、属性系はこういう感じか。

 早速装備しよ――


 ぬっ。


 うとした瞬間、岩陰から姿を現した虎の獣人と目があった。


「えっ」

『グルっ』


 お互い予想外のことで、目があったまま一瞬固まる。


 二足歩行で剣を手に持った白虎の獣人が漆黒の双眸で俺を見つめている。

 ここまで2ヶ月ほどダンジョンに潜ってきた経験が俺にはある。

 だからわかった、こいつは戦ってはいけない。


 なんて俺が思ったところで相手が許してくれるわけもなく。

 獣人のモンスター『戦虎』は剣を突き出し俺に突撃してきた。


 速い。

 これまでのモンスターの中で最速だ。

 俺もレベルが上がって能力も上がっているが、それでも避けきれず剣が脇腹を抉る。


 さらに素手の方の手で追撃の爪撃がきて、左腕が引っ掻かれる。

 

 服が破れ、体にも爪傷が三本しっかりつけられる。


「この攻撃力……!」


 耐久力スキルとレベルアップ、さらに装備で防御を固めた俺の防御を易々と貫いてダメージを与えてくる。

 この階のモンスター桁が違う。


 ダンジョンの様相が変わったのは合図だったのだ。

 ここからが本番、危険地帯だと。


 こっちも反撃を試み剣を振るが、爪で弾いて攻撃が防がれた。

 虎のパワーとスピードに人の技術も持ち合わせていて隙がない。

 さらに防いだ返す刀の斬撃で頬に一文字の傷をつけられる。


 これは…………無理だ、逃げるが勝ち。


 レベルを上げて物理で殴るを敵の方が実践してきてる。

 こちらよりスピードもパワーも防御も上。

 こんな時のためにアイテムをとっておいてよかった。


 まずは爆炎のクリスタル!

 炎が巻き上がり戦虎を包みこむ、その間に俺はその場から駆けて逃げる。

 炎から出てきた戦虎がこちらを追いかけてくるが、そこに落石のクリスタル。

 モンスターに直接当てるのではなく、俺とモンスターの間に落石が振るようにして足止めに使う。


 そして極めつけは煙玉。

 二つのアイテムで距離が離れたところで、煙幕で視界を遮り、その間に全力ダッシュで遠ざかり、姿をくらませることに成功した。


 モンスターのいなくなった山道で俺は胸をなで下ろした。


「なんとか逃げ切れたか。……でも、この階はだめだな」


 あんなモンスターが徘徊してるところにいたらすぐゲームオーバーだ。

 もっと鍛えてからここに来ないと。


「いったん前の階に戻ってレベル上げ直しか。どれくらい上げればいいかな……いや待てよ? もしかしてこれを使えば」


 俺はインベントリからさっき手に入れた[雷の指輪]を取り出した。

 その効果は


・雷による攻撃に耐性を得る

・雷攻撃を受けると経験値を得る。


 と記されている。


 これだ、この指輪を使えばこれまでにない稼ぎができる。

 おそらくこの階で無理して探索するよりずっと安全かつ効率よい稼ぎが。


 ステータス画面の経験値が増え続ける様子を想像すると口元が緩んでくるな。

 早くやろう、試してみないと。


 俺は前の階層に戻るゲートをくぐった。

 レベルアップへの期待で胸を膨らませながら。


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