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フィッシュ!フィッシュ!フィッシュ!

 釣り糸を垂らし、当たりがくるまで待ち、当たりが来たら釣り上げた魚が光を放って経験値になる。これを繰り返して経験値を稼ぐ。

 鉱石を採掘して光となって経験値を稼いでいた時を思い出す作業ゲー。


 しかしあの時と違うのは、釣れる魚にバリエーションがあることか。

 最初に釣れたのはモモフナだったが、他にももっと大きなナマズや、なぜかアメンボが釣れたり釣れるものが何種類かあり、それによって経験値にも大小がある。

 お察しの通りアメンボは少なくオオナマズは経験値が多いが、平均すると一回の釣りで2500くらいの経験値を入手できている。


 泉を見つけてからスタミナ切れまでひたすら釣り続けて、レベル17にちょうど上がった。40匹くらい釣ったことになる。


 翌日もダンジョンに入るなりすぐに泉に向かい、釣りを始めた。

 場所は覚えていたし、釣りを長時間続けているうちに泉自体が魚のように輝き始めた。経験値の特殊効果が泉自体にも及んだかのように。

 道を間違えずにすんで便利だが、しかし釣りを始めてしばらくすると想像通りのことが起きた。

 初日の最初は5分もすれば釣れてたのだが、二日目の今では20分近くかかる。

 泉の魚が少なくなっている。魚は獲りすぎると数が減るようだ。


 これは悪い知らせだ。永遠に釣り稼ぎをするわけにはいかないらしい。

 しかし良い知らせもあった。昨日と比べて同種の魚でも入手できる経験値が増えている。平均3000くらいに小アップだ。

 泉が光った効果か、泉自体に俺の[E]の力が及んだってことなのかもな。


 それから何日か釣りを続けていたが、四日目終了時には1時間近く魚が釣れなくなったので、さすがに効率が悪すぎてここまでで打ち切ることにした。

 釣らずに時間が経てば魚の数は徐々に回復しそうだけど、待ってるよりは他の泉を探し出す方が効率的だろう。


 それから再びアイテムを見つけたりモンスターを倒したりしつつ二階二層の探索を続けた。泉稼ぎのおかげで二匹相手ならいけるようになったが、三匹はまだ死闘になる。落石のクリスタルのようなアイテムを使ったりして切り抜けたが、まだレベルが上げたい。


 他に泉がないかと谷を歩いて行く。

 途中、ゲートを発見したが、二階のモンスターに手子摺っているのに次の階層に進むのは自殺行為だろう。行くのは泉を見つけてからだ。


 この日は見つかず捜索をさらに続けること翌日、再び泉を見つけた。

 今度は崖がえぐれて洞窟のようになっているところ奥にある、薄暗く苔むした場所にある泉だ。

 場所は狭苦しいが泉は大きい。

 前よりもたくさんの釣果をあげられる予感がする。


「よし、始めよう」


 再び経験値釣りが始まった。




 泉を探し求め、見つけた泉で釣りをして経験値を稼ぎ、泉の魚がいなくなったら新たな泉を探して釣りをして、と何度か繰り返してレベルは18まで上がった。

 

 お、サンダーハムスター3匹か。

 新たな泉を探していると、3匹組に出会った。

 早速充電を始めるモンスターだがそうはさせじと速攻をしかけ、ためるよりも回避せざるをしないように追い込む。


 だが、今のレベルだと避けられ続けるだけじゃない。

 逃げるハムスターの速さに対応して、頬袋に炎帝の剣の一撃を当てられる。攻撃のダメージと電気エネルギーの暴発であっさりと一匹倒され、さらにもう一匹も倒す。


 最後の一匹は残りの二匹を倒している間に電気をチャージし俺に撃ってきたが、レベルが上がったことで上昇した耐久力(と、わかっていて身構えていることで痺れても強引に動く気合い)で、ショックに耐えて反撃に移り、同じように回避行動を狩って撃破成功。


「この階のモンスターはもう楽勝かな」


 泉でのEXP稼ぎと、あとは相手の行動パターンがわかったこともあり、アイテムなど使わずとも数が多くてもサックリ倒せるようになった。

 電撃で受けたダメージも、いつもの[自然治癒]スキルで歩いてるうちに回復できる範囲のダメージなので実質ノーダメ。


「今度は埴輪狂戦士か」


 山の上にもいた動く埴輪の槍を持った強化版。

 それがやはり三体で現われた。


「はぁっ!」


 心眼で見破った胴体の真ん中辺りにある埴輪の継ぎ目を真横に切ると、大ダメージを与えることができる。

 今の俺のレベルなら、胴体を真っ二つに切って一撃必殺だ。


 もちろん全力で横一文字に切ると隙はできるが、埴輪の攻撃は一撃で致命傷になるほどではないので――耐久力Bの効果は健在だ――、攻撃を食らいながらそれより大きいダメージを与えて勝つ1層からのスタイルで全ての埴輪狂戦士を撃破。


 あとには二つに分かれた三体の埴輪、つまり六体の半埴輪が地面に転がっていた。

 こうしてすぱっと切れるのは気持ちいい。


 一息に切れるのも、一層と同じ受けて勝つスタイルができるようになったのも、レベルが十分高くなりモンスターの攻撃を食らうと危険な圏内を抜けたから。

 泉に感謝しよう。これまで泉があった方角に両手をあわせて。


 ………………………………よし。

 じゃあそろそろ次の階に行ってもよさそうだな。

 泉を探している間に次の階へのゲートは見つけていることだし。


 すでに見つけているゲートに向かい、俺は二層の三階に歩を進めた。

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