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87.真面目な筋肉騎士
そろそろ日も暮れようかというころ。
回廊を歩いていたラシディアに、後ろから大きな声がかけられた。
「やあ、ラシディア殿! お疲れ様です!」
びくりと肩を揺らしたラシディアが振り返れば、筋肉騎士が汗をぬぐいながら笑っていた。
そのあまりの汗だく具合に驚きの声を上げると、騎士は説明を加えた。
「いやあ、先ほどまで、ここの騎士達と手合わせをしていたのです」
「まあ。こんな時間まで、ですか?」
彼は他国の所属だから、夜勤はない。それでこの時間ということは、勤務時間後に純粋な厚意で付き合っていたのだろう。
「他国の騎士と訓練する機会は貴重ですから。是非にと頼まれれば断る理由もありませんよ。こちらとしても実に有意義でした」
からからと明るく笑う筋肉騎士に、ラシディアは心の中で彼の印象を少し改めた。
筋肉騎士、真面目ないいひとです。




