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80.他国の騎士と出会う
「いやあ、これはお見事!」
突然の大きな声に驚いて振り向けば、ひとりの騎士が快活な笑みを浮かべて立っていた。その身にまとう騎士服はこの国のものとは異なる意匠で、つまりは他国の騎士だろう。
ラシディアがいるこの回廊は王宮の奥の方で、他国の騎士がやって来ることはないはずの場所だが、それは通常の話。今は、数名の例外がある。
ということはこの騎士は――――。
「やあ、この国の方はみなさん大人しいのかと思っていましたが、あなたのようなたくましい侍女殿もいらっしゃるのですね! ははは、なんだか嬉しいなあ!」
ラシディアがその所属に思いを巡らせていると、あっという間に騎士は近くへ来ていた。
近くへ寄られると、ますますその声の大きさに驚く。王宮内でこのように大声で話す人物はいないので、ラシディアはどうしていいか分からず固まってしまった。
「ああ、驚かせてしまいましたか? ははは、すみませんね!」
すると騎士は大きな声で朗らかに笑い、謝りながらも勢いよくラシディアの肩をたたこうとした。
――――だがその手が触れる寸前、ラシディアと騎士の間に黒髪の人物が割り込んだ。
黒髪の人物って、誰でしょうね?




