73.忙しいはずの騎士と会う
「シディ」
「まあ、リアン様」
他国の賓客を迎えるのに侍女たちは忙しくしているが、当然、騎士たちも同様だ。
現国王は長く安定した治世を敷いているが、それでも万が一があってはならない。
この世界には魔獣が存在するが、人間業でない強さを誇る騎士団長のおかげもあり、王都においてはその心配はない。つまり備えるべきは人間相手で、おそらくオリアントはそういった仕事を主に受け持っている。
多忙の身であるはずのオリアントとこうして回廊で顔を合わせることができて、今日も良い日だなとシディはこっそり喜んだ。
「お客様を迎えるまではお互いに慌ただしいですが、体調には気をつけて」
「はい、リアン様も」
ふふっと微笑み合って、そういえばとラシディアは口を開いた。
「確かに忙しいですが、同じ侍女の友人はとても元気なのですよ。王族の方に随伴する騎士様を拝見するのを楽しみにしていて」
「他国の騎士、ですか?」
「ええ。彼女は、こう……、たくましい体つきの騎士様が好みなのです。彼女のお眼鏡にかなうようなすばらしい肉体を持つ騎士様が、今回の訪問団にいらっしゃるかもしれない、と」
「ああ、なるほど。女性とは、えてして両腕の筋肉が盛り上がったような頼りがいのある騎士を好みますからね」
「ふふっ、彼女とは気が合いますが、私はそこだけは意見が合いません」
オリアントは超多忙の中、なんとか隙をみてラシディアに会いに行っています。健気な努力です。




