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騎士と侍女  作者: 鳥飼泰
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70.愛称

先日、オリアントとはじめて一緒に出かけた。

ラシディアは、こっそり、デートのつもりで楽しみにしていた。だというのに、その日の記憶はあまり残っていない。

もちろんそれは、いきなり名前呼びを提案したオリアントのせいだ。

日が経つにつれ、そのことがだんだん悔しくなってきたので、ラシディアはやり返すことに決めた。



回廊で騎士に出会った際、挨拶もそこそこにラシディアは行動に出た。


「オリアント様」

「なんですか、ラシディア」

「私のことは、シディ、と呼んでください。仲の良い友人はそう呼びます」


これでどうだとばかりに、ラシディアは王宮侍女として鍛えられた笑顔を騎士へ向けた。

するとオリアントは、一瞬きょとんとした後に、ゆっくり目を細めた。


「あなたに仲が良いと思ってもらえるとは光栄ですね。では、私はリアン、と」

「あ、」


ここでラシディアは、自分が愛称で呼ばれるなら、相手も愛称を出してくるということに初めて気づいた。


――この騎士を愛称で呼ぶ? え、誰が? 私が? 名前を呼ぶだけでも、むずむずするのに?


呆然とするラシディアに、オリアントは笑みを深めた。


「愛称で呼び合うだなんて、なんだか私たちが特別な関係のようです。ねえ、シディ」


「リアン」と「シディ」になりました(^^)

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