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17.言葉を交わさずとも
朝。回廊の行く先に、黒髪の騎士が立っているのが見えた。
朝から彼に会えるなんていい日だなと浮かれかけたが、よく見れば隣には他の騎士が。表情から察するに話の内容は雑談のようだが、邪魔をするのも気が引ける。
そう考え、騎士の隣を通る際は無言で会釈するにとどめた。ただ、誘惑に負けてちらりとその顔を盗み見る。
すると騎士は目線だけこちらに寄こし、心なしか挨拶をくれているような微笑みを浮かべていた。だから侍女も、にこりと笑って返した。
やはり、今日はいい日だった。




