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101.顔を合わせたくない
回廊を進みながらそわそわと辺りを窺うラシディアに、侍女仲間の友人はくすりと笑った。
「まるで狼に怯える子兎のようね」
「もう、他人事だと思って! 私、あの方を思いきり打ってしまったのよ。申し訳なくて恥ずかしくて、顔を合わせられないわ」
「でも、怒っていなかったでしょう?」
「反応を見る前に逃げ出したの」
「あら、それはもったいないことをしたわね。私の騎士様は、泣いて感激していたわよ」
「……それは、あの方だからでしょう」
オリアントと会わないよう、そわそわしながらお仕事中。




