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100.集中なんてできない
「……そういうわけで、私を殴ってくださいと言いました。筋肉の彼が言うには、殴ってもらったおかげで侍女殿のわだかまりがさっぱり消えたそうです」
「………………」
「私の言葉があなたを傷つけたことを謝罪します。私は、あなたに誠実でありたい」
「………………」
オリアントがいろいろ言ってくれているが、その間もラシディアの右手はずっとオリアントの腿の上でぎゅうっと握られている。
そのせいで、彼の言葉が頭に入ってこない。
「だからどうか、お願いします」
「………………」
「ラシディア」
「………………」
黙り込んでしまったラシディアに、オリアントはますます熱っぽく語りかけてくる。無意識なのか、腿の上で握った手には力がこもり、徐々に顔が近づいてくるようだ。
そんなことをされて、ラシディアが通常の判断をできなくなったのは仕方がないことだった。
ラシディアは、この目の前の騎士に恋をしているのだから。
迫りくる瞳の熱にラシディアがいよいよ耐えきれなくなってきたとき、オリアントは再び願いを口にした。
「私を、殴ってください」
――静かな中庭に、乾いた音が響いた。
手を握って腿の上に置いちゃってるのは、オリアントは無意識です。
意識していないのでやりたい放題(^^)




