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氷河期世代のライトノベル作家が感じた衆院選への怒り  作者: 佐倉陽介


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7/8

群馬県出身ライトノベル作家から見た前橋市長選挙の考察

せっかく評価してくださる方がいらっしゃるので連載を続けます。

 衆院選の前にカクヨムに投稿したものです。せっかく書いたものですので、投稿させていただきます。


 今回の前橋市長選挙は、前市長の不祥事を受けて実施された選挙です。市政の停滞や混乱が懸念される中で、有権者は「大きな刷新」よりも「市政の継続性と安定」を重視した判断を示しました。ラブホテル問題が話題となったものの、争点はあくまで市政運営の評価に置かれ、感情的な批判一色にはなりませんでした。その結果、前橋は前回選挙で選択した変化の路線を維持しつつ、現実的な判断を積み重ねる姿勢を改めて示した選挙となりました。


 全国的にはこの結果に批判的な意見も多くありましたが、私からすると予想通りでありました。これは別に逆張りがたまたま当たったということではありません。むしろその逆で、群馬県民らしい判断が、わりと静かに積み重なった結果だと思っています。


 私は前橋市出身ではなく、群馬県内の別の地域で育ちました。ですので、県都・前橋を見る目には、少し距離があります。その距離感込みで考えると、前橋は前回の市長選挙ですでに「一度、大きな変化」を受け入れました。


 前橋ははっきりと舵を切りました。地方都市としては、かなり覚悟のいる選択だったと思います。


 だから今回、「また大きく刷新するか」と問われたときに、県民は「今ではない」と判断したのだと思います。


 これは保守でも後退でもありません。変化を一度受け入れたあと、その続きをきちんと見極めようとする態度です。


 群馬県民の気質は、よく言えば現実的で、悪く言えば保守的かもしれません。ただ、他県と比べて自分たちの価値観を押し付けたり、「正義」を振りかざして誰かを徹底的に叩いたりすることは、あまりしない土地柄だと感じています。


 盛り上がるときは盛り上がりますが、最後は一歩引いて全体を見る。このバランス感覚は、意外と民度が出るところではないでしょうか。


 今回話題になった、いわゆるラブホテル問題についても、同じことを感じました。


 なお前提として、市長本人は不倫を認めていません。その点は事実として踏まえなければなりません。ただ、一般的には「不倫問題」と受け取られているのも事実であり、以下はその前提で書きます。


 一般論として、不倫は男性政治家には甘く、女性政治家には厳しい傾向があります。これは否定しがたい現実です。ただし、女性であっても女性の不倫に厳しい人が多くいるのも事実です。


 前橋市民、あるいは群馬県民は、その点でも比較的冷静だったように見えました。


 感情的に批判する人もいますが、同時に「それと政治の評価は分けて考えるべきではないか」という声も、確かに存在していました。


 仕事の中身を見る。成果を見る。そのあたりは、かなりドライです。


 また、群馬県民は、平身低頭で謝罪している人間を、正義棒で叩き続けるようなことは、あまりしない気がしています。


 だからといって、何もなかったことにするわけではありません。


 私自身も、正直に言えば、首長としての尊敬は相当程度失われてしまったのではないかと思っています。


 それでも、同じように不祥事を理由に出直し首長選挙が行われた他県とは、少し事情が違うのではないでしょうか。


 ここで、いちばん言いたいことがあります。


 もし今回の市長選挙で、争点が「ハラスメント」だったなら、結果はまったく違っていたと思います。


 パワハラ、セクハラ、立場を利用した圧力――そういった問題であれば、前橋市長には再選されなかったはずです。


 群馬は、上下関係や筋をわりと重んじる土地です。からこそ、「立場を使って人を傷つける」行為には厳しい。


 不倫は私事として切り分ける余地があるが、ハラスメントは公的な問題である、という線引きが、県民の中には比較的はっきり存在しているように思います。


 派手な断罪も、正義の大演説もありません。しかし、「これは越えてはいけない線だよね」という共通認識は、案外しっかりしています。


 それが、今回の前橋市長選挙で見えた、群馬県民の姿だったと思います。


 なお、前橋市長選挙の結果は、「弱体化しつつある」と言われがちなリベラル勢力にとって、一つの勝ち方を示したものでもあったのではないでしょうか。


 理想論や激情ではなく、現実的な判断の積み重ねによって支持を得る――その可能性を示した選挙だったように感じます。


 静かですが、甘くはありません。押し付けがましくはありませんが、線は引きます。


 群馬という土地は、だいたいそんな感じです。


 なお、「なぜ急にこんなエッセイを書き始めたのか」と思われる方もいるかもしれません。「アイドル小説の続き書いてろよ」と言われるかもしれません。


 これは、現実的な問題を扱う作品を執筆するにあたり、その解像度を少しでも上げたいと考えた結果だと受け取っていただければ幸いです。

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