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氷河期世代のライトノベル作家が感じた衆院選への怒り  作者: 佐倉陽介


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氷河期世代の分断と沖縄県の相似性ー牙を抜かれた後に何が残るのか

 就職氷河期世代は、長年にわたって「不遇な世代」と呼ばれてきました。


 高い学力競争を要求され、努力を重ねたにもかかわらず、就職口は極端に狭く、非正規雇用や低賃金が常態化しました。その後も景気回復の恩恵を十分に受けられないまま中年期に入り、今度は社会保障の削減が現実味を帯びています。


 不満や怒りが生じるのは、自然な反応でしょう。しかし、氷河期世代は一枚岩にはなれません。


 正社員として踏みとどまれた層。


 非正規のまま年齢を重ねた層。


 家庭を持てた者と、持てなかった者。


 都市部と地方。


 同じ「氷河期世代」という括りの中に、幾つものピースが存在しています。


 その結果、世代内部で次のような言葉が交わされるようになります。


「自分はまだマシなほうだ」


「努力しなかった自己責任だ」


「もう今さら何を言っても無駄だ」


 特に深刻なのは、「政治はどうせ自分たちを顧みない」という諦めが広がっている点です。


 中には、「若者を救うための捨て石になろう」と語る人もいます。これは一見、利他的に見えますが、実際には自らを政治的交渉の場から降ろす宣言でもあります。また、同世代の同胞を見捨てるという宣言でもあります。


 こうして氷河期世代は、怒りを外に向ける前に、内側で分断されていきます。


 世代間対立を煽る言説、成功者と失敗者を切り分ける物語、自己責任論。


 それらは結果として、「まとまった要求」を不可能にします。


 声が揃わない集団は、政治にとって扱いやすい存在です。限定的な支援策を提示すれば十分であり、本格的な是正に踏み込む必要がないからです。


 氷河期世代は、分断工作に抗えないまま、「問題として語られる存在」に留め置かれてきました。


 氷河期は世代の問題ですが、これと同じ構造を感じさせる地域問題があります。


 沖縄問題です。氷河期世代と同様に、牙を抜かれた後に何が残るのでしょうか。


 沖縄もまた、長年にわたり「特別な問題を抱えた地域」として語られてきました。


 基地問題、経済的自立の難しさ、本土との格差。


 しかし沖縄が直面している現実は、理念や理想論だけでは説明できないほど厳しいものです。


 沖縄が「沖縄県民ファースト」という姿勢を明確に打ち出しきれない背景には、貧困の問題があります。


 雇用は不安定で、産業の選択肢も限られています。


 その結果として、短期的な振興策や交付金にすがらざるを得ない構造が生まれています。


 基地問題においても、同じ構図が見られます。


 反対運動があるからこそ、国は沖縄に「配慮」や「振興策」を提示してきました。


 もし反対の声が完全に消え、牙を抜かれた状態になったとき、果たして振興は続くのでしょうか。


 おそらく答えは否でしょう。


 政治は、摩擦のない場所に追加の資源を投じ続ける理由を持ちません。


 現在、かつて勢いを見せた「オール沖縄」は弱体化し、県民の意見対立が前面に出ています。


 基地反対を最優先する層。


 経済振興を重視する層。


 本土との関係改善を選ぶ層。


 その分断は、沖縄の交渉力を確実に削いでいます。


 問題は、代替となる長期的ビジョンが提示されていないことです。


 例えば、沖縄にカジノを含む統合型リゾートを作ること。


 あるいは、国際金融都市として位置づけることです。


 そうした「基地を受け入れて余りある交渉カード」があれば、基地問題一本槍から脱却できる可能性もあります。


 しかし現状では、基地問題以外に、国と対等に交渉できる材料が乏しいのが実情です。


 だからこそ、分断が進み、声が弱まることは致命的なのです。


 分断工作に抗えない構造


 氷河期世代と沖縄。


 立場も歴史も異なりますが、共通しているのは「分断されることで交渉力を失う」という構造です。


 内部対立を抱えた集団は、怒りを束ねることができません。


 束ねられない声は、政治に届きません。

 

 そして「顧みられない現実」は、再び諦めと分断を生みます。


 この循環を断ち切れない限り、どちらも「不満の緩衝材」のままであり続けるでしょう。

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