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Sランク冒険者に育てられた少女は勇者を目指す  作者: リズ
寒冷期事変

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現れた老人と、発動した罠

 シエラ達は地龍の腹の中のダンジョンで肉を焼き、水魔法で給水して一息つくと出口を探す為に石像が見下ろす広間を、石像の足の間に見える通路目指して歩き出した。


 そんな時だった。

 チリン、という小さな鈴の音と共に、通路の向こうにボロを着た老人が姿を現した。

 鈴の付いた捻れた木の杖を着き、ボロ布を頭から掛けている腰の曲がった老人で、性別は男性か女性か定かではない。


 その顔の見えない風貌と、異様な雰囲気からシエラ達は各々武器を構えるが、老人は通路の奥でシエラ達に手招きすると通路を曲がって消えていった。


「人?」


「リビングメイルとは違うが、私達以外に人がいるとも思えん、しかし何も手掛かりのない現状では、着いて行くしかないかもな。罠も考慮して私とアルギスで先行するよ。

 シエラ達は少し離れて着いてきなさい」


 リチャードの言葉に子供達は頷き、アルギスは「ええ? 僕も行くの?」と不服そうに言いながら、それでもリチャードに続いて歩き出した。


 先行するリチャードとアルギスの後ろを、距離を離して進む子供達はリチャード達が片手を上げたので一旦石像の足元で停止する。

 それを確認したリチャードとアルギスは巨大な石像の股の間を抜けて通路へと侵入し、罠が無いのを確認した2人は外で待っている子供達に振り返ると頷いてこちらに来るように促した。


 そんな時だった。


 通路と広間の境目の足元から木の根が伸びて通路を塞いだ。


「シエラ!」


 リチャードが身体強化魔法を使い、剣を振るが木の根の手前に魔法陣が現れ、魔力で編まれた障壁で斬撃が防がれてしまう。


「結界だね。ちょっと待って解除出来るか見てるよ」


 何度か斬撃を繰り出し、弾かれるリチャードの後ろ姿にそんな声を掛けてアルギスが結界に手を翳す。

 その瞬間。

 木の根の壁を挟んだ向こう側。

 子供達がいる大広間から重金属同士がぶつかるようなガァンというけたたましい騒音が響き渡った。


 リチャード達が向かった通路へ向かおうとした子供達の前に現れた木の根の壁。

 それを焼き払おうとマリネスとナースリー、シエラが並んで杖、魔銃剣を構えたその時だった。

 佇んでいた石像が剣を振り上げたのを、魔法の射線から外れる為に離れていたリグスが見た。


「シュタイナー! 上だ! 気を付けろ!」


 到底防ぐ事が出来ない重量であろうに、リグスが盾を構え、走ろうとしたのは想い人であるナースリーを守ろうとしたからだった。

 しかし、無情にも石像の構えた超重量である事が一目で分かるほどの剣はシエラ達の頭上に突き立てられてしまう。


 響き渡る轟音。舞い上がる土煙。放射状に奔る地面の傷に、リグスは血の気が引いた。

 

 目の前で好きな女の子と友達が死んだ。

 そう思ったのだ。


 しかし、リグスの心配を土煙と共にシエラがかき消した。

 聖剣と魔銃剣を交差させ、シエラは巨大な石像の自分達への突きを受け止めていたのだ。


 身体強化魔法を最大出力で使用しているのだろう。

 冷や汗をかいているシエラの全身、とくにシエラの背中から放出された魔力が空気中の魔力と反応して青く輝き、シエラの背中から翼が生えている様にすら見える。


「リグス! ボケっとしないで!」


 石像の一撃を受け止めるのが精一杯だったのだろう。

 焦ったシエラが放心していたリグスに叫んだ。

 

 シエラの言葉にハッと我に返り、リグスも身体強化魔法を発動。シエラに向かって駆け寄ると石像の剣に向かって渾身の盾による一撃、シールドバッシュを繰り出した。


 ガン! という音と共に石像の剣に掛かった力がズレ、シエラの後ろから跳んだリグスの一撃で、石像の剣はシエラ達の眼前に突き立てられる事になった。


「一旦距離を離さないと。リグス、大丈夫?」


「すまねえ。ボーっとしちまってた」


「良いよ。アレは仕方ない。お父さん達が戻って来るまでコイツを引き付けるよ。行ける?」


「やるよ、ナースリーを危ない目に合わせた奴は許さねえ」


「じゃあ、私とリグスで囮。マリィとナズで遊撃ね」


「いつも通りだな」


「ん。いつも通りだよ」


 剣を抜こうとする石像を前にシエラ達は体勢を立て直すと、石像から背を向けて駆け、距離を離して様子を見る。

 どうやら近付いたら発動する類の罠という訳ではないようだ。

 巨大な石像の動きは止まる気配が無かった。


「お父さん達が戻ってくる前に、倒すのもありかな」


「出来るか? いや、やろう。俺は、俺達は冒険者だからな。冒険しないと嘘だぜ」


 聖剣を肩に担ぎ、魔銃剣をだらりと下げて構えるシエラの言葉に、リグスも愛剣を肩に担ぎ、盾を構えて冷や汗を流しながら強がって笑う。


 敵は脅威度不明。ダンジョンという未知の環境での戦い。

 

 だが、何故だろうか。

 シエラの内には確かに高揚感があった。

 

 石像が剣を抜き、大上段に構える。


「行こう」


「おうよ相棒」


「気を付けてねシエラちゃん。リグス君」


「怪我しちゃダメだよ? リグ、シエラちゃん」


「マリィとナースリーも気を付けてね。何が出るかわかんないから」


 シエラの言葉にパーティの子供達が頷き、石像を睨みつける。

 そして、シエラとリグスは腰を落とすと身体強化魔法を発動。

 石畳の地面に足を食い込ませ、石像に向かって駆け出した。


 それと同時にマリネスとナースリーは魔力を充填。

 この空の見える開けた大広間なら問題ないかと判断し、魔法使いの少女2人は爆炎魔法の使用の為に杖を構えた。

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