表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Sランク冒険者に育てられた少女は勇者を目指す  作者: リズ
再会

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

111/115

里帰り前

 娘と夫に言われたから、というわけでもなく。

 故郷であるシーリンの森への帰郷をアイリスが決意した翌日。

 シエラはパーティのメンバーをギルドに集めて遠出することを話した。


「というわけで、近々私はまたいなくなります」


「いや。というわけで、じゃねえんだわ」


 このあと依頼に出掛けるつもりでもいたので、装備に身を包んだ面々はギルドに併設されている食事処の長机に座って話をしていた。

 目の前には細く切って揚げたポテトが置かれ、それを摘みながら聞いていたリグスがシエラの言葉に突っ込む。


「行くんなら俺も、俺たちも連れて行けよ。パーティだろうが」


「そうだよシエラちゃん。また私たちを置いていっちゃうの?」


「ああごめん。今からその話をしようと思ってた。いなくなるから、一緒に行かない? って」


「そういう事はスッと言えスッと。セルグが落ち着き払ってるから妙だと思ってたけど」


 そう言って、リグスは摘んだポテトでシエラの隣に座るシエラの婚約者であるマリネスを指した。

 そのポテトをリグスの隣に座っていたナースリーが横からかじり取る。


「あー! 何すんだよナズ⁉︎」


「ポテトで人を指さない! 失礼でしょ⁉︎」


「別に良いじゃねえか! 友達なんだからよ!」


「親しき仲にも礼儀あり! 私が好きなヒノモトの言葉だよ!」


「君たち仲良いねえ」


 食事処でギャイギャイ騒ぎ始めたリグスとナースリーに割って入るように言ったのは、シエラたちに魔法の手解きをしている魔法使いの青年アルギスだった。

 街での生活費を稼ぐために今日は偶然ギルドに立ち寄ったらしい。


 そんなアルギスがシエラたちが座るテーブルの隣に腰を落ち着けるとウェイトレスにコーヒーを一杯頼んでシエラから騒いでいた理由を聞いた。


「ああ〜。なるほど、里帰りの話か」


「アルギスさんもついてくるんでしょ?」


「君が拒否しない限りはね。古代遺跡やそこにいるゴーレムは見てみたいし」


「私は別にいいよ。お父さんとお母さんの邪魔しなければね」


 言いながら、シエラは眉をひそめて不機嫌そうにアルギスを睨んだ。


「この前勝手に家に入ったことまだ根に持ってる? でもそれこの前謝ったじゃん。もう許しておくれよ」


「ん。冗談だよ。今は別に怒ってないよ。今はね」


「勇者ちゃんは本当にリチャードそっくりだね。怖い怖い。まあそれはさておき君たちだ。本当について行く気かい?」


「行きますよ。もう友達一人で遠くには行かせない」


 アルギスに話を振られて、開口一番にリグスが言い放った。

 そんなリグスにアルギスは「別に長々と旅するわけじゃないよ?」と苦笑する。


「そういう事じゃねえです。コイツ、すぐ強くなるから、離れてる間に実力差が出るのが俺嫌なんすよ。いっつもシュタイナーに頼っちまってるから」


「君もそこらの十二歳の少年にしてはだいぶ異常な部類だけど、自覚ないの?」


「無いっす。シュタイナーと並ぶにはまだ足りない。盾役として、いや、友達としては駄目駄目ですよ」


 ポテトを咥えたまま腕を組み、不機嫌そうに言ったリグスにアルギスは少し驚いたように目を丸くして、直後優しく微笑んだ。

 勇者の隣に立つには実力不足と嘆きながらも、まずは友として並んで戦えない自分を恥じている次世代の戦士に感心していたのだ。


「そうか。なら、旅先でも僕が稽古をつけてあげるよ」


「え? いいんすか⁉︎」


「あ! ズルい! アルギス先生! 私もお願いします!」


「もちろん。まとめて相手をしてあげるよ。でもその前に、君たちは攻略しないといけない相手がいるよね?」


 そのアルギスの言葉に、シエラたちは皆が皆、揃って首を傾げ「攻略する相手?」と、様々な魔物の姿を想像する。

 

「勇者ちゃんは良いとして。君たち親になんて言うの?」


「あ〜。ああ。そうか」


「パーティで遠征って言います」


「それだ! ナズ天才だな!」


「まあでもギルド規定では十六歳以下の遠方への遠征は禁止されてるから、どの道、私はお母さんに怒られるんだけど」


 ギルド職員を母に持つナースリーや、ただの一般家庭出身のリグス。

 彼らの両親がまだ成人もいない子供たちを心配し、軽々しく遠方に送り出すとは考え辛い。

 

 唯一貴族であるマリネスだってそうだ。

 四人兄妹の末妹とはいえ貴族は貴族。

 簡単にお許しが出るとは思えなかった。


「まあちゃんと話をすることだね。僕やリチャードがついているとはいえ、絶対安全なんて事は絶対にないんだから」


「了解っす」


「分かりました」


 アルギスの言葉に、それでも三人とも視線を落とす事なくアルギスの目を真っ直ぐ見て各々返事をした。

 その様子にアルギスは「別に問題はなさそうだなあ」と思って頷く。


「じゃあ私たち依頼受けに行くね」


「うん。気を付けて」


 こうしてシエラたちはアルギスと別れて依頼を探しにギルドの掲示板目指して歩いていった。

 そして、当たり前のように討伐タイプの依頼を無傷で完遂すると、リグスとナースリーは家にいるボスとの戦闘(話し合い)に挑み、マリネスも今日はシエラの家には帰らず、実家に帰ると両親と遠征についての話をするのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=53746956&size=300
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ