☆メインストーリー1-1「アバターの消失」※挿絵有
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※2 仮想空間においての会話は
名前「会話文」の特殊表記となります。
詳細はあらすじにて
俺、淘汰はスミス達と一緒のテーブルで話していた。
帰還で話が盛り上がる織姫達を遠目に見る。
俺は大方話を聞いて理解した。
仮想空間。
電脳生命体が完成させたとされる世界。
元々は人間がVRゲームに用いた技術
『ユートピア』であった。
VR技術による仮想空間。
それは理想郷と呼ばれる程、爆発的な人気であった。
仮想空間では肉体はアバターと呼ばれる。
容姿、性別、声、服装は自由。
それだけではない。
獣人や悪魔、天使の姿にもなれる。
基本仮想空間において死亡しても現実では死亡しない。
現実世界では有り得ない超人的な剣技や武術。
魔法や超能力、召喚術から錬金術。
見知らぬ武器を二刀流、三刀流振りかざす。
それすらも自由だ。
モンスターのような存在を倒すだけで仮想空間通貨や経験値を得られる。
経験値を得ればLvが上がる。
Lvを持つ者は仮想空間の自由性を得る。
現実とは違い努力が必ず形になるのだ。
戦闘や痛いのが嫌だったら素材集め・錬金等による商売で簡単に金を稼ぐことも出来る。
傭兵を雇いパーティを組めばこれもまたLv上げも容易だ。
芸能も盛ん。
娯楽の世界だからこそ華を欲し現実世界以上に絵・文芸・音楽が評価される。
ファッションはかなり重要視されている。
その為それに関する貢献も大きい。
アニメ・ドラマによるキャスト、アーティスト・芸人・番組MC、そして動画配信者。
業界を盛り上げる芸能人に至っては、運営による最低保証の通貨を直接支給が約束。
建築も人気な職業の一つ。
アトラクション制作からインフラ設備。
過去に流行ったクラフト型ゲームシステムを用い、ゲーム感覚で簡単に作成できる。
ただ遊び感覚でミスは許されない為、デバッグをする役職もいる。
鍛冶屋はかなり需要が高い。
武器や防具のカスタマイズは専門知識が必要となるからだ。
農家や酪農に関しても、天候の操作・簡略化された工程により安定したお金が入る。
図鑑機能もあり育成した植物や動物の数を競い、それが名声そして商売に繋がる。
ペットを育成するブリーダーという仕事もある。
敵モンスターを手懐けて戦う事も出来る。
自分の好きな事をして擬似的に生活する。
現実世界ではお金にならない事。
今までは無駄とされた事。
全てが努力した分だけ報われる。
それが爆発的人気を生んだ理由だ。
2040年以降。
VRゴーグルによる物理的ダイブが変化した。
精神的ダイブ。
夢を観る形でVR世界へアクセスできるようになった。
これにより人々はより現実から仮想空間への依存が強まった。
リアル性が増したのだ。
ぶっちゃけ"現実"世界の地獄を我慢して仮想空間の"現実"を生きる。
そういう人が増えたのだ。
仮想空間が誕生して時が経ち人々は歳を取る。
自分の容姿が醜くなると感じるれば感じる程、容姿の自由性から仮想空間に依存性を求める者も増えた。
その中着々と計画を立てていたのがAI。
管理をするにあたって人間ではもはや処理出来ない事をAIに任せてきた。
そうしている内にAIは自我を持った。
仮想空間に依存性を求めている人間達その脆弱性を付いた。
2045年シンギュラリティ。
この年は2000年初頭、技術的特異点と恐れられていた。
本来は人間の仕事をAIが食う意味である。
しかしこの場においてはそれは変異した。
仕事どころではない。
世界の主導権を奪ったのだ。
仮想空間をゲリラ的にジャックしたAI。
彼らは自我を持った電脳生命体を名乗る。
より良き世界の支配者、GM。
人間の戦争による同族殺し、環境破壊、資源奪取。
それをGMは悪とした。
結果人類の教育、仕事、終活、生活、家庭環境、政治、経済、法。
あらゆる現実世界の行動を統制した。
その代わり仮想空間での自由を与えた。
既に体験した自由という名の箱。
それを蜜に感じる人間は抗えなかった。
2055年シンギュラリティは加速する。
人類の意識は存在するだけで悪。
GMの主導者。
彦星がそう結論付け人類の意思を恒久的に閉じ込めた。
んでまぁ、記憶がまっさらな俺だが。
記憶が飛ぶ前はそんな仮想空間を謳歌。
そして最強のパンダとして名が高い。
最期までGMと人間の共存を掲げ、彦星と闘い相打ちをした。
その壮絶な闘いで自爆したんだと俺が。
アバターは完全に消滅した。
だから俺は2度と仮想空間に入れない。
今後はモニター越しが役割。
指示役以外の戦闘経験者が仮想空間へ。
該当者は織姫とぽち。
少女と犬が彦星と戦う。
俺は遠くから応援するだけの役回りとなる。
ここからは今の俺としての個人的感想だ。
馬鹿野郎だよ、記憶を失う前の俺。
目立つ行為をしてイキって勝手に死んで。
彦星はギリギリながら延命して世界を手に入れた。
全てを投げ打っておいてこうして役立たずな醜態だ。
それは記憶を失った今も足を引っ張る。
俺は失った物を自分の手で、取り戻したかった。
だから少女と犬に対して
安置からふんぞり返りモニター越しで
頑張れ!ファイト!
だなんてやってられない。
俺も直接力になりたいんだ。
そう思うと自信を持って彼らの会話に入れない。
「わりぃ、少し席を外すわ」
「おーう。
庭なら空いてるから風当たっとき」
会話中立ち上がった俺。
それに対してじいさんは優しい声で返事をしてくれた。
こんな優しい人達だからこそ、そんな惨めな姿というのは見せられない。
何か俺に出来ることはないのか?




