・番外編「クイズ99匹の壁」※挿絵有
「ねぇ私テレビに出てみたいんだけど」
「わんわん!」
ソファで番組を見ていたちび女と犬。
彼女は近くのテーブルで酒を飲んでいたじいさんに声をかける。
「ひっく、わしも出てみたいわい。
できるもんならなぁ、はっはっは!」
ぐでんぐでんに酔ったじいさんの一言。
それが幸いしたのか災いしたのか。
天から三人に向かって声が降りてきた。
『その願い叶えてやろう!』
~
「さぁ始まった99匹の壁!
司会はこのわしスミスが担当じゃ!
今回のゲストはなーーーーんとこの方!」
腕を広げ大声をあげるじじぃ。
彼のいるステージの中央には赤い押しボタンが用意されている。
歓声が鳴り響く中歩く人物。
ステージに上がったのは黒髪の女性。
低身長で学生のような服装だ。
決められた位置に彼女が立つとスミスが説明を始めた。
「【2055~ステータス0の亡者】ヒロイン。
織姫じゃ!
失われた人類を救う為に戦う電脳生命体!
そして有名な動画配信者でもある!
さて何か一言どうぞ!」
「き、緊張するわね。
何より外側にいる奴らが普通じゃないわ」
周囲から異様な視線を感じ赤面する織姫。
なんと相当な観客がステージに円を巻くように座っている。
しかも彼らは
「そりゃそうだ!
さぁ見渡すがいい座っておるのは全員犬のぽち。
このクイズ番組は挑戦者VS99匹の犬。
それによる早押し対決じゃ!
三人寄れば文殊の知恵。
99匹寄れば一人の知恵じゃけえ!」
「どんだけ頭悪いのよ」
ドックフードを食べたり何匹か脱走を試みているぽち達を見ながら挑戦者はため息をついた。
奥にカンペを出している痩せこけた黒髪のAD、淘汰が見えた。
この物語の主人公だ。
"司会者、尺の関係で巻きでお願いします"
「では説明じゃ。
まず挑戦者の好きなお題を選択する。
そして先程も述べた通り早押しで挑戦者答え正解なら次の問題。
ぽちが正解したらその時点で敗北となる。
初期は25匹のぽちと回答権を競うが問題数が進むにつれぽちが増える。
最終的には99匹じゃ!
ではお題を頼むぞ!」
遠くのモニターから現れた文字と共に織姫は大声で宣言した。
「2055~ステータス0の亡者
略して【ステ0】よ!」
「さぁヒロインの意地を見せ、99匹の犬に勝つことが出来るのか!?
クイズ99匹の壁!」
スミスのタイトルコール後、見えないナレーターからの言葉が流れてきた。
『1stステージ
問題です。
この物語のしゅ……』
この時点でガチャンと音が鳴った。
司会者が指をさしたのはぽち達の方向であった。
しまったこれは主人公の名前を聞くクイズであろう。
司会者スミスが名前を呼び犬が答える。
「では1番のぽち」
「【ヒョロガキ】!」
ぶっぷーというクイズ番組にありがちなハズレの音が響く。
スミスが補足説明を入れ指摘する。
「それはぽちが主人公を呼ぶ時の名前。
さて回答権はヒロインに移った!
問題の続きを読むぞい!
この物語の主人公の仮想空間でのアバター名と本名と年齢と身長体重を答えよ」
赤いボタンを鳴らし織姫が回答する。
「【淘汰】
本名は【那藤 太郎】
間の文字からとうたって付けたのよね。
ちなみに本名は【納豆太郎】で覚えると覚えやすいわよ。
年齢は16歳で確か高校2年生。
身長は167cm45kgの超やせ型」
「正解!
顔色と目付きが悪いのが特徴じゃ。
今にも死にそうな状態で仲間からいつも生存確認をされとる」
織姫とスミスに散々に言われたAD淘汰は何か怒っているらしいがぽちのガヤにかき消されて何を言ってるか分からない。
第2ステージに移りぽちの50匹に回答権が渡された。
ナレーターの声が響く。
『2ndステージ!
問題です。
司会者スミスの年齢……』
ガチャンと誰かがボタンを押した。
またもやぽち側の陣営のようだ。
スミスが45番を指さす。
ぽちが吠えるように答えた。
「年齢130歳、髪はハゲ、趣味は徘徊」
「何を言っとるんじゃ!くそ犬!
わしの髪はふさふさつんつんじゃぞ!
ごほん、取り乱した不正解じゃ。
では問題の続きを。
司会者スミスの年齢。
そして過去に工学博士号を取り上げられた理由と現在の趣味は」
一喝後平静を取り戻したスミスが織姫に回答権を渡した。
「年齢は65歳。独身。
博士号剥奪は自我を持った電脳生命体が進化し人間の生活に影響をもたらす現象。
シンギュラリティを促進させる恐れのある研究を行っていたから。
趣味はお酒にタバコにパチンコに女。
機械いじりも好きみたいね」
「なんかすごい勘違いされる言葉ばかりが並んでおるが問題の答えは全て述べておるので正解じゃけ。
しかし流石じゃのう。
今のところ深い内容も含め全て全問正解じゃ。
さぁ回答するぽちが75匹に増えるぞい!」
脱走を始めたぽちを数人のスタッフが回収して頭を撫でたりしてなだめている。
他にもぽち同士でなにか会話しているので不正がないように止めるスタッフもいた。
みんな大変なようだ。
ナレーターの声が響く。
『3rdステージ!
問題です。
ステ0のヒロイン織姫。
彼女は度々イメチェンをしますがその理由と……』
またまたガチャンと音が鳴り響く。
複数問題があるから最後まで聞けばいいのに馬鹿の一つ覚えのようにボタンを叩く。
気になって周囲を見ていたがぽち達は我先に何度も何度もボタンを押して遊んでいた。
69番が呼ばれた。
「若作り!」
「うっさいわねぶっ飛ばすわよ!!」
ぶっぷーと言う音の後に観客席へと乗り出そうとする織姫をスミスは取り押さえた。
場外乱闘が発生する直前であったがなんとか無事に収まった。
質問の続きをスミスが読み上げる。
「度々イメチェンをしますがその理由とタイミング、好きな食べ物。
そして主人公に対する思いをどうぞ」
これ問題になっているのだろうか?
とりあえず織姫はボタンを押した。
「理由は同じ格好だと飽きちゃうから。
タイミングはそうね。
章ごとに姿を変えてるからそれを楽しみに物語を読むのもありだわ。
そしてカルーアミルクとキュウリが好き。
さて淘汰だけどまぁ弟みたいな存在ね。
なろう主人公最弱だけど仲間と共に強力な敵を打ち倒す頑張り屋さんだと思うわ」
「正解!
む、お前さん一体何歳なんじゃ?
カルーアとかお酒じゃろうに」
「年齢はタブーなの!
20歳はいって……なんでもない!」
観客席からどよめきが鳴り一生懸命に場を静めるスタッフ達。
強制的にナレーターが場を進める。
『最終ステージまで進みましたね!
回答するぽちの数は99匹まで増えました!
では問題です。
この物語は挿絵が多い事で有名ですが
一話に使われた最大枚数は何枚でしょうか?』
またガシャンと音が鳴った。
ぽち側の陣営だ。
しまった全部流れてしまった!
99番が呼ばれる。
「分からん!99枚!」
答えを知らないのにわざと答えるのは芸人の仕事だと思われるが案の定ぶっぷーという音がなってしまった。
スミスが織姫に回答権を渡した。
「最大で9枚ね。
ちなみに本編での目安があるのだけど。
【1分で1枚挿絵が来る】計算になるわ」
「正解じゃ!
4章完結で総数251枚となる!
今後もどんどん増えていくぞ!
さぁ挑戦者全問正解!
賞金はドックフード1年分じゃ!」
「え?」
スミスに渡された大量の犬のエサに織姫は面をくらっていた。
だがぽちの面倒を見るのが好きな彼女は今までになくニコリと笑っていた。




