☆メインストーリー3-3「人類の脅威」※挿絵有
~仮想空間・海岸
辺りを見回すと綺麗な青空。
そしてそれを映す綺麗な海。
波打ち際に淘汰と織姫は立っていた。
織姫「ここが集合場所ね」
俺は会話が視覚化されここが仮想空間だと気付く。
仮想空間へのダイブの際に来る酔いに一瞬悩まされたが現実世界では見られない綺麗な景色に気分は回復した。
今回のメンバーは二人。
メンテナンスに入ったアンドロイド犬、ぽちを除いた俺と織姫だ。
淘汰「仮想空間って本当に綺麗だな」
織姫「所詮は偽物よ。
現実で苦労して見る絶景の方が遥かに良いわ」
即座に来た言葉に口を一文字にする。
その時両断するような鋭く高い声が耳に入った。
000「偽物だっていいじゃん。
悪意の蔓延る現実の方が汚い」
表示された名前に俺はすぐ振り向いた。
心臓が跳ね上がる感覚がする。
薄桃色の髪に眼帯、赤く光る隻眼の女。
彼女の名前は000(ゼロ)。
仮想空間に行く為に体を用意した人物。
そして俺の5年間の記憶を奪った人物だ。
俺は反射的に身構えた。
しかし仮面を付けた男が割り入る。
Mr.B「どもども!
【猩騎士団】戦ではお世話になりましたぁ!
こちらは我が主の000様!
私はミスタービューティフォー。
Mr.Bとお呼びください!」
なだれ込むように言葉をかけられ呆気に取られる。
普段から機嫌が悪そうな織姫。
さらに険しい顔をし現実世界組のスミスじいさんとノアに声をかけた。
織姫「ねぇこいつら信用できるの?
000なんて人類の脅威って言われていたヤバい奴じゃない」
スミス『正直言ってこちらがコソコソやっても意味が無い。
彦星以上に強い【電脳生命体GM】の権能を持つ000。
こっちの情報は前から筒抜けじゃけ』
000「そっちから離れようとしてるだけで私は別に敵視してる訳じゃない。
後こちらに隠れて通信してもただ漏れ」
その声にスミスじいさんはため息をついた。
通信を全体に届くように設定したようだ。
スミス「だから嫌なんじゃよ。
特にお前さんはあの人の体を宿主……」
強い000の咳払いが響き、じいさんはギョロっとして黙り込んだ。
いつもは強気なじいさんが珍しい。
だんまりを決め込む彼の代わりにサポートAIのノアが説明をした。
ノア「000ちゃんの方からボクらに歩み寄って来てくれたんだ」
ノア「今回の敵は人類を仮想空間に縛り付けている全人類精神凍結プログラム【フェンリル】
並大抵の相手じゃない。
この前の猩騎士団戦以上の過酷な戦いだ」
あの000に対してちゃん付けか。
こっちは誰に対しても一貫して対応しているんだな。
サポートAIだから肝が座っているのか。
確かにフェンリルは彦星と並ぶ強敵であるというのはじいさんから話を聞いたことがある。
000「前回の戦いが見るに堪えなかった。
淘汰を守りきれないのにGMの神の遣い?
居る意味なんてない、出来損ない」
かけられた強い000の言葉に織姫は睨み返した。
織姫「別にあんたなんかに言われる筋合いはないわ、どぐされぴえん女」
意味の分からない返しだった。
しかし000は今にも殺しにかかりそうな表情を見せる。
雰囲気的に危機感を感じた。
しかしまた割り入ったのはあの男だった。
柔らかな表情であった。
Mr.B「まあまあ!
皆でフェンリルを倒そうって話なんですから!
折角ですし仲良くいきましょ!ね?
まずはお茶会でもしますか?
000様の執事の私に不可能はありません!
椅子やテーブルまで持ってきますよ!
ついでにパラソルも!」
早口で何を言ってるかよく分からない。
だがその言葉に000の熱も引いたようだ。
000「食欲ない、いらない。
淘汰も水くらいしか飲まないでしょ?」
淘汰「いや食べないとはいえ、それは偏見だぞ」
いきなりの振りに何とか対応する。
急にニヤリと笑い出したので上手くいったのか?
いやよく分からない。
感情の起伏が大分やばい人なのは分かった。
しかし一連の流れでこの執事とやらが随分苦労をしているのは感じ取れる。
Mr.B「では!
目的地アクアリゾート!
その前にある仮想空間でも有数の観光地!
海底洞窟へ出発ですね!」
000「あそこやばい敵居るからまた死なないでねMr.B、じゃあ淘汰行こう?
あー、あんたは付いてこないで。
雑魚に用はないから」
折角Mr.Bが機転を聞かせてくれたのに爆撃が容赦ないな。
なんか織姫が可哀想になってくる。
織姫「メンタル雑魚女に言われたくない。
あんたこそぴえんぴえん泣いてれば?
頼りないから付いて行ってやるわよ」
人の形相ではない顔で返す000だが執事になだめられぷいっと進む。
彼にアイコンタクトで案内を受けた。
まぁ織姫の心配はそこまで要らないか。
よく返せるなあんな言葉。
先に見える岩場に穴があった。
あれが入口か。
現実世界組の方からため息が聞こえる。
スミス「いやぁすまん。
わしも迷った、すんごい迷った。
引き合せるのは良くないと」
淘汰「いつも苦労をかけるな。
じいさんとノア」
かなりの勢いで歩き出す織姫。
それを横目に俺はじいさん達に労いの言葉をかけた。
ノア「いいのいいの!
やっぱこういうのも悪くないなって!」
スミス「お前さんは呑気じゃな。
しかし用心しろ淘汰。
言葉通りMr.Bは一度死んどる」
淘汰「え?」
俺は突然のカミングアウトにキョトンとする。
スミス「GMの神の権能【死者再生】じゃけ。
000はそれを使った、つまりそれに近い力を保有しているという……」
000「あのくそじじいうるさいなぁ」
スミス「……」
なんか申し訳ないことをした。
とにかくじいさんの寿命をなるべく縮ませないように行動せねば。
俺は一生懸命彼らの後を追った。




