・番外編 織姫「配信活動開始!」※挿絵有
私の名前は織姫。
私には夢がある。
それはネット配信者だ。
西暦2010年頃には既に業界は存在していた。
2020年近くにはネット世界に3Dキャラを使い配信し始める者が現れる。
2040年には仮想空間に意識を飛ばし、配信者と一体となって雑談やゲーム、音楽ライブ等することも可能となった。
もはやここまで来ると現実世界でわざわざライブ会場まで行く必要すらない。
2055年の現在もこの業界は進化を続けている。
2045年のシンギュラリティの時点で【電脳生命体GM】と呼ばれる者たちが生まれ、世界の覇権を握るようになった世界。
しかし人間に近い感情を持つGM。
彼らにも配信者ブームが起きていた。
私もそのGMの一人である。
同胞である彼らの配信を見るのが趣味だ。
配信に興味を持つきっかけとなったのは5年前。
電脳生命体はネットで生まれたバグのような存在である事を知った。
そこから自身を生んだネットに興味を持った。
全くネットリテラシーというものはなかったが陰キャクソガキの淘汰という少年から学んだ。
ネットをやっているうちに電脳生命体の友達が何人もできてゲームやアニメや漫画、音楽というエンタメ文化を知った。
それはとても興味深いものだ。
今では配信者のゲーム実況は1日中観てしまう。
そんなある日、配信者を夢見るきっかけがあった。
ある人が配信機材を用意してくれたのだ。
私にアンドロイドの肉体を与えた人物。
現実世界でも活動を可能にした恩人のスミスじいさんである。
「お前さん、ゲーム実況とか興味あるのか?
分かった、その夢をかなえたろ」
人間と電脳生命体には深い溝がある。
2055年現在色々な事情があり地球に人はいない。
GMが人間の意志を仮想空間に閉じ込めたからだ。
そこでまずは電脳生命体向けの動画配信サイトGMGM動画にての配信を提案されたのだ。
最初は憧れの彼らのようになれるのか不安だった。
しかしGMの友人に話したところ皆も
「やってみなよ!絶対配信行くから!」
と言われやる気になった。
うーん、まず活動において必要なのは名前。
折角やるなら私はてっぺんを取りたい!
よし決めた!HIMEKINだ!
私、織姫の姫と王様のKINGの一部を取っている!
これは天下とれるに違いない!
私は仮想空間にて早速活動を始めることにした。
~仮想空間・HIMEKINの放送
HIMEKIN「チャカポコチャオじむじむ!HIMEKINよ!
自己紹介は前回投稿の動画を見てね!」
ある程度使い方が慣れて仮想空間で初配信をすることになった!
仮想空間暗黙の法則で会話表記はこうして自分の名前と声が文字表記されている。
そんなことは置いといてメガネとか付けてみた。
見合うかは分からないけど。
HIMEKIN「今日はゲーム実況をやろうと思うわ!
レトロゲーだけど鼻炎のパンダに追いかけられるホラーゲーム!
パンダが気持ち悪くて定評があるらしいの!」
これがコメント欄ね。
早速見てみようかしら。
ぜろ様「パンダに謝れ、年増女」
削除ボタンはこれね、カチ。
HIMEKIN「さてさっそく始めるわ!
これ迷路の中でパンダから逃げるらしいんだって」
辺りを見回しながら私は歩みを進めた。
昔の配信は現実世界でPCの画面を通した物だったらしい。
今では視聴者が仮想空間でゲームをプレイしている配信者に向けてチャットを飛ばす感じだ。
配信者の私に関してはこのような感じでゲームの世界に入ってプレイを進めていく。
先程変な荒らしがいたが視界にチャット欄が直接映る為、視点をいちいち変える必要はない。
視聴者について。
配信者からは見えないことが多い。
しかし彼は配信者の傍に座ったり、離れた位置から視聴したりしてゲームを眺めることが出来る。
さて配信に集中せねば。
今何人の人が見ているのかな。
初っ端から同接(同時接続)5,000人!?
思ったより視聴者数多いわね!
珍しくあがってしまう。
HIMEKIN「みんな見てくれてありがとう。
私緊張しちゃって。
昔ながらある手法で落ち着くわ。
確か手に何かの漢字を……てぎゃあああ!」
目の前に急に気持ち悪いパンダが現れ思わず悲鳴をあげてしまった。
素の反応でとても恥ずかしかったが
おっさん「いいね!」
ロリコン「やっぱそこ初見やばいよね」
など思ったより反応は悪くないようだ。
狙った反応ではないのでやっぱり恥ずかしい。
この配信に関しては仮想空間で行うため、ネット世界仮想空間にしか存在できないGMでも楽しめる。
人間も仮想空間に閉じめられてるから立場は同じ。
なら配信は人間とGMを結ぶことが出来るのでは?
と他者の配信を見ていた頃は思ってた。
今は余裕ないけどこれから活動範囲を広げて、人間とGMが仲良くなるのに貢献出来たら最高かもね。
気付くとゲームは進んでいてダンジョンが変わっていた。
視聴者からのチャットが大量に届く。
ロリコン「気を付けて!
パンダ怖くなるから!」
おっさん「ネタバレ乙wwww」
といろいろ流れてきた。
まあチャットの治安は悪いが仲は悪くないようだ。
ん?なんか変なコメントが連投されている。
ノアの箱舟「チャラ民最強!チャラ民最強!」
……。
よくいる他者の配信に迷惑かける信者ね。
チャラ民というのは仮想空間で有名な男。
これはコメント欄荒れるから消しとくか、カチ。
ブロック。
HIMEKIN「ガイドラインには書いたけど他の配信者様の名前は出さないでね、嫉妬しちゃうから」
しかし案の定荒れ始めた。
おっさん「おい、姫様の配信に関係ない奴出てくんな」
ロリコン「ネカマ信者失せろ」
ああ、やばいやばい。
炎上してる。
なにか言って抑えないと。
HIMEKIN「みんな落ち着いて。
荒らしとかは私の方で何とかするから……。
ってぎゃあああ!!」
意識を向けていたら突然視界いっぱいに滅茶苦茶怖いパンダが現れ悲鳴を上げてしまった。
それだけならともかく思わず余計な一言を言ってしまった。
HIMEKIN「F☆ck you!」
突然配信が止まる。
運営から言葉が届いた。
GM1.0「不適切な発言デス、黒デス。
配信をBANしました」
あらやらかしたわね。
運営に黒って言われたら仕方ない……。
さて今度は黒姫って名前でやるか。




