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【挿絵400枚】2055~ステータス0の亡者  作者: 烈火
第2章 圧政者 チャラ民
16/83

☆メインストーリー2-3「2つ目の試練」※挿絵有

~仮想空間・天空城への架橋


織姫「しかしこのクッソ犬は言うこと聞かないわね」


先頭をスキップしながら進むぽち。


よくあんな動きしながら進めるよ。

高所恐怖症ではないがここまでの高所であれは無理だ。

雲の一部であろう霧が奥に見えるもんなあ。


俺の記憶は改ざんされ信憑性に欠けるかもしれない。

だが理科で習った【雲の正体は水蒸気の凝結した物である】という知識はあながち間違っていなかったようだ。


湿気のある冷たい空気が服を濡らす。


話は脱線したがこの天空城までの一本道に着いて以降、ぽちから人間の言葉や声らしきものは聞こえない。

ピンチだった時聞こえた気がしたんだが今はさっぱりだ。


俺はふと服の下から首輪を取り出した。


挿絵(By みてみん)


あの時誰かの声が聞こえて、よく分からない光景が見えて。


そして目の前に浮かんだこいつを掴んだら、ぽちの言葉が一瞬だけ分かるようになったんだ。


どうでもいい話だが現実世界の普段着から学ランになっているのに今気付いた。


取り出した首輪に織姫が反応する。


織姫「それってねこさんの遺品じゃないの」


淘汰「ねこさん?」


挿絵(By みてみん)


織姫「過去のあなたにとって大切だった人。

どれ位か?

戦闘とか大嫌いで平和主義だったあんた。

それが血相変えて電脳王彦星に立ち向かう程。

ぽちの飼い主ね」


淘汰「そいつは生きているのか?」


織姫「……」


織姫は目を反らした。


俺はそんな大切な人の存在すら忘れてしまったのか。


織姫はすぐに視線を戻すと俺の顔を睨んだ。


織姫「スミスじいさんも言ってたわ。

失った記憶は取り戻していけばいい。

男なんだから少しは胸を張んなさいよ。

勝手に落ち込んだら、命がけの選択をした自分に失礼よ?」


冷静かついつものイライラした口調。

しかしそこには叱咤激励の意を感じる。

見た目は中学生未満にしか見えない。

だが中身は思ったより肝が据わっている。

まあそうか、少なくとも俺よりは年上ではあるらしいし。


織姫「その首輪で馬鹿犬の言葉は通じるの?」


確かにさっきはこれで意思疎通ができた。

少し強くこの首輪を握ってみるか。


ぽち「クハハハハ!

ここはおひさまキーラキラ!

ぽち様もゴールデンキラキラスマイルだぁ☆」


淘汰「だめだ、言ってる言葉が分からん。

すごく馬鹿っぽい話し方で意思疎通できる気がしねえ」


織姫「いや少なくとも言葉は、分かるのよね?

知能差が激しいと会話ができないってやつよ。

よく言うじゃない?

だからあんたIQを30くらい下げなさい」


いやいや、どんな無茶振りだよそれ。

ただ一つ分かった事がある。


言葉が分かったとしても、人間と犬が会話するのは困難であるという事だ。


そんなどうでもいい話をしていたらとうとう来た。

ゴールデン手前のシルバーパンダ。


頭の上にエルダーパンダ(銀)という表記がされている。


エルダー、こいつらは上級種であるようだ。

絶海の塔ではただのパンダでも大苦戦したのに。


俺は即座にステータス分析をした。


挿絵(By みてみん)


エルダーパンダ(銀)


Lv:999

HP:1/1 MP:1/1

ATK:999,999 DEF:1

INT:1 DEX:1 LUCK:1 SPD:999,999 OVERALL:1

特殊ステータス IQ:1


は?


いやワンパターンの反応をしている気がする。

しかし今回は流石にどうすんだよ?

こいつやる気出せば彦星とかワンパンで行けるだろ。

どうしてこんなところで、のほほんとしてるんだよ!


淘汰「ま、まさかこいつが彦星を継ぐ二代目電脳王じゃ?」


織姫「何言ってるのよ。

こんな所にいるならそんな脳も能もないわよ。

でもこれ爆弾その物ね。

下手に触れたら1秒後には私達の首は無いかもしれない」


淘汰「ままま、待ってくれ!

冗談だとしてもそれは心臓に悪い!」


ぽちも野生の勘か。

全く近づこうとしない。

この銀色のパンダ、不気味に微笑みながら見つめてくる。


今度こそ詰んだな。

こんな奴喧嘩売ったとたん終わる。

どんな行動とりやがるか全く分からない。


1分間膠着状態が続いた。


どうやら俺らの命はまだあるようだ。

不意に織姫が真面目な顔でとある質問を出す。


挿絵(By みてみん)


織姫「ねぇサボテンと男がいくときのIQ。

いくつか知ってる?」


淘汰「はあ?

知らね、ってかめちゃくちゃ汚い質問だな」


織姫「2らしいわよ。

そこでのIQは【人を傷つける才】の文化的評価らしいわ。

じゃあ考えてみましょう?

1なら何ができる?」


自分に置き換えてみた。


サボテンなら触れば刺さる。

俺なら痛みを感じればのけ反る。


何を考えさせられてるんだ俺は。


淘汰「つまり、こいつは触るな。

ってことか?」


織姫「そそ、多分こいつは全く動かない植物以下ね。

戦闘数値を示すOVERALLも1。

ステータスがいくら高くても、これが低ければ弱い。

触ったらどうなるかは分からないけど、放置でいいわ。

さっきの敵は通せんぼしてたからどかした。

けどこいつに関しては結局何にもしないから」


淘汰「なあ、RPGって何だ?」


織姫「いつからこの仮想空間をRPGと錯覚していたの?

あ、ごめん質問を質問で返すのはナンセンスだったわね。

ここに来てから5年、私も随分人間臭くなった……」


織姫はそのまま銀パンダを突っ切った。


勇気があるなあいつ。


と思っていたらぽちが銀パンダにマーキングしていた。


ぽち「あーやれやれだぜー♪」


淘汰「クッソ犬何やってんだ!!」


ぽちはその声に反応し逃げるように奥へ駆けた。


ここまでくると心が痛い。

緊張もあるが同情の気持ちで胸が張り裂けそうだ。


そんな複雑な心境で、なんとか銀パンダの横を抜けた。


奴は本当に植物のように全く動かない。


挿絵(By みてみん)


このまま置いておく事すら可哀そうだが仕方がない。

振り返り一礼だけして織姫達を追いかけた。

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