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【挿絵400枚】2055~ステータス0の亡者  作者: 烈火
第1章 失ったもの
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☆メインストーリー1-4「アナザーパンダ」※挿絵有

電脳王、彦星は人工衛星型兵器ラグナロクを起動した。


挿絵(By みてみん)


それはユーラシア大陸を焼き尽くす威力であった。

絶望的な状況の中、現れた人類の脅威000(ゼロ)。


彼女は大気圏外において圧倒的な火力で跳ね返した。


彦星に致命傷を与えた淘汰の技【(あかいろ)やいば】によって。


そこでホログラムの映像が消えた。

じいさんが野球中継を中断されたおっさん並みの反応をする。


「なんじゃ、どうなっとる!?

先を見せんかいばかたれぃ!!」


「ごめんできない。

ユーラシア大陸付近浮上中の人工衛星が消し飛んだんだ。

こちら側に届く情報がなに一つもないみたい」


ノアは通信越しに慌てながら返事をした。


そこへ特徴のある鼻声が聞こえた。


「やっと入れたわ。

あらノアが焦るなんてすごく珍しいわね。

ホラーゲームでも笑うくらいの肝っ玉なのに。

んでどんな状況なの?」


扉を開けて入ってきたちっこい女。

織姫だ。


まあ誰でもユーラシア大陸ごと消し飛ばす。

なんて言われたらビビるわ。


じいさんが簡単に説明した。


「彦星が人工衛星型核兵器を使用。

000が大気圏外からそれを止めた。

わしらは助かった。

ほら三行でまとめたぞい」


「内容がぶっ飛んでて頭に入らないのだけど。

まぁ三行目は間違ってることは分かるわね」


パワーワードが並ぶ中、理解しろという方が難しいだろう。

流石の織姫も首をかしげている。


いや、待てよ。

俺は急に悪寒を感じた。


「おい、織姫。

今、俺たちがまだ危険だと言ったのか?」


「そうよ。

だってこの研究所の包囲網。

じいさんの作った機械兵達。

それを次々と破壊するやつがいるもの」


その途端だ。

ズドンという爆発音がした。

ぽちが壁越しから吹き飛び、俺にぶつかってきた。


視線を奥に向ける。

照明が落ちよく見えない。


しかしすぐに目が暗闇に慣れその全貌が視野に入った。

なんと信じられない生き物?がいた。


挿絵(By みてみん)


壊れた壁越しに大剣を持ったパンダが立っていたのだ。


さらに信じられないことに掠れた声で俺らに言葉を発した。


「元気か?

俺が歩まなかった世界の住人さんよ。

あ、この剣お宅から貸してもらったわ。

地獄流・得物奪(えものうば)い。

そこら辺の雑魚から貰ったが、屋内だと不便だ。

しかしその犬、ただの犬じゃないな?

他のアンドロイドよりも硬すぎる」


「そりゃあ最後の砦だからじゃけ。

しかし驚いた、パンダの亡霊か?」


じいさんは俺たちの目の前に立った。

大剣を持つ侵入者に臆さず返事をする。


壊れた住研究所の検査室。


突然現れた侵入者。

その姿にはやはりデジャブを感じる。


俺は過去に仮想空間でパンダの姿で行動していたらしい。

まさか過去の俺に関係する人物なのか!?

緊張感のあふれる空気。


じいさんはタバコを取り出すとライターで火をつけた。


煙を吐くじいさん。

それを見ながら侵入者の方はため息を吐いた。


「タバコなんて吸っているのかよ」


「自称生粋のヤニカス、アル中だよ。

仮想空間のアクセスを彦星に封じられて以降、現実世界で両方とも始めたから困っとる。

2055年、臓器の取り換えはきくが健康が一番だからなあ」


ボロボロなぽちを抱えながら俺は足が震えていた。

こんな世間話をしてるが素人でも感じる。


二人は斬り込みのタイミングを計っているのだろう。


じいさんは既に懐に手を当てている。

ピクリと侵入者が動き出した途端だ。


その予感はやはり的中した。

じいさんは拳銃を瞬く間に取り出した!


バン、バン、バン!と大きな音が響く。

その音と同時に目の前に火花が散る。


信じられない。

侵入者は大剣を細かに振るい、銃弾を全て弾いたのだ!


彼は人間とは思えない速さでじいさんに肉薄する。


大剣の柄の底を使うという独特な接近戦を持ち込んできた。

じいさんも拳銃の銃口を掴み振りかざす。


挿絵(By みてみん)


相手の攻撃が絶妙にずれそこを軸にじいさんは動いている。


上手く武器の角を狙っているようだ。

敵に不意ができたようでじいさんが銃撃した。


しかし侵入者は影分身が如く加速し紙一重に避けた。

両者人間離れしている。


すると人間離れした動きに察したのかパンダ男の侵入者は睥睨した。


「貴様、親から貰った肉体を捨てたな?」


「あんな老体で夜遊びはできんからなぁ」


スミスはバカみたいな問答をしているが真剣な眼差しをしていた。

互いの動きがさらに加速する。

扇風機の羽が回転するようにブレて見えた。


勝敗は意外にも早く着いた。


じいさんの腹に蹴りが入るのが見えた。


「隙ありだ」


「せこいぞ!剣使っとるじゃろうが!」


「おう、だから使ってやんよ!」


じいさんの脳天に大剣が轟音を立てて差し迫る。

突然胸を強く押される感覚がした。


ぽちがじいさんの前に飛んでいったのだ。


「ぽち!!」


俺は叫び声をあげた。


ドン!


と鈍い音が鳴りびく。

その次の瞬間、金属が地面に落ちる音がした。


「くそ、強く振ったら剣の方が折れやがったぞ!

どんな素材をしてやがるんだ、その犬は!!」


ぽちの方も地面に寝そべっていた。

くそう、俺は何もできないのか!!


一発でも殴ってやろうと足を踏み込む。

すると背後からぎゅっと何かが抱きついた。


振り向くとそれは織姫であった。


「それぞれの適材適所がある。

やめときなさい!」


「だって!」


反論しようとした俺に織姫は静かに諭した。


挿絵(By みてみん)


「あなたのアバターは死んだ

でもあなたの体は生きているの」


俺はハッとした。


そうか。

俺以外はみんな自分の体を失ってるんだ。


逆に言えば俺がここで死ねば人類が全滅するんだ。


それ以上考えようとした時だ。

ぽっかりと足元に穴が開いた。


重力によって体が引っ張られる感覚がする。


「みんな、落ちるよ!!」


ノアの声が鳴り響いた。


「待て!どこに落ち……!?」


疑問なんてぶつける間もない。

瞬いた後には視界が黒に包まれていた。

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