第7話 初めてのギルド
煉瓦造りの町並み。
広い大通りの左右には雑貨、武器、防具などを扱う商店が立ち並び、屋台もちらほらと見受けられる。
今、俺はベラーシの街の中央通りを歩いている。
「カナタ! おいしいにおいがするよ!」
「カナタ! あれなあに?」
「カナタ! 水が吹き出てるよ! すごい!!」
ミウは、初めて見る町並みに興味津々らしく、興奮した様子でしきりに話しかけてくる。
「うん、後で見て回ろうね。でも、まずはギルド登録と宿を探さないと…」
その肝心のギルドがどこにあるのか分からない。
俺は、近くに通りかかった人に道を聞くことにした。
「あの、すいません」
「はい。何ですか?」
俺が話しかけたのは、20歳くらいのお姉さんだ。
ここで俺はあることに気がついた。
耳がある!
それも人間の耳ではなく、俗にいうネコミミというやつである。その耳がお姉さんの可愛さを一層引き立てている。
ネコミミ万歳! 異世界万歳!
「……あの〜。どうかしましたか?」
ふと正気に戻ると、何やら白い目で見られていた。
ミウも不思議そうに首をかしげている。
「いや、すいません、大丈夫です。実は冒険者ギルドの場所を教えて欲しいのですが――」
「……ああ、それならこの中央通りをさらに直進していけば、すぐ着きますよ」
お姉さんは、若干引きながらも親切に場所を教えてくれた。
「ありがとうございます」
お礼を言い、俺はその場をそそくさと退散することにした。
お姉さんの言ったとおり、冒険者ギルドはすぐ見つかった。
少し緊張しながらも中に入る。
奥のカウンターに受付のお姉さんらしき人が見受けられた。
頭にはネコミミ、獣人の人らしい。
先ほどの失敗を繰り返さないようにしなければ……。
「こんにちは、冒険者の登録をしたいのですが、よろしいでしょうか」
「はい、新規登録ですね。少々お待ちください」
そう言ってお姉さんは何やら水晶らしきものを取り出す。
「では、こちらに手をかざしてもらえますか」
俺は言われた通りに手をかざした。
すると、水晶が何やら怪しく色を放つ。
「はい、もういいですよ。ギルドカードは明日には出来てますので、明日取りに来てくださいね。冒険者ギルドの説明は必要ですか?」
俺は「はい!」と頷いた。
ミウも一緒になって頷いていた。
お姉さんの話を要約すると、冒険者にはランクがあり、高い方からS・A・B・C・D・E・F・G・Hまである。
初めはHランクからのスタートだ。
依頼にはそれぞれランク付けされており、1段階上のランクまでなら受けることが可能だ。
S・Aランクに上がるには試験が必要だが、それ以外のランクは、10回連続で自分のランク以上の依頼を達成すると、ランクが上がる。
また、依頼を失敗すると依頼料の半分の支払い義務が生じ、3回連続の失敗でランクが下がる(Hランクは3ヶ月の謹慎)。
ただし、依頼内容が実際と異なった(ギルドの調査ミスの)場合はその限りではない。
ギルドは依頼料の10%を仲介料として、成功時の報酬から天引きする。
Bランク以上は、有事の際(国同士の争いなどは除く。ギルドはあくまで中立である。)の特別依頼に招集されることもあり、断るとギルドを除名処分になる。
パーティは、パーティメンバーの一番高いランクの依頼まで受けることが可能である。
その他細かい決まりに関しては、小冊子を渡された。
どうやらこれを読めということらしい。
「私は受付のサトミといいます。分からないことがありましたら遠慮なくおっしゃってくださいね」
「では早速なのですが、おすすめの宿屋などあったら教えて頂きたいのですが」
「それなら夢幻亭ですね。仮登録証を発行しておきますので、初日から割引が利きますよ」
俺たちは夢幻亭に向かうことにした。
そして今、夢幻亭の前にいる。時間はもう夕方だ。
「すいません。宿をお借りしたいのですが、誰かいませんか」
「あいよ、お客さんかい。部屋なら空いてるよ。1泊2食付きで銅貨30枚だ」
恰幅の良いおばちゃんが、中から出てきて答える。
「じゃあとりあえず4日間で。あと、これギルドの仮登録証です」
「だったら銀貨1枚でいいよ。部屋は2階の201号室だ」
そう言って部屋の鍵を渡される。
「食堂は1階、食事の時にはその鍵を見せな。宿泊客の証明になる。食事がいらないときは前もって言ってくれれば、銅貨5枚差し引くからね」
なかなか良心的な宿屋だ。ギルドのおすすめなだけはある。
「わかりました。お世話になります」
「キュ〜♪(おせわになるよ♪)」
1階で夕食を取り、部屋に戻った後はすぐに就寝。久々のベッドの寝心地を堪能した。
ほぼ説明で終わってしまいました。
なかなか難しいですね。




