第4話 特訓はつらいよ
「はっ!」 「だあっ!」 「どりゃぁ!」
ガキィン!!
現在、俺はダグラスさんと絶賛訓練中。とは言っても一方的にやられているだけなのだが…。
「おらっ! 呆けてる暇があったら体を動かせ! それといちいち叫ぶな!! いつ打ち込むか丸分かりだぞ!!」
俺の剣はパワーだけはあるらしいのだが、技術的にはチャンバラと大差なく、すべてダグラスさんの剣捌きにいなされてしまう。
ただの馬鹿力だけのおっさんじゃあ無かったということらしい。
はじめに20回くらい素振りをさせられた後にすぐ実践稽古に突入、現在に至る。
厳しい特訓ではあるが、体力面では前世の頃と違ってそれほど疲れは感じていない。
おそらくステータスの恩恵を受けているのだろう。
ちなみにダグラスさんのステータスもこっそり確認してみた。
ダグラス LV60
HP :6000
MP :100
力 :2000
体力 :1500
かしこさ:200
運 :100
スキル:?????
?????
?????
はい、俺よりも断然上でした。
スキルが見えないのは、レベル差の関係らしい。
女神様の手紙に書いてあった。
ちなみに他の村人のステータスを見てみたところ、
**** LV15
HP :450
MP :15
力 :50
体力 :100
かしこさ:50
運 :100
うん。このおじさん化物だね。
「よし!ここまでにしておくか」
化物、もといダグラスさんから終了の合図があった。
「ありがとうございました!」
すかさず元気よくお礼を言う。
「そんなに元気なら、明日からはもう少しきつくしてみるか。なかなか筋はいいみたいだしな」と、不吉なセリフが聞こえてきた。
「ダグラス。魔法も教えなければならないのだから程々にしておきなさい」
ミウを膝の上に乗せながら見学していたアリシアさんから助け舟が出る。
アリシアさんが天使に見えた瞬間だった。
「く〜♪」
ミウは、膝の上で気持ちよさそうに絶賛昼寝中である。
よく寝るなぁ。
「さて、次は魔法ね。魔法の知識はどこまであるのかしら?」
「いえ。まったく無いので出来れば一から教えてください」
「キュ〜♪(教えて♪)」
ミウもやる気のようだ。
「わかったわ、ではまず属性から。属性には…」
アリシアさんが丁寧に説明してくれた。
それによると、属性は、火・水・風・地・聖・暗黒・無の7属性があり、それぞれ使えるかどうかは個人の適性によるとのこと。1属性しか使えない人もいれば、多い人で3つの属性を使えるらしい。4属性以上使える人は未だかつていないとのこと。
ちなみにアリシアさんは水・風・聖の3つの属性を使えるらしい。
また、魔法に必要なのは「魔力」と「適正」の他に「魔法の発現をイメージする力」が必要で、これが出来ない人はいくら魔力があっても魔法は使えないとのこと。ダグラスさんはこれが出来ないので魔法が使えないと言っていた。
「じゃあ先ずは魔力の認識から始めましょう。私の魔力を流してサポートするわ。サポートがいればすぐに認識できるから大丈夫。落ち着いて目を閉じて……」
何かが自分の中に流れ込んできて、それが元々自分の中にあったものと混じり合うような感覚がする。
「そう、それがあなたの魔力よ」
アリシアさんが俺とミウから手を離した。
「キュ〜♪、キュ〜♪」
ミウも認識出来たようだ。
「魔力が認識できれば、後は放出するときの具体的なイメージさえしっかりしていれば魔法は使えるわ。まあそれが一番魔法の難しいところなのだけどね。あともう一つ、大きな現象を起こすには大きな魔力が必要になってくるからその点だけ注意ね。魔力が枯渇すると人は気絶してしまうの。そこを狙われたらひとたまりもないわ。また、詠唱はしなくても魔法は使えるけど、詠唱したほうが具体的なイメージが出来て威力が上がるとされているの」
なるほど、詠唱か。いろいろ考えてみよう。
「じゃあ手始めに水の魔法からやってみましょう。指先から水を出すイメージでそこのバケツに水を注いでちょうだい」
「はい!」
「キュ〜!」
まずは魔力を意識し、それを指先に集めるイメージで、
「水よ出ろ! ウォーター!!」
すると指先からバケツに向かって勢いよく水が噴出した。
まるで水道をMAXまでひねったような勢いだ。
なるほど。蛇口をイメージしたからか。ホントにイメージ通りになるんだな。
「キュ〜♪」
どうやらミウも出来たみたいだ。
「すごいわね!はじめから2人ともうまくいくなんて!! 普通はここまで3日位かかるはずなのよ」
「いや〜。たまたまです」
「キュ〜♪」
「まあいいわ。じゃあ残りの属性も同じように試してみましょう」
「わかりました」
「キュ〜!」
「すごいわ! 6属性も使えるなんて!! どこの国にもいないはずよ!! しかも2人?も!!」
どうやら全ての属性に適性があったらしい。これも女神の加護のおかげか。
だが、ミウまですべて適性があるとは! というかミウって何て言う生き物なんだろう?
「キュ〜♪(やったね♪)」
ちなみに6属性で全てと言ったのには訳があり、暗黒属性に関しては人間で今まで使える人がいないので、具体的に試しようが無かった(イメージできない)為である。
昔の文献にその存在があやふやに載っているだけなので、現在ではどのような魔法かわからないとのこと。
俺的には現代のファンタジー小説で、悪魔などが使う魔法のイメージがあったので試せそうだったのだが……。
まあ後でこっそり試してみよう。
魔法属性を修正・変更しました。
雷→風 土→地




