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第42話 依頼達成?

ようやく更新できました。


 コルソの街の北、高くそびえる山脈の中で一際高い山、その頂上は一年を通して真っ白な純白の帽子をかぶっている。

 ふもとには大きな湖があり、山の美しい姿を湖面に映し出していた。

 その景色は絶景として知られ、人々に大いなる癒しを与えている。

 しかし、その山を登る者に与えられるのは癒しではなく試練であり、その試練を乗り越えた者にのみ、様々な宝が与えられる。

 俺たちはその山を登るべく麓まで来ているのだが……。




「いらっしゃ〜い! アスペル山脈名物、飛竜饅頭はいかがですか〜!」


「お客さん! 記念に飛竜のアクセサリーなどいかがですか? どれもここでしか手に入らないものですよ!」


「食事ならこちらで〜す! 飛竜丼に飛竜定食がランチサービス、ドリンク付きで〜す!」


 何だこれ?

 露店や休憩所など観光地さながらの風景に、意気込んできた自分が浮いているように感じてしまった。


「カナタ。おいしそうだよ♪ 食べていこう♪」


 何とか饅頭とやらがミウの琴線に触れたらしい。しきりに食べたいアピールをしてくる。

 泣く子ならぬ、ねだる(・・・)ミウには勝てず、俺たちは饅頭を買うことにした。

 美味しそうに饅頭を頬張るミウとミサキ。

 そのミサキのもう片方の手には焼きそばが――。

 いつの間に……。




 いつまでも観光気分でいるわけにもいかないので、俺たちは早々に食事を平らげ、山に登ることにする。

 しばらく登ると、先ほどの観光名所のような景色とは打って変わった、自然があふれる景色となった。

 周りを警戒しつつ、俺たちは山道を一歩一歩登っていく。

 目指すは山の中腹、そこには飛竜が生息している。

 初めて見ることになるであろう竜に期待と不安を抱きつつ、着実に生息地に近づいていった。


 どれぐらい歩いただろうか? 何やら大きく開けた場所に到着、その地面には大きな足跡が――。

 その時、俺の周りの日が陰り、一瞬暗くなる。


「カナタ! 上!?」


 ミウが叫ぶ。

 その言葉に従い、俺は上に視線を上げる。

 すると、大きく翼を広げた竜が、俺たちに腹を見せるような形で上空を旋回していた。

 はるか上空にいるにもかかわらず、その迫力たるや見るものを圧倒し、正しく空の王者たる風格がある。


 竜はゆっくり旋回しながら地上に近づき、やがて地面へと降り立つ。

 尾の長さを含めると体長は優に5mを超え、頭には二本の角、大きな口と鋭い牙はその強さを象徴するかのようだ。

 


リトルドラゴン  LV30


 HP   :2500


 MP   :50


 力   :700


 体力  :800


 かしこさ:300


 運   :60


 スキル:飛行

     炎のブレス

     

 

 

 この大きさでリトルドラゴンって……。

 リトルではないドラゴンはどんなに大きいんだ? とてもじゃないが遭遇したくない。

 

 ステータスを見る限りではこの間の祠の番人よりは弱そうだ。

 もちろん油断はしないが……。



ブォォォォォッ!!!

 

 

 ドラゴンがその大きな口を開ける。そこから飛び出したのは真っ赤な炎のブレス。

 俺はとっさに横に避ける。

 その炎は一直線に飛んでいき、後方の木々を一瞬にして焼き尽くす。

 

「うわぁ……。ヤバいなぁ、あれ」


 その威力を目前にし、背筋が凍る。

 あれは食らってはいけないものだ。

 俺は再度、気合を入れ直し、ドラゴンと対峙する。



ドガガガガッ!!


 ミウ、ミサキの魔法がドラゴンへと命中する。

 その攻撃にドラゴンは怒りの咆哮を上げる。

 魔法に気を取られている隙に、俺は魔力を剣に流し、ドラゴンの胴をかすらせるように斬りかかる。


シュパッ!


 ドラゴンの屈強な肉体を守っていた鱗が一部剥がれ落ち、地面へと落ちる。

 俺は素早くそれを拾い、ミウとミサキに声をかける。


「手はず通り逃げるぞ!」


 必要なものが手に入れば、今回は特にドラゴンを倒す必要はない。

 俺は魔法を唱える。


「ディープミスト!」


 深い霧がドラゴンとその周りを覆う。

 ドラゴンの視界を遮った所で俺たちは退散する。

 今回は祠の番人のときと違い成功したようだ。


 急いで山を下り、かなりの距離を稼いだ所で、俺たちは走るスピードを落とす。


「……楽勝」


 ミサキが胸を張る。

 まあ今回は倒す必要が無かったからな。

 倒すとしたら結構面倒くさいことになっていただろう。


 俺は先ほど手に入れた鱗を確認し、小袋へと仕舞った。

 さて、マリーさんのところへ急ごう。

 

 

 




「ありがとう! 助かったわ!」


 マリーさんは鱗を受け取ると、その鱗をすり鉢のようなもので細かく粉末にしていく。

 そして出来上がった粉末に何やら液体をかけ、魔法を詠唱する。

 液体を加えた粉末が輝き始め、その輝きが収束した後には、何やら丸薬のようなものが出来上がっていた。


「よし! 成功!」


 マリーさんが喜びの声を上げる。

 一部始終を見ていた俺は、マリーさんに質問をする。


「それが薬ですか?」


「ええ、そうよ。作り方を教えてもらったの。これで母の病状も回復するわ」


 そう言うとマリーさんは、薬を持って奥の部屋に引っ込む。

 俺たちは特については行かず、ここで待たせてもらうことにした。

 しばらく待っていると――


 「お母さん! しっかりして!! お母さん!!」

 

 奥の方からマリーさんの悲鳴が聞こえてきた。

 その尋常ではない叫びを聞き、俺たちは奥の部屋へと駆けつける。

 

 すると、マリーさんの目の前で苦しそうに横たわる初老の女性の姿があった。

 

 「何で!? 薬を飲ませたのに!!」


 マリーさんの悲痛の叫びが響く。

 俺は、倒れているおそらくはマリーさんの母親だろう女性のステータスを確認する。

 

マリアンヌ LV15


 HP   :20


 MP   :20


 力   :15


 体力  :10


 かしこさ:90


 運   :50


 状態:????

    竜毒





 状態を確認した所で俺は詠唱を開始する。


「すべての毒を浄化せよ……キュアポイズン!」


 淡い光が女性を包む。

 すると、女性の苦しそうな顔が次第に穏やかになる。


 ステータスを確認した所、毒は消えていたのでとりあえずは安心だ。

 マリーさんも安心したのかその場でへたり込む。


 竜毒というのが気になった俺は、残っていた丸薬を調べてみる。

 


  竜鱗の丸薬


   竜毒付与100%


 

 どこが丸薬だと突っ込みたくなるが、どう見ても毒物だ。

 間違いなく異変はこれのせいであろう。

 

 俺はマリーさんの母親に魔法をかけ、体力を少し回復させる。

 そして、マリーさんの落ち着くのを待ち、事情を聞くことにした。




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