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第30話 祠の番人

更新が遅くなって申し訳ございません。

「ぐはっ!」


「きゃあっ!」


 金ピカをかばったメイドは、番人の攻撃を受けきれず、金ピカもろとも後方へと吹っ飛ばされる。

 番人は、のそっと体を動かし、2人に近づく。

 そこへ、ミウとミサキの放った魔法が着弾する。

 番人の気が逸れたところで、俺は二人に近づく。


「立てるか?」


 俺の問いにメイドが頷く。どうやら多少ダメージは殺していたらしい。

 だが、金ピカはダメそうだ、気絶している。


「ここは俺たちが何とかする。お前たちは逃げろ」


 俺は2人に逃げるように促す。


「不本意ながら我が主の安全の為、そうさせてもらいます。生きていたら必ず借りは返しますわ」


 そう言うとメイドは、金ピカを背負って、ものすごいスピードで逃げていく。

 あのスピードが出せるのなら、俺達が何とかしなくても逃げられたんじゃあないのか? と突っ込みたくなる。

 まあ考えても仕方ない。俺はこの怪物に集中しよう。

 番人は、いなくなったターゲットに変わり、俺をロックオンしたようだ。

 4m程の巨体のさらに上、見上げるような高さから腕を振り下ろす。


ドカァァァァァン!!


 視界を遮るくらい大量の土煙が上がる。

 モーションが大きかった為、避けられはしたが、アレは不味い。

 あまりの迫力に嫌な汗が流れる。


ガガガガッ!


 後方からの氷の矢が番人を襲った。

 その隙に俺は距離を取る。







 どう倒していいか見当もつかない。

 とりあえず逃げるか。俺は前回使った作戦を実行に移す。


「霧よ、辺りを覆いつくせ! ディープミスト!」


 番人の周りに深い霧を発生させる。これで幻でも見せている隙に……




フォン! フォン! フォン!


 何やら不吉な音がする。

 発生させた深い霧が、みるみるうちに飛ばされていく。

 その中心には、腕を大きく広げ、コマのように高速回転する番人の姿があった。

 おそらくスキルか何かだろう。

 霧が飛ばされたのは残念だが、1つスキルを見られて良かったと思うことにした。

 あれをいきなり接近戦で使われたら、一瞬にして吹っ飛ばされていただろう。

 回転が徐々に緩やかになっていく。

 やがて回転が止まり、再び番人が正面に仁王立ちする。


どしーん!!


 あっ、こけた。






 決め手に欠けたまま、時間だけが経過する。

 相手のリーチが長い為、中々接近させてもらえない。かと言って相手も、ミウとミサキの魔法が牽制と目眩ましになり、俺に決定的なダメージを与えられないでいる。

 だが、このままの状態が続けば、体力的にこちらが不利だ。


「カナタ〜! 少し離れて〜!」


 ミウが俺に向かって叫ぶ。2人が何かやるみたいだ。

 俺は番人と距離を取る。


「……ウインドストーム!」


 突風が番人めがけて吹き荒れる。

 すると、番人の毛むくじゃらの毛がめくれ、中から巨大な一つ目が現れる。


「アイスシュート!」


 尖った氷の矢が大量に発生、その中の幾つかが、その一つ目に命中する。


グォォォォォォン!!


 番人の咆哮があたりに響く。

 決定的なダメージにはなっていないが、一時的には視界を潰せたみたいだ。


「ミウ、ミサキ! 撤退しよう!」


 俺が2人に声をかけたその時、


「カナタ、あぶない!!」


 ミウが叫ぶ!

 離れたところで、番人が大きく口を開けている。


シャーーーーーーーーッ


 氷のレーザーとでもいうのだろうか。大きな口から、一直線に俺目掛けて放たれる。

 俺は咄嗟に避けようとするが、


「ぐわああぁぁぁぁぁぁっ!」


 レーザーは、俺の左手をかすめる。

 左手は見事に凍りついてしまった。


「「カナタ!!」」


 ミウとミサキが駆け寄る。

 ミサキが氷を溶かし、ミウが治癒魔法をかけてくれるが、左腕は動かない。

 番人は両手を振り回し、その場でめちゃくちゃに暴れている。

 まだ視界は回復していないようだ。


「治療は後だ。先ずはここを脱出しよう!」


 感覚の戻らない左腕を気にしながら、俺は2人と供にその場を脱出した。







「……カナタ、大丈夫」


 ミサキが声をかけてくる。

 ミウも心配そうに俺の顔を覗き込んでくる。

 現在もミウが治癒魔法をかけてくれている。


「ああ、多少感覚が戻ってきたので、おそらくは大丈夫だろう。ミウもありがとう、だいぶ楽になったよ」


 俺は心配する2人にそう答え、起き上がろうとする。


「カナタは今日は寝てなくちゃダメ!!」


 ミウに怒鳴られてしまった。

 今日はお言葉に甘えて寝ていることにしよう。






 例の番人については、ミサキがギルドに報告を上げている。

 数日のうちに討伐隊が編成されるだろう。

 俺も出来れば参加したい。今のままでは2人に反対されるだろうけど……。

 分かっているつもりだったが、今回のことで俺の力不足を痛感させられた。


 強くなりたい。


 皆を守れるだけの力が欲しい。


 その為には、もっと頑張らなくては…。


 ミウの治癒魔法が心地よく感じる中、俺の意識は夢の中に溶け込んでいった。





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