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第20話 フレンズ

 荘厳な雰囲気を醸し出す巨大な門。

 優に8mはあるであろう巨大な城壁。

 壁のあちらこちらに残る傷跡の生々しさが、この世界が現代のような平和な世界では無いことを物語る。

 その城壁越しに見える巨大な城が、おそらく王城なのだろう。

 そう、俺たちは今、ガルド王都の正門前にいる。


「うわ〜。おっきいね〜」


 ミウも初めての王都に興奮しているようだ。

 く言う俺も少し興奮気味なのだが――。

 やはり男子たるもの、巨大なものに惹かれてしまうのは仕方がない。


「……あの列に並ぶ。身分証明はギルドカードで大丈夫」


 王都に住んでいたことがあるミサキは慣れたものである。

 興奮している自分が少し恥ずかしくなってきた。


「……ふふっ」


 ミサキが俺に向かって、微笑ましいという目を向けてくる。

 くそっ、悪かったな。子供で!






 列は進み、俺たちの番になった。


「身分証はあるか?」


 事務的に門番が聞いてきた。

 俺とミサキはギルドカードを提示する。


「ふむ……。よし、問題なし。ようこそガルド王都へ!」


 特に問題なく、俺たちは王都の中へ。

 目の前には、ベラーシの街とは比べ物にならないくらい華やかな城下町が広がる。


「うわ〜♪ カナタ、すごいよ!」


 確かに凄い! およそ1日、2日では回りきれないくらいの店が立ち並んでいる。おそらく城門の入り口付近は商業街なのだろう。

 住人、冒険者など、色々な人で賑わい、ごった返している。

 馬車とユニ助を別荘に送っておいてよかった。

 馬車で入場したならば、ゆっくりゆっくり進ませないと、すぐ人を()いてしまいそうだ。そんなトロトロ走っていたら日が暮れてしまう。

 俺たちはミサキの案内の元、先ずは中心街にある冒険者ギルドに寄ることにした。




 ギルドに着き、早速中に入る。

 ギルドの中は、確かに広いことは広いのだが、大きさ以外は街のギルドと代わり映えしない。

 王都のギルドといえば、もう少し豪華な感じだと思っていたので、少々拍子抜けをした。

 まあ、俺の勝手なイメージだったので特に気にせず、依頼の貼ってある場所に移動する。

 Gランクの依頼を見回したが、討伐系の依頼はほとんど無い。

 また採取系でも良いかと思っていた所に、ミサキから声がかかる。


「……これが良い」


 片手に持っていた依頼の紙を俺に渡す。




 <ビーストの毛皮の調達  1枚につき銀貨1枚(保存状態により増減)>



 ビーストという魔物は、主にダンジョン2階にいるらしい。

 しかしよく見るとランクEの依頼である。


「……大丈夫、私はFランク」


 ミサキはこの間Fランクになったばかりとのこと。

 それならば、パーティー申請すれば俺もEランクまで受けられる。


「よし、これにしよう!」


 俺たちは紙を片手に受付へと向かった。






「こんにちは。依頼の受注ですか?」


 受付の女性が営業スマイルで応対してくれる。


「ええ。ただその前にパーティー申請をお願いします」


「パーティーでの受注ですね。では、こちらに必要事項を記入して下さい」


 そう言うと、受付用紙を1枚渡される。

 記入は簡単、パーティー名、メンバー名のみだ。


「パーティー名かぁ…」


 どうしようかと考えているところで、


「……カナタ・ミサキの愛の巣」


 ミサキがぼそっと提案する。


「却下」


 1秒と置かず却下する。


「う〜っ。ミウもいるよ!」


 名前が入っていなかったのがご不満だったのか、ミウが主張してくる。


「……カナタ・ミサキ・ミウの愛欲の日々」


 ダメに決まってる! もはやパーティ名ですらない。


「あいよく?」


 ミウさん、覚えなくて良いです。いつまでも純粋でいて下さい。


「……ふふっ」


 最近ミサキにからかわれる事が多くなってきた。

 それだけパーティーに溶け込んできていると思えるのは大変良いことですが、もう少し自重してくれると嬉しいです…。










 かれこれ数十分。

 いろいろ考えた末にようやく結論が出た(真面目に考えていたのは俺だけだが……)。


 パーティー名は「フレンズ」

 これからも信頼できる仲間を増やしていこうという意味が込められている。

 申請用紙に記入した俺は、再度受付へと向かった。





今回、短くてすいません…。

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