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第13話 嫁降臨

 バレン村の北には草原が広がっており、草原を抜けると低く広がる岩山がある。

その岩山を越えた場所にある浅い洞窟、すなわちゴブリンの巣を目指して、俺とミウは草原を歩いている。

 馬車は目立つのでバレン村に置いてある、すなわちユニ助は留守番である。

 大人しくしているように言い聞かせてあるので、おそらく問題は起こさないであろう、そう思いたい。

 別荘を利用しても良かったのだが、知り合いのいる村で目立つ行動は控えることにした。


「久しぶりにカナタと2人で冒険だね〜♪」


 ミウはご機嫌である。

 いや、もう少し緊張感を持って欲しいのだが……。


 しばらく歩くと草原の終わり、すなわち岩山が見えてくる。見回りのゴブリンもいるだろうから、慎重に行動しなければなるまい。


「ミウ、周りに注意してくれ。そろそろゴブリンに遭遇するかもしれない」


「了解だよ!」


 俺たちは周りを警戒しながら岩山に向かった。





「カナタ、何か動いたよ!」


 ミウの指摘に目を凝らす。

 岩山の上を何やら人が歩いている。旅人か?

 とりあえずここは危険なので、早く行って知らせてあげよう。

 俺はミウを乗せたまま岩山へと走り出す。


 近づくにつれて人の輪郭がはっきりしてきた。

 紺色の三角帽とマントを身にまとっている。俗に言う魔女ルックだ。

 彼女もこちらに気づいたらしく、じっとこちらを見ている。


「すいません。近くにゴブリンの巣があるので、ここは危ないですよ」


 しかし彼女は、じーっとこちらを見つめたままだ。

 何秒たっただろうか、彼女があまり表情を変えずに答える。


「……大丈夫。ゴブリン程度私にかかれば雑魚。問題ない」


 何だかちょっと変わった子だなぁ。


「……あなたにとってもゴブリンは雑魚。お互い心配無用」


 ん!? 


「……あなたは強い。6属性なんて初めて見た」


「えっ!?」


 この少女、なんで分かったんだ? 少女のステータスを確認してみる。


 ミサキ LV10


 HP   :350 (+100)


 MP   :1200 (+500)


 力   :135 (+100)


 体力  :190  (+100)


 かしこさ:1500 (+500)


 運   :500  (+100)


   女神の加護(小)

   魔法の才能

   ステータス閲覧

   属性魔法 火

   属性魔法 風

   属性魔法 無

   属性魔法 暗黒


  

 ステータス閲覧がある!? なるほど、これでバレたのか。

 女神の加護で4属性、しかも暗黒まである。たしか暗黒魔法は使える人がいないはずだが……。

 驚く俺をみて彼女は答える。


「……どう? 私もかなり使えると思う。あなたのパートナーにぴったり」


 どうやらこちらもステータスを確認したのが分かっているようだ。

 なにげに少女がアピールしてくる。

 いや、いきなりそんなこと言われてもね。

 外見はかなり可愛いので惹かれてしまっている俺もいるが……。


「キュ〜」


 ミウもどうすればよいのか分からないらしい。


「……大丈夫、私は生き物大好き。あなたともうまくやっていける」


 悩む俺たちに、少女は続ける。


「……あちらにゴブリンの巣がある。私も行く。パートナーのお試しにはピッタリ」


 なるほど、そういう事なら良いか。

 しかし、無口そうな割にはよく喋るな、この子。

 俺はミウと相談の上、とりあえず連れて行くことにした。

 戦力は1人でも多いほうが良い。


「……良い選択をした。お得感満載。やったね」


 ホントに良かったのかなぁ……。







 しかし、ステータスの閲覧を他の人間が持っていたのには驚いた。

 ミサキ曰く、女神の加護が得られると同時に取得したとのこと。

 だだし女神の加護自体珍しい能力(他には、俺以外見たことない)らしい。

 だが、油断は禁物だ。

 俺には見られたくない能力が多い。

 何か隠蔽できる方法がないものか、後で女神様(女神えもん)にお伺いを立てよう。

 小袋ポケットから何か出てくるかもしれない。


ご意見・ご感想お待ちしております。


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