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TCGコレクターのイラストアドな異世界生活!?~異世界に飛ばされたけど、推しカードの見た目や性能で召喚されたので、特に問題はありません~  作者: 虎柄トラ
第1章 樹海ミスト編

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第96話 俺、異世界でウルフ肉の煮込みを堪能する

 エリンの筋肉痛も完治したことだし、これですぐにでも師匠の家に向かうことが出来る。


 師匠の家に行く前に昼飯を食べておこうと思った俺はリリアーヌとシスティの会話に割り込んだ。


「話の途中にごめんな、リリアーヌ。エリンも起きたことだし今から昼飯を食べようと思うんだ。なので、日替わり3つお願いな!」   


「・・・わかった、お父さんに言ってくるね。3分ぐらいで出来ると思うから、早めに降りてきてね」


 リリアーヌは座布団から腰を上げ俺たちにそう言い残すと部屋をあとにした。


 俺とリリアーヌの会話を聞いていたエリンは自分もお腹が減っていたことに今頃になって気づいたのか、お腹を手で左右に動かすようにして触っている。


 彼女が空腹だということに気づかないほどに体力を消耗していたことにも驚いたが・・・それよりもさらに驚いたのは気づいた瞬間すぐにグゥ~とお腹が鳴っていたことだ。


 さて、それじゃリリアーヌから遅いと怒られる前に1階に降りようか。


「エリン、システィそれじゃ昼飯を食べに行こうぜ。あまり遅かったらまたリリアーヌに怒られちゃうしな」


「そうね、分かったわアスティナ。それと・・・システィさんのこともあとで紹介してよね、わたしだけ仲間外れみたいで嫌なんだけど!」


「ちゃんと紹介するから・・・ただ色々と訳ありだからさ、あとで師匠のとこで話すわ」


「・・・・・・イクストリアのところで・・・わかったわ」


 システィを紹介するためだけにわざわざ師匠の家に行くことにエリンも何か感ずいたのか、それ以上問い詰めてくることもなく素直に聞き入れてくれた。


 俺たちは部屋を出るとついさっき部屋を出て注文をゲオリオさんに伝えに行ったはずのリリアーヌの姿が見えた。


「もう注文を通してきたなんて、さすがは看板娘のリリアーヌだな!」 


「ふふん、アスティナちゃん。そんなことで褒められても嬉しくないけどね」


「それでわざわざ出迎えてくれたってことは何か用があるんじゃないか?」


「あ~、そうなの!エリンお姉ちゃんの部屋の鍵、預かったままだったから返しておこうかと思って・・・」


 どうやらリリアーヌはエリンの部屋の鍵を持ったまま部屋を出て行ってしまっていたようで、わざわざそのことで部屋にまで戻ってきてくれたらしい。


 どうせ食堂で会うのだからそのときでも良かったとは思ったが、少しの間とはいえ部屋を空ける以上、戸締りはしっかりと、というやつか。


 正直なところ・・・この宿屋で何かを盗もうと忍び込んでくるような命知らずはいないだろうけど・・・。


 昼飯を食べたあとそのまま師匠のとこに向かうことをエリンに伝えていたこともあり、彼女はリリアーヌに自分の部屋を施錠して、そのまま預かっておいて欲しいと伝えていた。


 リリアーヌはエリンの言う通りに施錠し、鍵を持つと俺が褒めたことが嬉しかったのか、看板娘として俺たちを席にわざわざ案内してくれた。


 日替わりはいつものパンとサラダに定番のウルフ肉を使った一品がつくのだが、今日の一品はウルフ肉の煮込み。


 この料理は俺のウルフ肉料理ランキングで堂々の一位・・・ウルフの肉は脂身が少ないため、赤身の旨味はあるのだがその分なかなかの歯ごたえがあり、噛み切るのに結構顎が疲れたりする。


 ここの宿屋で出される料理でそこまで硬い肉が一度も出たことがないのは、それだけゲオリオさんが丁寧に下処理をしてくれているからだろう。


 その中でもこの煮込みはもうスプーンで軽く押すだけでホロホロと崩れるほどに煮込まれており、本当に歯が無くても食べられるといっても過言ではない。


 脳内でひとりグルメ番組のように感想を述べているとリリアーヌが料理を運んで来てくれた。


「お待たせ~、まずはエリンお姉ちゃんの分ね。アスティナちゃんとシスティお姉ちゃんの分もすぐに持って来るからね」


 目の前に料理が並べられたエリンのそれは待てをされている犬のように料理から目を離さそうとせずにジーっと見続けている。


 俺とシスティの分が揃うまで待っていてくれているのだろうが・・・そんな状態で待たれたら、こっちが気まずくなるわ。


「アスティナちゃん、システィお姉ちゃんお待たせしました~!」


 俺たちの料理も届き、揃ったところで俺は「それじゃ、早速食べようぜ」とふたりに声をかけた。


 俺とエリンは両手を合わせながら「いただきます」と言うと、システィも俺たちの動作を真似ながら「いただきます」と言った。


 ここでご飯を食べる時に毎回していた動作を傍でずっと見ていたエリンも気づいた時にはするようになっていた。

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