第61話 俺、異世界で寝起きの師匠を見る
セレーンさんに別れの挨拶をすませるとその足で町をぶらぶら歩きながら次に向かう場所をどっちにするかエリンと相談することにした。
「次なんだけど食器を探しに行くか師匠の本屋に行くかで悩んでいるんだけどどっちがいいと思う?」
「そうねぇ・・・食器を見に行きたいところだけど1時間じゃ全然足りないわ。その2択ならイクストリアのとこでいいんじゃないの」
「だよな・・・食器以外も絶対見て回るだろうしな。それじゃ師匠のとこに魔法書を漁りに行こう!」
エリンは「アスティナったら・・・」と首を横に軽く振る動作をしながら俺にそういった。だが俺は彼女がそんなことをいいながらも顔が笑っていたことを知っている。俺は靴屋から本屋までの道のりをそのことを軽くいじりながら移動するのであった。
そして次の目的地となる本屋に到着すると実家のような感じでエリンはそのまま扉を開けると「イクストリアいる~?」といいながら中に入っていった。
俺はまだ2回目ということもあり、この本屋の禍々しいデザインに慣れてはいないのと師匠の本屋ということもあり彼女のように行動するのはもっと後の話になるのだろう。俺もエリンのあとを追うように「お邪魔します・・・師匠」といいながら本屋に足を踏み入れるのだった。
すると初めて会ったときのようにまた奥の部屋から「ま~た君たちか・・・ふあぁぁ」という声と共に師匠が出てきてくれた。
もう昼を過ぎているというのについ先ほどまでまだ寝ていたのか師匠の髪はボサボサだった。それと寝間着は着てはいるのだが黒いネグリジェのみ・・・。
師匠はどうやら寝るときは下着を付けない主義らしい・・・俺はその姿が目に映った瞬間首を90度動かすと視界に入らないようにした。
実際の師匠の年齢は分からないが見た目が12歳ぐらいの女の子のほぼ裸な状態をマジマジと見るのはさすがにヤバいだろ。いや・・・大人の女性もマジマジと見るのはいけないとは思うよ・・・だけどなんかこっちはもっと・・・・・・俺は誰にいっているのだろうか・・・。
その姿を見たエリンはすぐにブラシをポーチから取り出し、髪をとかし始めると同時に着替えを部屋から探しているのか周囲を見渡している様子。
早速着替えを見つけたのか俺に「そこのワンピースを持って来て!」といってきた、俺は師匠を見ないようにしつつエリンに着替えを手渡した。それからひと通り着替えが完了するとエリンはこちらを見ながら「ふふん、わたしが仕上げました!!」と満面の笑みでいうのであった。
師匠もやっと目が覚めたのかさっきまでのボケボケ感がなくなり、昨日会ったときのカッコ可愛い師匠に戻っていた。
「・・・それで今日はどうしたんだい?」
「師匠おはようございます。依頼の手続きが終わるまでの間ここで本を読ませていただければと思いまして・・・」
「あー、そういうことなら好きにすればいいさ。君は僕の弟子でもあるのだから」
「はい、ありがとうございます」
俺は師匠に礼を言うと早速魔法書が置いてある本棚に向かうことにした。エリンはというとそこら辺に落ちている本をペラペラとめくっては元の場所に戻すことを繰り返していた。
そしていざ本棚に向かおうとしたとき本屋に入った瞬間のことがちょっと気になったので移動する前に聞いてみることにした。
「あの・・・師匠、鍵とかかけないのですか?エリンがそのまま扉を開けたように見えたのでちょっと気になりまして・・・」
「・・・・・・鍵はかけていないよ。その代わりこの建物に結界というか障壁のようなモノを張っているんだ。簡単にいえば僕が認めた人しか通れないようになっているってわけさ」
「それって・・・維持するのに魔力を常に消費しているってことじゃ・・・?」
「君のいう通りさ。それにこれぐらいの維持なら特に問題ないさ、ほっていても勝手に回復するし」
師匠はそういうとやはりまだ少し眠いのかまた部屋に戻ろうとしていた・・・ただその動きを察知したエリンによってすぐに元の位置に戻されていた・・・。
俺はそんなコントを見ながら魔法書を読みに行くために本棚に向かった。それからガラクが指定した時間になるまで魔法書を読み漁るのだった。
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