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TCGコレクターのイラストアドな異世界生活!?~異世界に飛ばされたけど、推しカードの見た目や性能で召喚されたので、特に問題はありません~  作者: 虎柄トラ
第1章 樹海ミスト編

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第27話 俺、異世界で手合わせをする

「ヤバい、ヤバい!さっさと宿屋に戻らないと!!」


「ブーツがあって助かった。てか、このブーツを売ってくれたセルーンさんに感謝しないとな!」


「それにしても・・・、アッシュがあれほど信頼を置くセルーンさんって・・・マジで何者なんだよ!?」


 次に会ったときには彼女を鑑定してみようと思った。どうにも俺は鑑定を発動し忘れることが多い。先ほどだってアッシュが鑑定を発動したことを話したから、俺も発動をしたが彼がそれを話さなかったら完全に忘れていただろう。


「鑑定をすることを体に覚えさせないとな・・・。だがその前にどうかエリンにまだ気づかれていませんように・・・」


 そのまま走り続け、宿屋まで残り半分を過ぎた頃だった。俺はふと違和感を感じ周りを見渡した。すると、あれほどにぎやかだった通りなのにいまは誰ひとり歩いていないことに気づいた。


 時計を持っていないため正確な時間は分からないがまだ19時半にもなっていないはずだ。中世ヨーロッパっぽいとはいえ、普通に街灯もあるし治安も1日中歩き回っていたので悪くないことも知っている。


 それなのに町の住人が全員外出しなくなることなんてあるのだろうかと考えながら走っていると、前方に仮面を着けた人物が立っていた。


 ローブらしきモノを着ていて、体のラインは分かりにくかったが小柄な感じがしたので女の人かまたは俺ぐらいの男の子であろうと思ったが、今日の教訓の1つである鑑定をまずは発動した。


「・・・・・・また鑑定ができないやつか・・・。この町化け物しかいないのか?こういうパターンのときどんな展開が多かったっけか・・・思い出せん。よし、無視して走り抜けるか」


 俺はさらに速度を上げて走り抜けることにした。これならそのまま仮面の人を無視して走り抜けれると確信したときだった。急に真横から俺に話しかけてくる声が聞こえた。


 俺はその声が聞こえた方に反射的に顔を向けた・・・。そこには先ほどまで正面にいたはずの仮面の人が俺と同じ速度でこちらを見ながら走ってついてきていた。


「そこのお嬢さん!ちょっと手合わせしない?」


「全く気づかなかった・・・」


「なんでこいつこんなにフレンドリーに話してくるの?・・・で、いまなんていったよ?」


「だ~か~ら、わたしと手合わせしない?」


「・・・なぜ?俺があんたみたいな怪しいヤツの手合わせしないといけないのさ!!」


「受けないとこの町の住人はこのまま消えたままになるけど、それでもいいならこのまま宿屋に帰ってもいいよ?」


「・・・・・・この通りに人がいないのはお前の仕業だと?」


「だから、そういってるじゃない?わたしと戦らないとみ~んな消えたままだよ!そうエリンもねぇ?」


 その言葉を聞いた瞬間、俺は走るのをやめた。どうやらあいつは俺の情報をある程度知っているようだ。この町に来て1週間経つが実際に俺が動いた期間はこの1日しかない、それで俺の情報をどうやって仕入れたのか気になった。


 それに樹海以外でアスティナの能力を発動したこともないし、能力もエリンの前で発動したアスティナを守護する者と眷属の魔眼ぐらいのはずだ。


 眷属の魔眼についてもエリンに対して発動はしたがあのことを覚えているとは思えない。そもそもエリンが俺の情報を漏らすこと自体が考えにくい。


 ならば、樹海にいたときに俺たちの行動を隠れて見ていたやつがいるのか。それとも俺たちを助けてくれた冒険者が誰かに話したのか。そんなものどう考えても冒険者から漏れたに決まっている。


 なぜなら俺が最後に樹海で使ったのは血狂いの乙女だからだ。あれの攻撃対象は敵意がある相手。ただ視界にはいっただけならともかく俺の情報を知ろうとして視ていた場合、あの能力は敵意がある相手として認識する。なぜか分からないが絶対にそうなると理解することができた。


 そうなると冒険者が話す相手はあるギルドしか思いつかない。それは冒険者になるなら所属することが必須になる冒険者ギルドだけだ。


「・・・・・・・・お前、冒険者ギルドから依頼でも受けたか?」


「・・・・アスティナあなたなかなか賢いわね!さっきの会話でそこまで分かったの?そこまで理解したのなら、やめとく?依頼に気づかれたら、やめていいといわれてるのよね、わたし」


「いや、いまの俺の実力を知るためにも手合わせ願おうかな!それにあんたそのまま帰ったら、報酬減額になるだろ?」


「すごい、すごいよ!アスティナそんなことまでわかるなんて・・・それじゃ、早速ヤロウヨ!!」


 彼女がそういいながら構えた途端、急に周囲温度が下がったような錯覚に陥った。それが彼女の殺気によって起こっていることに気づくと俺は選択を誤ったことに後悔した。

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