第11話 俺、異世界で知らない部屋で目覚める
俺はベッドの上で目を覚ました。窓から外を覗くとちょうど正面に広場が見え、その真ん中には大きな時計台があり、その時計の針はちょうど10時を示していた。窓から入ってくる日差しがとても心地がいい、それに小鳥のさえずりも聞こえてくる。
「ふあぁぁぁ!なんかめっちゃよく寝た気がするわ~!さて・・・、ここはどこなんだろうな?」
腕を伸ばすと、ボキボキといい音がなった。どんだけ寝ていたのかと思うほど体のあちこちが痛い。俺は上半身をねじりながら、周囲を見渡してみた。
「ベッドにテーブル、タンス・・・、シンプルすぎないかこの部屋」
「シンプルで悪かったわね、それにしてもあんた自分がどれだけ寝ていたかわかってるのかい?」
そんなことを言ってるとドアを開けながら、話しかけてきたおばちゃんがいた。なぜか説教まじりで言われた俺は適当に答えることにした。
「えっ、丸1日ぐらいじゃないの?」
「あんた、1週間だよ!1週間ずーと目を覚まさなかったんだよ!!」
「えっ、マジで・・・1週間ずーと寝てたの・・・俺!?」
「あー、そうだよ。その間ずっとエルフの子が世話してたんだよ!」
「あんた、会ったらちゃんと礼を言うんだよ!わかったかい!!」
そう言うとおばちゃんはドアを閉めて出て行った。ふとテーブルに目をやると水の入ったコップが置かれていた。
「やるな!あのおばちゃん、コップをいつ置いたのか全く気づかなかったぜ」
おばちゃんに感謝しつつコップを手に取ると一気に流し込んだ。
「ゴホゴホ、ヤバい、気管に入ったわ・・・ゴホゴホ・・・はぁ、はぁ、焦った~。1週間飲まず食わずでいきなり流し込んだら、ダメよなやっぱ」
そして、咳もひとまず落ち着いたころ、おばちゃんが言ってたことを思い出した。「あー、そうだよ。その間ずーとエルフの子が世話してたんだよ」彼女はエリンはちゃんと逃げれたんだな。そのことを実感すると俺は涙を流していた。
「はは、31にもなって泣きすぎだろ俺は・・・、でも年を取ると涙もろくなるっていうしな・・・これは年のせいだから仕方ない!」
そう自分自身に言い聞かせるとダムが崩壊したかのように泣きまくってしまった。もう布団は俺の涙でびちゃびちゃである。そんな大惨事の最中にドアが開いたと思えば、いつの間にか俺は彼女にハグされていた。
「おはよう。エリン血はちゃんと、とれたか?」
「おはよう。アスティナ・・・えぇ、それはもう完璧よ、気になるなら触ってもいいわよ」
それを聞いた俺は彼女の髪に触れたのだった。
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