第118話 俺、異世界で師匠に王都に行く事を伝える
「ふむふむ・・・リカバリーにはこういう使い方もあったとはね。本当に君は僕を楽しませてくれるよ、というかこれはかなり使える・・・」
「あー、師匠・・・リカバリーで治せるからといって酒の飲み過ぎは自重してくださいよ」
「分かっているさ、さすがの僕も毎回このガンガンする痛みを体験したいと思うほど物好きではないよ・・・それでここに来た理由を聞こうか?」
師匠が俺の話を聞く姿勢になってくれたので、早速話をしようとした時エリンが急に動き出し、師匠の背後を取った。
その行動を見て・・・俺は一旦話すことを止めた、理由はいつものやつだ。
本当なら彼女も師匠を風呂に入れてあれやこれや世話をしたいのだろうが、それを我慢しているのか少し不機嫌そうにしながらも師匠の髪をポーチから取り出したクシでとかしている。
いつそのクシを出したのかと思ったが、俺が師匠にリカバリーをかけていた時に密かにクシを取り出していたのだろう。
それから5分後・・・俺はひたすら目を閉じていた・・・・・・。
理由はエリンが師匠に万歳を強要し始めたからだ・・・俺はこの後どうなるかを実際に体験しているし、それに前回エリンが師匠を着替えさせる時にやっていた流れそのものだったこともあって、ここから着替えを見ないようにするために目を閉じた。
「むふぅ~!さすがわたしだわ・・・でも本当のことをいえばイクストリアをお風呂に入れたかったわ・・・」
「ふむ、僕は着替えとかもしなくても良かったんだけど・・・まぁでもありがとう、少し髪が鬱陶しいかったんだ。さて、弟子待たせたね・・・って、どうして君は目を瞑っているんだい?」
師匠のその声でやっと着替えが完了したことを知り、目を開けた。
目の前に見えた師匠は今日俺にシスティにしてもらった三つ編み仕様になっていた、いつも会う師匠の髪は基本的にストレートだったこともあり、いつもの髪型と違うだけでこれほど印象が変わるとは思いもしなかった。
それ以前に・・・なぜに三つ編み。
俺が口が開けぼーっと師匠を見ていると「お~い、君ぼーっとしてどうしたんだい?」と俺の方を見ながら立つのが面倒くさいのか、四つん這いで近づいてくる。
師匠が進んできた分、俺もその分後ろに下がる・・・パフッ!っとなにかクッションのようなものに当たり後ろに下がることが出来なくなった。
背後を見ると、いつの間にか後ろにシスティが座っていた。
そして・・・俺がクッションだと思っていたものは案の定システィの胸でした・・・どおりで頭部に当たった感触に覚えがあったわけだ。
システィは俺の顔を見るや否やギュッと背後から抱きしめてきた・・・やばいこの感じまた朝のあの面倒くさい感じになると判断した俺はこの誘惑を断腸の思いで断ち切り、背後からガッチリと俺の身体を固定するように組まれている両手の指を一本ずつ外していく。
その度にシスティは「アスティ・・・」と後ろで悲しそう声を出してくるが、俺はそれを無視し続け彼女から解放されるまでそれを続けた。
解放された俺はすぐにエリンの方に目を向けると、彼女は自身が生み出した芸術を満足した様子で見ている。
エリンもシスティもこのあとの予定を忘れ過ぎだろ・・・。
「あのさ・・・君、そろそろ説明してもらってもいいかい?」
「あっ、はい、すいません師匠。えっとですね・・・今日このあとすぐに王都に出向かないと行けなくなったんです」
「ほぉ・・・王都・・・・・・そういうことか・・・また君も面倒くさいことに巻き込まれたねぇ、センチネルだけじゃ抑えきれなかったってことか・・・」
俺が王都に行くことを伝えただけで、師匠はすぐに理解した様子で手を頬に当て、ため息をつきながらそう呟くように俺に言った。
もうほぼ俺がこれから言う事を理解しているのだろうけど、ヤマブキさんに言われてことを思い出しながら、師匠に話していった。
「それさ・・・君、ヤマブキに言うように言われた?あいつは昔からそういう言い回しを好むからさ」
「師匠、ヤマブキさんとも交流があったんですか・・・はい、師匠の言うように王都に行く前に師匠にちゃんと話しておくように言われました」
「そうか・・・はぁ・・・そうかぁぁぁ・・・・・・分かった。王都に行っている間のことは全て僕に任せておきなさい、君の師匠であるこの僕にさ!!」
「はい・・・師匠、よろしくお願いします」
「それと・・・センチネルが言った事は絶対に守る様に!あとは王都に入ってすぐ左手に魔法書を取り扱っている本屋があるからそこでテレポートを購入するんだよ、僕の名前を出せばすぐにその魔法書を出してくれるから・・・分かったかい?」
「・・・・・・はい、分かりました。師匠、それでは行ってきます!!」
このときの師匠は天を仰いだり、顎に手を当てたりと俺の話を聞いてから頭の中で何か考え込んでいた。
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