第111話 俺、異世界で髪型勝負をジャッジする
エリンとシスティのバトルは今回はエリンが勝利した。
最終的に何で勝負したかというと、髪型勝負になった・・・先行後行を決め、俺が興味を持った方の髪型に出来た方が勝者。
先行のシスティは俺の髪を綺麗に編んで、綺麗な三つ編みにしてくれた。
悪くないどころかもうこれで決定といってもいいぐらいに綺麗にまとまっている。
それにアスティナの長い髪がまとまることにより、とても動きやすい。
前にエリンがシニヨンとかいうお団子にしてくれたことがあったが、あっちはガッツリ固定でこっちは首を動かすと左右に三つ編みが揺れるのがなんとも癒される。
後行のエリンはおでこが出たポンパドールという髪型にしてくれた。
前髪がフワッとなるように軽くねじりながら後方に結び最後にエリンがプレゼントしてくれたヘアピンで固定して完成。
後ろ髪はクシを軽く通しただけのストレートで他は特に何もしていない。
鏡に夢中の俺を先ほど髪を結んでくれた両者がジッと見ている、さっさと勝者を発表しろと言わんばかりに圧がすごい・・・。
どっちの髪型もアスティナの魅力を十分に引き出してはいたが・・・今回はこっちだな、俺は勝者の腕を掴み上げて名前を呼んだ。
「勝者・・・・・・エリン!!」
「よっしゃぁぁ!!わたしのかちぃぃぃ!!」
「今回は潔く負けを認めましょう・・・ですが次は私めが勝利しますから・・・」
どちらも申し分はなかったが・・・勝因はただ一つ、おでこを出したアスティナという新ジャンルを開拓してくれたことだ。
カードのイラストでは常に前髪でおでこが隠れていたこともあり、見たことが無かった。
こっちの世界に来てから、風呂上りなどに何度も見ているはずなのに髪型としておでこを出すだけでこれほど雰囲気が変わるとは思ってもみなかった。
その後、外出の準備を済ませた俺たちはいま冒険者ギルドのギルドマスターであるセンチネルの部屋にいる。
部屋には討伐依頼を達成した俺たち3人と部屋の持ち主であるセンチネルとセルーン姉妹のいつものメンバーだ。
セレーンさんはおもむろに討伐依頼書を取り出すと、俺たちにオークキングからオークエンペラーの討伐依頼に変更したことと、討伐対象を間違っていたことにより、命の危険があったことなどを考慮してさらに報酬を上乗せしていることなどを説明してくれた。
「ということですので、皆さまにはそれぞれ下記に書かれている金額をお支払いいたします。では・・・何か質問などあれば・・・」
「セレーン・・・えっと・・・そもそものことを聞くけど、わたしたちってオークエンペラーと戦っていたの?アスティナ昨日オークキング討伐記念とかって・・・」
「それはわたしたちがエリンに内緒にしておくように言っておいたからですね・・・ごめんね、エリン。でも、あなたのことだから騒ぐでしょ・・・?」
「だって、セレーン分かってるの!!オークエンペラーって、オークキングが束になっても敵わない存在よ・・・それをあなたたちは!!」
エリンは冒険者ギルドの不備によって、俺たちが危険な目にあったことをセレーンに指摘する。
相棒の言うことは間違ってはいないし、そのせいで俺もエリンもセルーンも本当に死んでいたかもしれない。
セレーンもその事は重々承知しているはずだ・・・彼女も姉を失うかもしれなかったからだ。
ヒートアップしているエリンをこのまま野放しにしていると話が進まず、埒が明かないと思った俺は彼女をなだめる。
「エリン・・・まぁ俺たち皆無事に帰って来れたんだから、それでいいじゃないか・・・な?それにセレーンさんだって、セルーンを失う未来もあったかもしれない」
「・・・・・・そ、そうね・・・悪かったわ、セレーン・・・少し言い過ぎた」
「いいの・・・わたしだって同じ立場だったら、エリンのように怒るわ・・・・・・いや、エリン以上に言うかもしれない」
「ふふ・・・あはは、確かにセレーンならあり得そうね。あなたセルーンのことになると、まわりが一切見えなくなるものね!!」
一時はどうなるかと思っていたが、場の雰囲気もいつもの賑やかで楽しい感じに戻ったがエリンも俺のことになると・・・同類ではないだろうかと口に出しそうになったがギリギリのところで飲み込んだ。
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