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考察・随筆・エッセイ集

私的な「今年の漢字」は「博」、2025年の博物館来館遍歴を振り返って

作者: 大浜 英彰

【始めに】


 一部では「昭和100年」とも呼ばれた2025年も、残すところあと僅か。

 清水寺で毎年恒例の「今年の漢字」が発表され、各地の熊騒動から「熊」が大書された事も記憶に新しいでしょう。

 そして今年は大阪・関西万博が開催された年でもあるのですが、万博を表す「博」は7位だったみたいですね。


 とはいえ私個人と致しましては、今年の漢字は「博」なのですね。

 これは私の住む近畿地方で大阪・関西万博が開催されたのもあるのですが、私自身が各地の博物館に足繁く来館していたのも大きいです。

 そこで本エッセイでは、2025年における博物館の来館遍歴を振り返ろうと思います。

 私自身が近畿地方に住んでいるため、近畿地方の博物館の紹介に偏っている事は御容赦下さいませ。


1 高島屋史料館

 秋葉原と並ぶ電気街として名高い大阪市の日本橋にアールデコ風のモダンなビルが聳えているのですが、この高島屋東別館の2階にあるのが高島屋史料館です。

 割烹を読み返してみた所、2025年の1月11日(土)に来館していたので、その時の感想を引用します。


 昨日の土曜日は大阪市の日本橋に行く用事があったので、特別展示「吉祥うつし」に行ってきました。

 新年最初の企画展という事で「富士山」や「松竹梅」といった吉祥の象徴をモチーフにした扇子や振袖などが展示されていて、新年の清々しさを改めて実感した次第ですよ。

 中でも横山大観と下村観山が左隻と右隻をそれぞれ描いた「竹の図」は、巨匠同士の合作という事もあって圧巻でしたね。

 他にも川端龍子の「若松」や横山大観の「蓬莱山」も展示されていて、大正期における日本美術院の巨匠達の作品を間近で鑑賞する事が出来て実に良い休日を過ごす事が出来ました。


 この高島屋史料館は高島屋美術部の保有する美術品や百貨店関連の資料の特別展が定期的に開催されており、尚且つ高島屋東別館その物も重要文化財に指定されているので、内も外も見て楽しいのですよ。


2 大阪府立弥生文化博物館

 大阪府和泉市に位置する、弥生文化に関する資料の保存公開と情報発信を目的とする博物館です。

 私は4月下旬に令和7年度春季企画展「いのち輝く古代中国社会のデザイン」の際に来館したのですが、この企画展は私としては予想以上に良かったですね。

 何しろ春秋戦国時代の酒杯や璧(丸い玉器)や漢代の副葬品など、横山光輝先生の「項羽と劉邦」や「史記」などで見慣れた品々を間近で拝む事が出来たのですから。

 そうした歴史関係の展示は勿論ですが、「やよいミュージアムコンサート」と銘打ったクラシック音楽などのコンサートも一階ロビーで定期的に開催されており、和泉市の文化発信施設としても親しまれてますね。


3 大阪府立近つ飛鳥博物館

 大阪府南河内郡河南町にある博物館です。

 重厚なコンクリート建築は安藤忠雄氏により設計されており、独特の世界観が構築されています。

 木村拓哉氏の出演されたリポビタンDのCMのロケ地としてもお馴染みですね。

 今年は確か、令和7年度夏季企画展「古代人、食べる」に合わせて来館したと思います。

 煮炊きをする土器などを展示し、古代人の食生活を掘り下げる特別展でした。

 この夏季企画展の後、近つ飛鳥博物館は改修工事に入りました。

 再オープンの暁には是非とも来館したい所です。


4 歴史館いずみさの

 大阪府泉佐野市市場東に位置する博物館です。

 メインの展示はかつて中世に泉佐野市にあった九条家の荘園である日根荘の紹介なのですが、春夏季企画展「鉄道のまち泉佐野 今昔物語」や秋季企画展「正月引札-広告印刷物に見る佐野の商店-」など、様々な切り口から行われる企画展も良いですね。

 前述の企画展はどちらも見学しましたが、昔の南海電鉄のパンフレットや明治期の商店のチラシである引札など、どちらの企画展でも戦前の近畿地方の息吹を感じられましたね。

 また、歴史館いずみさのは入館無料なのも有り難いです。


5 キトラ古墳壁画体験館・四神の館

 ここで奈良県からノミネートです。

 国営飛鳥歴史公園キトラ古墳周辺地区内に位置する博物館です。

 メインの展示は何と言ってもキトラ古墳の四神の壁画ですが、こちらは特別公開で一種類ずつの展示です。

 常設展では壁画の発掘調査と保存の過程が映像資料などで紹介されていて、実に勉強になります。

 特別展に合わせる形で不定期に開催されるキトラ・プラネタリウムでは中国星座を主体にしたプラネタリウム番組が上映されるので、これも勉強になりますね。

 天文図の壁画の展示に合わせて上映された「夏の星空と中国星座」の番組は、とても面白かったです。


6 和歌山市立博物館

 南海本線の和歌山市駅から歩いてアクセス出来る位置にあります。

 割烹を読み返した所、私は5月18日(日)の国際博物館の日を利用する形で来館していたようですね。

 この時は「出版文化と和歌山~本を刷り、絵に刷られ~」という春期特別展が開催されていたのですが、江戸時代の和歌山の本屋や貸本屋について掘り下げられており、将軍家に所縁のある和歌山ならではの大衆文化の充実振りを学べました。

 ここは弥生文化博物館と同様に「関西考古学の日」のスタンプラリーの対象になっていますので、その意味でも重宝しています。


7 和歌山県立博物館

 和歌山市吹上に位置する博物館です。

 特別展では紀州徳川家を始めとする和歌山の歴史や文化を掘り下げてます。

 今年の秋季特別展「紀伊徳川家の威風」では徳川家康所用の具足や徳川頼宣所用の太刀など、重要文化財クラスの逸品を間近で見る事が出来て大満足でした。

 この和歌山県立博物館は毎月第一日曜が入館無料になり、尚且つJAF会員ならば会員証の提示で缶バッジを貰えるのも有り難いですね。

 和歌山県立近代美術館も隣接していますし、向かいには和歌山城もあるので観光に最適です。

 しかし今はエレベーターの改修工事で臨時休館中なので、来年7月の再オープンが待たれますね。


【終わりに】

 このエッセイは2025年に私が訪れた近畿地方の歴史系博物館の来館遍歴を振り返る物ですので、それ以外の博物館や美術館にも勿論訪れてますよ。

 それこそ和歌山県立博物館に隣接している和歌山県立近代美術館にはスタンプラリーも兼ねて定期的に来館しましたし、先月来館した堺アルフォンス・ミュシャ館ではミュシャと竹下夢二を比較展示する特別展がありましたし。

 そして今年は改修工事で臨時休館に入る博物館が幾つもありましたね。

 ここで紹介させて頂いた近つ飛鳥博物館や和歌山県立博物館もそうですが、大仙公園内にある堺市立博物館にしても改修工事入りですし。

 それらの博物館にも、来年の再オープンの際には是非とも来館したい所ですね。

 来年も沢山来館したい所です。

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― 新着の感想 ―
若い頃は近畿地方によく旅行に行ったのですが、最近はご無沙汰しています。行きたい。 万博も行きたかったのですが、暑かったのと、チケットが取れなかったこともあり見送りに。イタリア館へ行きたかったのよぉぉぉ…
近畿は遠くて博物館に足を運んだことが無いので、とても参考になりました。 博物館や美術館は刺激をもらえて良いですよね〜。 (*´ω`*)
すごいです! 思った以上に通っていた…… こんど東京に行くので、「国立科学博物館」に行ってみようかと思っているところなのです。タイムリーでした。
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