11:【受賞傾向分析】アイリスIF7大賞の結果を分析&考察してみた!
2025年12月1日。
アイリスIF7大賞の結果発表がありました。
というわけで、今回も気になった部分を簡単にデータ分析&考察してみました。
今回も数字がいっぱい出てくるし、まあまあ長くて大変なので、すぐに結論が知りたいという方は『まとめ』というところまで飛ばして見てくださいね。
ものすごく悲しい気持ちになるお話なので、心の準備をお願いします。
* * *
①受賞作品について。
(結果発表後の2025年12月1日時点の数値をもとに計算しています)
金賞1作品 銀賞5作品 アイリス特別賞1作品 ゼロサム賞9作品。
【前回:金賞1作品 銀賞6作品 アイリス特別賞1作品】(この「前回」というのは、2024年12月20日~2025年3月19日に開催されていた「アイリスIF6大賞」のことです)
・応募総数すべて(3717作品【前回:2874作品】)に対しての受賞率:0.4%【前回:0.3%】
・総合ポイントの平均:34649pt【前回:39325pt】
金・銀・アイリス特別賞:23652pt(最高52750pt 最低12366pt)
ゼロサム賞:43201pt(最高76774pt 最低21870pt)
・平均評価点の平均:8.8【前回:9.0】
金・銀・アイリス特別賞:9.0(最高9.2 最低8.4)
ゼロサム賞:8.7(最高9.2 最低8.4)
・流行ワードが入っている確率:75.0%【前回:25.0%】
金・銀・アイリス特別賞:71.4%
ゼロサム賞:77.8%
・完結率:87.5%(実質93.8%)【前回:100%】
金・銀・アイリス特別賞:71.4%(実質85.7%)
ゼロサム賞:100%
・連載時期の範囲:2021年11月8日~2025年9月17日【前回:2019.3.28~2025.5.26】
金・銀・アイリス特別賞:2022年6月5日~2025年9月17日
ゼロサム賞:2021年11月8日~2025年9月8日
・文字数の平均:61453字
金・銀・アイリス特別賞:121773字(最高338247字 最低35718字)【前回:170924字】
ゼロサム賞:14538字(最高25059字 最低6729字)
・総合ポイントによる受賞作品数の違い
10000pt以上:16作品(100%)【前回:8作品(100%)】
10000pt未満:0作品(0.0%)【前回:0作品(0.0%)】
②一次通過作品(36作品【前回:48作品】)について
・総合ポイントの平均:20122pt【前回:16240pt】
(最高63418pt 最低3672pt)
・平均評価点の平均:8.7【前回:8.6】
(最高9.4 最低8.2)
・流行ワードが入っている確率:55.6%【前回:64.5%】
・完結率:83.3%【前回:91.7%】
・文字数 10万字以上の長編:18作品 50.0%【前回:41.7%】
10万字未満:18作品(5万字未満が9作品) 50.0%【前回:58.3%】
③一次通過・受賞した作品について
・総合ポイント別の作品数
一次通過・受賞した52作品【前回:56作品】を、総合ポイント別に分けてみます。
0~99pt:0作品【前回:0作品】
100~999pt:0作品【前回:3作品】
1000~2999pt:0作品【前回:0作品】
3000~9999pt:3作品【前回:4作品】
10000pt~:49作品【前回:49作品】
・文字数での通過率の違い
一次通過・受賞した52作品を、文字数10万字以上と未満で分けてみます。
10万字以上:21作品(40.4%)【前回:56作品中27作品(48.2%)】
10万字未満:31作品(59.6%)【前回:56作品中29作品(51.8%)】
※5万字未満は19作品(36.5%)
④アイリスIF7大賞の結果分析&考察に関するQ&A。
Q.応募作品全体のポイント帯ってどんな感じだったの?
A.
0~99pt:55.9%【前回:50.4%】
100~999pt:21.2%【前回:21.4%】
1000~2999pt:7.3%【前回:9.2%】
3000~9999pt:7.6%【前回:8.5%】
10000pt~:7.2%【前回:7.1%】
(pt非公開などは計算できてません)
応募作品の92.8%は10000pt未満の作品でした。
さて、今回も10000ptより上か下かで作品を2つに分けて、簡単にですが通過率を計算してみます。
10000pt未満の作品・約3449作品のうち、一次通過・受賞したのは3作品。前回は通過率約0.3%あったのですが、なんと今回は0.1%。ひどいですね。
一方、10000pt以上の作品・約268作品のうち、一次通過・受賞したのは49作品。通過率は18.3%。第1回は約40%、第2回は約28.5%、第3回は約38.0%、第4回は約15.9%、第5回は24.2%、第6回は24.0%だったので、少し厳しかったのかも。
毎回のことですが、10000pt以上の作品と10000pt未満の作品の通過率の差はかなり激しいです。今回は約183倍の差がありました。前々回の約121倍(前回は約80倍)を軽く超えてきましたね。
アイリスはポイント重視の選考をやめる気は全くないみたいです。
Q.ポイントで足切りしてそう?
A.きちんと読んでもらえているのは10000pt以上のものだけだと思います。10000pt未満の作品は適当に目についたものを読んでいるだけですね。
3000~9999ptの作品が3作品一次通過しているのも、アイリスがいつもやっている「ポイント関係なく選んでいるアピール」です。10000pt未満のポイント帯を受賞させる気はないと思います。
Q.今回も内容が面白いものが通過してる?
A.今回の一次通過・受賞作品の平均評価点を見ると、8.5以下のものが52作品中14作品(26.9%)でした。ちなみに、前回は56作品中18作品(32.1%)。前回よりは面白いものを通過させようとした感じです。
今回は受賞作品・一次通過作品ともに8.0を超える作品ばかりになりました。評価点が8.0を下回る作品は面白くないことが非常に多いので、これは安心しました。
受賞作品の平均評価点は8.8。受賞作は面白いものを選ぼうとした感じがします。
Q.受賞するにはポイントがどれくらい必要なの?
A.10000pt以上は必要です。主な選考対象が10000pt以上の作品なので、ポイントが伸び悩んでいる作品はまず受賞できないと思われます。
Q.新しい作品の方がいいの?
A.今回は新しいものでなくてもよかったみたいです。ポイントさえあれば、あとはどうでもいい感じ。
Q.文字数はどのくらいがおすすめ?
A.文字数は、金・銀賞を狙うなら7万字~13万字くらいが良さそうです。完結している方が有利。
ゼロサム賞を狙うなら6000字~25000字がおすすめ。すべて短編から選ばれているようなので、たとえ同じ文字数であっても連載形式は不利っぽいです。
アイリス特別賞はなんとなくですが、20万字~40万字くらいの文字数多めの作品が受賞している気がします。
Q.ジャンルのおすすめは?
A.異世界恋愛。それ以外のジャンルで受賞するのはおそらく無理。
Q.流行ワード(『悪役令嬢』『婚約破棄』『乙女ゲーム』『ざまあ/ざまぁ』)が入っている作品が有利なの?
A.今回は75.0%が流行ものでした。前回(25.0%)と比べると、かなり流行ものが増えましたね。ただ、高ポイント帯は大体このくらいの割合(約7割)で流行ものが出てくるので、それを考慮すると有利とまでは言えないかも。ポイントがあれば、あとはどうでもいい感じ。
Q.今回の受賞作品でよかったことは?
A.ゼロサム賞が登場して、短編が受賞したこと。小説として書籍化するのではなく、コミカライズするというのもとても良いと思いました。短編を好む読者って忙しい人が多い気がするんですよね。だからこそ、パッと読めるコミカライズとの相性は抜群だと思います。小説のアンソロジーよりも絶対に需要がありそう。
Q.今回の受賞作品で気になることは?
A.10000pt以上の作品ばかりが受賞しているところ。
個人的には10000pt未満の応募作品の方が圧倒的に面白いことが多いので、ポイント重視の選考は本気でやめてほしいです。
そして、今回も大賞が出ていません。出す気がない賞は応募要項から消してもいいと思います。
あと、結果発表がなぜか今回だけ少し遅れましたね。期限はきちんと守ってほしかったです。
Q.アイリスは優秀な新人さんを発掘する気はある?
A.ないですね。
ポイント重視の選考がますますひどくなっているので、期待しない方がいいと思います。
Q.うさぎ妖精さんは今回の総評を読んでどう思ったの?
A.「個性にあふれ多岐にわたる物語が多く」と書いてありましたが、正直10000pt以上の作品は似たり寄ったりで、一般人からすると違いがわからないものばかりです。10000pt以上の作品ばかり読んでいるせいで、感覚がおかしくなっているのかなと心配になりました。独自性という言葉も納得できなかったです。
コミック原作向きのゼロサム賞についても、似たり寄ったりの短編が多すぎてわけがわからなくなって、とりあえず高ポイントの順でピックアップしていった感じがしました。
審査員さんには、そろそろ10000pt未満の優秀な作品を見つけ出せるように努力してもらいたいです。
Q.うさぎ妖精さんが読んで評価した作品で、受賞したものはある?
A.ないですね。
今回の受賞作品は、ランキングが好みに合わない人には本気でおすすめしません。恋愛要素たっぷりのお話が好きな人にもおすすめできないです。もし買うのなら、絶対に一度読んで確認してからにしてください。
Q.うさぎ妖精さんは受賞作品を読みたいと思った?
A.タイトルとあらすじから判断したのですが、正直「読みたくない」と思った作品が、受賞作品16作品中13作品もありました。「読んでもいいかな」と思ったのは3作品。「読みたい」「面白そう」と思う作品は残念ながら見つからなかったです。
実際にたくさんの作品を読んできた経験から言わせてもらうんですけど、タイトルとあらすじで「読みたくない」と思った作品は、実際に読んでも好みに合うことはなく、読んだことを後悔することが多いです。
ランキングが好みに合わない読者にとっては、本当に辛い結果となりました。
Q.うさぎ妖精さんが読んで評価した作品で、一次通過したものはある?
A.今回は1作品ありました。ただ、残念ながら途中で飽きて読むのをやめた作品なので、点数は出してません。
読むのをやめた理由はこちらになります。「目的がわからない」「異世界恋愛なのに、恋愛要素が感じられない」「メリハリがない」「単なる出来事の羅列」「キャラの魅力が薄い」「感情が揺さぶられない」「描写が丁寧すぎてストーリーの展開が遅く退屈」。
恋愛描写が上手くできていない作品は、異世界恋愛ジャンルにするのをやめてほしいです。
Q.そういえば、うさぎ妖精さんのお気に入り作品の結果はどうだったの?
A.今回うさぎ妖精が発掘したお気に入り作品は8作品。
ポイントが伸び悩んでいたので、アイリスでは不遇でしたね。うさぎ妖精のお気に入り作品は、ポイントさえあれば余裕で受賞できるレベルだったと思います。
* * *
『まとめ』
アイリスIF7大賞で受賞するにはどんな作品が有利だったのか、簡単にまとめておきます。
①異世界恋愛ジャンルの作品【前回と同じ程度 →】
②総合ポイント10000pt以上の作品【前回と同じ程度 →】
③完結作品【前回よりも下 ↓】
④平均評価点8.8以上の作品【前回よりも下 ↓】
⑤6000字~25000字の短編または7万字以上13万字以内の長編作品【NEW!】
重要視されていると思われる順番で並べてみました。
【アイリスIF7大賞の結果に関しての感想】
《良い点》
短編が受賞したこと。短編を好む読者は忙しい人が多い気がするので、パッと読めるコミカライズとの相性は抜群だと思います。小説のアンソロジーよりも需要がありそう。
《気になる点》
内容を無視してポイント重視の選考を続けているところ。毎回、大賞(賞金30万円)を出さないところ。
ランキング作品が好みに合わない人にとっては興味が引かれない受賞作品が多く、非常に残念でした。
《一言》
短編の受賞が復活したのは、とてもよかったと思います。
ただ、やっぱりポイントしか見てないんだなあという選考結果でガッカリしました。
良作を発掘できないのなら、わざわざコンテストをやる意味はないと思います。
以上。
アイリスIF7大賞の結果分析&考察でした。
何かひとつでも参考にしてもらえるところがあれば嬉しいです。
次回のアイリスは今まで通りのペースなら2025年12月20日~2026年3月19日に開催されると思います。
ただ、アイリスIF大賞はそろそろ終わってもおかしくないです。以前開催されていた『アイリスNEOファンタジー大賞』も第8回までだったようなので。
アイリスIF大賞での受賞を目指す作者さま、次回が最後かもしれません。
開催されたら、気合いを入れて挑んでくださいね。
アイリスIF7大賞に応募した作者のみなさま、本当にお疲れさまでした!
ところで、株式会社MUGENUP様とのタイアップコンテスト「第2回Ruhuna小説大賞」が開催されるみたいですね!
こちらのコンテストはアイリスと違って、審査員さんがしっかり読んで選考してくれているようです。ポイントも多少は考慮されますが、内容を重視してくれる、本当に素敵なコンテストです。
10000pt未満の作品は「第2回Ruhuna小説大賞」に応募するといいですよ!
私の活動報告(2025年11月19日)で、こっそりとアイリスIF7大賞のおすすめ作品を紹介しています。
https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/1678066/blogkey/3536357/
どれも文庫本1~2冊くらいの長さで完結しているので、とても読みやすいです。
ランキングが好みに合わないと感じている読者さまにおすすめ。
興味があれば、ぜひぜひ読んでみてくださいね♪




