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アプリ『異世界ポイント』で楽しいポイント生活 ~溜めたポイントは現実でお金や様々な特典に交換出来ます~  作者: よっしゃあっ!
第四章

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96.セイランのスキル


 とりあえず一旦、セイランにカードに戻ってもらった。

 見るとカードの絵柄が、目元に手を添えて「キラッ☆」って感じのポーズに代わっていた。

 ……夜空といい、そのポーズ流行ってんの?


『名前 晴嵐(セイラン) LV15

 種族 ハーフ・エルフ

 戦闘力 ☆☆☆

 スキル 偽装、逃走、色魔法(lock)、精霊魔法(第一段階)

 忠誠度 最良』


 忠誠度が最良になってる。早いな。小雨なんてまだ『高い』なのに。

 そして以前よりもレベルが上がり、『偽装』、『逃走』、『精霊魔法』の三つのスキルが使用可能になっていた。

 

(……これ、間違いなく終末の楽譜の影響だよな?)


 というか、それ以外考えられない。

 あの時のセイランは明らかにおかしかったし。


(終末の楽譜って終末の力を解放するって効果だったよな?)


 だとすれば、やはりセイランも終末世界と関係があるのだろう。

 その繋がりや理由はまだ分からないけど……。

 とりあえず今はスキルの確認だな。

『精霊魔法』の後ろにある第一段階ってのはなんだろうか?

 初めて見る項目だ。


・偽装 アクティブ

 自分の姿を変えられる

 但し、極端にサイズの違う姿にはなれない

 CT60秒


・逃走 パッシブ

 逃走時における敏捷上昇(+30%)


・精霊魔法(第一段階)

 物体に宿る精霊を召喚する

 CT60秒


「……物体に宿る精霊?」


 どういうことだろう?

 他の二つのスキル――偽装と逃走は説明で分かったが、精霊魔法に関しては実際に使ってみないと詳細は分からないな。

 セイランをカードから戻す。


「……つれてってくれるよね?」


 セイランはじっとこちらを見つめてくる。


「……駄目だ」

「!」


 がーんとセイランの表情が一気に暗くなる。

 雷蔵や夜空たちも「えぇ!?」って表情になる。

 ……お前ら、そっちの味方かい。


「うぅ……りゅーぅ……」


 セイランも目じりに涙を浮かべる。


「話は最後まで聞けって。まずは装備を整えて、スキルを検証してからだ。じゃないと危ないだろ? それが終わったら……連れてってやるから」

「……! うんっ」


 一転、花の咲いたような笑みを浮かべる。

 雷蔵たちも「やったー」と大喜びである。

 おかしいなー、セイランの奴、俺より慕われてない?


(まあ、待機室のおかげで、事前にスキルが検証できるようになったからな)


 以前なら、ストーリーなりデイリーなりに挑んで、そこでぶっつけでスキルを試すしかなかった。

 でも今は訓練所がある。

 俺も新しく獲得したスキルを試そう。


「えーっと、セイランの装備は……どんな武器がいいか……」

「りゅーぅとおんなじのがいい!」

「俺と?」

「うんっ」

「……それは駄目だ」

「なんで?」

「俺と同じ装備だと変態装備になるだろ」

「じゃあ、へんたいがいい!」


 キラキラした目で言うな!


「絶対に駄目!」


 俺だけならまだしも、セイランにそんな恰好させるなんてとんでもない。

 パン一に乳首シールだぞ? 女の子にそんな恰好、絶対にいけません。


「う~……」

「セイランにはセイランに合う装備を見繕うから。な?」

「……わかった」


 こんな変態装備のどこがいいんだよ、まったく。

 俺はショップのリストから、セイランに合いそうな武器をチョイスする。


「あ、これなんていいんじゃないかな」


・シルバーバレット

 攻撃+12、防御+5

 女性のみ装備可能

 銃弾に『浄化』もしくは『不運』を付与可能


 俺のファントムバレットに似た効果だが、こっちの方は浄化か不運のどちらかを選択して付与できるようだ。

 攻撃値は低いが、有用な装備だな。

 

「……まるでセイランのために用意されたような武器だな」


 というか、確実にそうだ。

 俺の変態装備といい、ポイント交換やショップには、その時々で必要になる装備が入荷している。

 というわけで、シルバーバレットを購入。

 それと防具をいくつか見繕う。


「わぁー♪ りゅーぅ、ありがとうっ」

「ウガォウ♪」

「ウキキッ♪」


 セイランは自分の身に着けた装備に、嬉しそうに体を弾ませる。

 雷蔵や夜空も「うんうん、似合ってる」とご機嫌だ。


「それじゃあ、スキルの検証だ」

「うんっ」


 訓練所で、セイランに『精霊魔法』を使用してもらう。


「――せーれーまほー!」


 セイランの声と共に、シルバーバレットから、銀色の精霊が出現した。

 親指くらいの人型で背中に小さな羽が生えている。妖精っぽい見た目だ。

 精霊はセイランになにかを耳打ちすると消える。


「えいっ」


 セイランがシルバーバレッドの引き金を引く。

 銃弾は的から大きく軌道を外れたが、次の瞬間驚くべき変化を見せた。

 弾の軌道が大きく曲がったのだ。

 そのまま用意していた的のど真ん中を撃ち抜く。


「わぁ、あたったっ!」

「これは……まさか弾が自分で軌道を変えたのか?」


 物に宿る精霊を召喚する、か。

 先ほど現れたのは、シルバーバレットに宿る精霊だったってことだな。


「こりゃまたとんでもないスキルだな……」


 セイランの腕が未熟であっても、その武器がセイランの意思に呼応して、最適の結果をもたらしてくれる。

 これはかなり強力なスキルだ。

 俺のスキルとの相性もいい。

 それに第一段階ってことはまだ成長性があるってことだ。


「こりゃ確かに大したもんだ」

「りゅーぅ、あたしすごい?」

「ああ、凄いよ。これからみんなと一緒に頑張ろうな?」

「うんっ」


 というわけで、セイランのパーティー入りが決定した。

 その後、俺のスキルも検証し、雷蔵たちと陣形やスキルの組み合わせも試した。


「んじゃ、前置きが長くなったがデイリークエストに挑戦すっか」

「うんっ」


『デイリークエストを開始します』


『デイリークエスト 討伐

 クリア条件 モンスターを全滅させる

 成功報酬 ポイント+10、ランダム装備品』


 今度こそイエスを選択。

 体が白い光に包まれた。




 視界が晴れると、目の前に広がっていたのは静かな廃墟だった。

 といっても、終末世界のような現代風じゃなく、中世ヨーロッパ風の石造りの建物だ。いかにもゲームのフィールドでありそうな感じだ。


「昨日とフィールドが違うのか……」


 昨日のフィールドは湿地帯だった。

 土曜日の採取クエストは森林、日曜のボスクエストは闘技場だったし、ひょっとしてデイリークエストって曜日ごとにフィールドが変わる設定なのか?

 それはそれで面白そうだ。

 さっそく雷蔵たちを呼び出すと、前方からモンスターが現れた。


「ブヒヒ……」


 でっぷりとした体躯に豚の頭。

 手には石で出来た斧を握りしめている。


『モンスター図鑑が更新されました』


『モンスター図鑑№18 オーク

 アルタナ全域に生息する人型のモンスター

 嗅覚に優れ、人並外れた怪力を誇る

 肉質は脂が乗って旨味が強く、部位によっては高級食材

 特に睾丸は精力剤として希少性が高い

 討伐推奨LV9』


「……オークか」


 ゴブリンと並ぶメジャーなモンスターだな。

 てか前半の説明はともかく、後半よ。

 あれ、食べるの?

 あと睾丸って……。いや、確かに現実でも食材か。

 フグの白子とか普通に高級食材だもんな……。

 鶏とか豚の睾丸も普通に食えるんだったっけ?

 海外だと割とメジャーな食材だった気がする


「まあ、ともかく今の俺たちの敵じゃないな」


 俺はさっそく『ソウルイーター』を構えると、オークに接近。

 一気に首を刎ねる。


『経験値を獲得しました』

『ソウルイーターが魂を吸収します』

『現在のストック数は19』

『攻撃補正は+0.1%』

『使用可能なスキルはありません』


 まだまだストックが足りないか。


「ブモォォ」

「ブーゥ」

「プギゥー」


 すると更に三体、オークが出現する。


「皆、今回はサポートを頼む。止めは俺に譲ってくれ」

「ウガォゥ!」

「きゅー!」

「ウッキィ!」

「うんっ」

『ボー』


 その後、俺たちは次々と現れるオーク、ゴブリン、シャドウ・スネイクを倒していった。

 そして十五体を倒したところでアナウンスが鳴った。


『おめでとうございます。デイリークエストをクリアしました』


 昨日と同じで討伐クエストは十五体で打ち止めのようだ。

 ソウルイーターに十五体分の魂をストックすることが出来た。


『ソウルイーター

 現在のストック数33

 攻撃補正+0.3%

 使用可能なスキル 魂魄斬り(消費ストック10)』


 攻撃補正は10体ごとに0.1%のようだな。

 最大で20%だったはずだから、ストックは二千体ってことか。

 魂魄斬りってスキルも使えるようになったし、次の周回で試してみよう。



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シルバーバレットの精霊さんが、徐々に奇妙な鉄砲玉スタンド野郎たちじゃなくて良かった!
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