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異世界に転生した僕は、チートな魔法の杖で楽しい冒険者ライフを始めました!  作者: 月ノ宮マクラ


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068・注文

 グランビット装備店の店主に、僕らも自己紹介した。


 そして、来店の理由も告げる。


「ほお? 新しい防具かい?」


「うん」


「なるほど。確かに、武器に対して防具が弱いようだしね。いい判断じゃないか」


 アライアさんは頷いた。


 とりあえず、予算は1人150万円。


 ただ1人1人の金額は均一じゃなくていいので、前衛2人の防具を重視して欲しいと注文も付けた。


 彼女は、そうした内容をメモしてくれる。


 それから、


「じゃあ、ちょっと採寸しようか」


 と、僕らの体格を確認する。


 メジャーで測り、その数字もメモしていく。


 それ以外にも、実際に手で僕らの身体の各部を触ったり、手足の曲げ伸ばしをさせて可動域を確認したりしていた。


 1人30分ぐらい。


 結構、時間をかけるんだね?


 と、表情に出ていたのか、


「これが1番重要な所さ。素材や技術は、そのあとのおまけみたいなもんだよ」


 と、笑う。


(ふぅん?)


 やっぱり職人っぽい。


「あと、ニホだっけ」


「ん?」


「お前さんは成長期だ。今後、成長しても使えるよう、サイズ変更できるよう工夫しておくよ」


「わ、ありがとう。お願いします」


「あぁ、任せておきな」 


 彼女は、頼もしく頷いてくれた。


(うん)


 こういう職人さんって大好き。


 それ以外にも、アシーリャさん、カーマインさんの動き易さ重視の要望や、フランフランさんの弓の動きの邪魔にならない構造なども考えてくれた。


 設計図を描き、初期案は3日後に完成予定。


 つまり、3日後に改めて確認して、そこで僕らがGOサインを出したら作成開始だ。


 そこから完成は、10日。


 合計13日である。


(うん、滞在の予定範囲内だね)


 それには安心だ。


 ただ、防具の素材に関しては、これから僕らが集めなければいけない。


 期日は、3日間。


 アライアさんは、そこを心配していた。


「できるのかい?」


「おう、任せな」


 赤毛の獣人青年は、自信満々に頷いた。


 そして、


 ポン


 僕の頭に手を置く。


「コイツの魔法なら、な」


「ほう?」


「『太陽の恵みの花』も『ミスリル銀の結晶体』も、ニホが発見したんだぜ。防具の素材だって余裕さ。――な、ニホ?」


「あ、うん」


 僕は、頷いた。


 多分、大丈夫だと思う。


 彼の言葉に、アライアさんも「そうなのかい?」と驚いていた。


 その視線に、少し照れる。


 その後、防具作成に必要な鉱石の種類と量を教えてもらった。 


 赤色鉄鉱石。


 アダマン鋼石。


 研磨石。


 魔力結晶石。


 ミスリル銀鉱石。


 この5種類だ。


 量も、合計で100キロ近い。


(結構、大変だぞ)


 改めて言われて、僕は、ようやく実感してきた。


 カーマインさんは、


「ニホなら大丈夫さ」


 パシン


 と、背中を叩かれた。


 イタタッ。


 でも、うん、


(まずは、やれるだけやってみようかな)


 失敗してもいい。


 その時は、その時だ。


 彼の明るい笑顔を見ていたら、そう思えた。


 僕は頷いて、


「ん、がんばる」


「おう、その意気だぜ」


 彼も、ニッと笑った。


 フランフランさんも微笑んで「が、がんばりましょう」と両手を握っていた。


 アシーリャさんも、


「重いのは……持ち、ます」


 と、言ってくれた。


 杖君も、


 ピカン


 明るく輝く。


 うん……仲間がいるって頼もしいな。


 僕も笑ってしまう。


 そんな僕らに、アライアさんは優しい顔をしていた。


「レオナたちを思い出すよ」


「……男爵様?」


「あぁ。当時は、アタシもあの子も駆け出しでね」


「…………」


「新人鍛冶師だったアタシの初めての客が、冒険者に成り立てのレオナたちだったんだよ」


「へぇ……?」


 そうだったんだね。


 彼女は、とてもしみじみしている。


 となると、ギルド受付嬢のマーレンさんとも顔馴染みなのかな? 


 彼女は「そうだよ」と頷いた。


「あいつは、弓使いだったね」


「へぇ」


 そうなんだ?


 同じ弓使いのフランフランさんも興味深そうな顔。


 アライアさんは、紹介状を見る。


 苦笑して、


「しっかし、あの跳ねっ返り娘が男爵になるんだから、本当、出世したもんだね」


 と、楽しそうに呟いた。


 …………。


 何となく、彼女たちの年月を感じるね。


 心が少し温かい。


 やがて、彼女は表情を改めて、


「鉱石集めのダンジョン入場は『冒険者ギルド』か『鍛冶ギルド』の許可がいるんだ。それは、アタシの方から『鍛冶ギルド』の方に申請しておくよ」


「あ、うん」


「多分、明日の朝には許可が出る」


「うん」


 じゃあ、素材集めは、明日の朝からだね。


 僕らは、頷いた。


「ロックドウムには、北東、北西、南東、南西の4箇所に採掘用ダンジョンがあるんだ」


「そうなんだ?」


「あぁ。北東ダンジョンでは、赤色鉄鉱石、アダマン鋼石、研磨石が見つかり易い」


「うん」


「南東では、魔力結晶」


「ふむふむ」


「ミスリル銀は、南西ダンジョンだけど……見つかることは滅多にない」


「…………」


「最後は、運次第だね」


 そっか。


「うん、わかった」


 僕は頷いた。


 他の3人は、 


「ニホの魔法なら、大丈夫さ」


「は、い」


「ええ、きっと」


 なんて、少し楽観的に言う。


 信頼されてるってことなのかなぁ……?


 僕は苦笑。


 でも、その明るさが頼もしくて心地好い。


 ピカン


 右手で握る杖君も光った。


(うん、がんばるよ)


 僕は笑った。


 そんな感じで、グランビット装備店での話は終わった。


 …………。


 そのあとは、宿屋に帰った。


 食事とお風呂を楽しみ、4人で会話を弾ませ、やがて、就寝した。


 そして、翌朝。


 無事に鍛冶ギルドから、ダンジョンの入場許可が出た。


 アライアさんに、許可証をもらう。


「気をつけて行くんだよ」


「うん!」


 僕らは、元気に頷いた。


 そして、


「じゃあ、行こっか」


「おう!」


「は、い」


「い、行きましょう、ニホ君」


 僕の言葉に、3人も頷いた。


 そして、僕らは鉱山の町ロックドウムにある『北東ダンジョン』へと向かったんだ。

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