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鈍感系主人公(ヒロイン)

今回から視点が誠に戻ります

「え?」


え?

俺の言葉に美鈴は意味不明と言った表情をする。

そして俺はそっくりそのまま同じ顔をしていた。


沈黙が続く。




え?


ちょっと待て、冗談のつもりじゃないのか?

今生徒会長との大体の関係性を話してもらったが……好きな人が分からないって?

マジで言ってる?週刊連載特有の引き延ばしの犠牲になる鈍感系主人公かお前は。




「一回会長の好きな人の条件整理しようぜ……そしたら分かると思う」


一先ずそう提案する。


まぁ、色々考えすぎて少し見落としているだけのかもしれない。


改めて精査したらすぐに美鈴も気付くだろう。



美鈴は腑に落ちないといった顔をしながら条件を思い返していく。



「えっと……先輩の好きな人は幼馴染が好き」


「お前じゃん」


「幼馴染は御子柴先輩よりかは顔と頭は良くない」


「それは俺じゃん」


「……先輩は好きな人に積極的にアプローチを仕掛けてるけど見込みは薄い」


「お前じゃん」


「……?」



え?

何?何でまだどういうこと?って顔してんの?

少なくとも今の流れで納得できない部分ないだろ。

普段めちゃくちゃ飲み込み早いはずなのに……!



「……一つ目はいいとして、二つ目は納得できないよ」


美鈴はきっぱりとそう告げる。




二つ目……?言われて俺は条件を思い返す。



幼馴染、つまり俺は会長より顔も頭も悪い。



いや納得する要素しかない気がする。

比べてみてみれば一目瞭然だ。控えめに言っても薔薇と雑草くらいの差はあるだろ。



「百歩譲って頭脳面はともかく、顔は絶対誠くんの方がいいよ」


不満げに頬を膨らませながら美鈴は言う。

俺は思わず大きくため息を吐いてしまった。



無論それは幼馴染フィルターがかかってるからだ。

恋は盲目とは全くよく言ったものである。



客観的に見たら100%会長が優れている。

少なくとも公平な美醜の判断は美鈴にはできない。



……いや、顔の判断基準が人それぞれである以上そもそも公平な基準などないのかもしれないが。





「少なくとも俺からしたら8万倍くらい上行かれてる自信あるぞ」


「えー……ていうか、それはまだしもアプローチなんて私された覚え全くないけど」


「16回昼飯誘われてんじゃん!何故それをアプローチだと認識できない!?」


「えぁ……いや、あーでも…えっと」



呆れながらも俺は美鈴に言い聞かせていく。



そう言われればそうかもしれない。そんな美鈴の心情が顔から伝わってくる。


よし、現時点では何とか俺のペースで話を進められているぞ。

このままごり押しで説き伏せるのが一番早い。




言うまでもないが話が少しずれてきているのは気のせいではない。




一応補足しておくと、元は消しゴムを寄越したのが生徒会長かどうかって話だ。


現時点では普通にありえそうって感じで進んでいる。


最悪の想定として俺たちに付きまとっていた、とかいう説もあったがそれは杞憂に終わりそうだ。



だが、手放しに安心していいわけではないのも事実。


具体的な理由を問いたださないことには結論は出せない。




しかしそんな事は今の俺の頭には無かった。

すっかり美鈴との大激論(?)に夢中になっていたからだ。




「…ていうか私と御子柴先輩じゃ女の子同士じゃない?」




「それは……!…………それは、まぁそうだな」



言われてみればそうだ。

確かに性別の事を考えてみれば違和感が残る。

まぁ人にはいろいろな事情があるため一概には語れないが……


しかし、それでもここまで一致していては偶然で片づけるのも難しい。

一歩引いた姿勢で俺は美鈴に聞いてみる。



「でも、お前以外にそんなピンポイントな条件当てはまる人間居るのか?」


「……少なくとも今の時点では分からないけど」


「だろ?」


「生島くん、良かったら一旦水でもどうだい?桜とずっと話してて喉も乾いてるだろ?」


「あ、どうも」



その言葉で思い出す。そうだ、さっきからめちゃくちゃ喉が渇いてたんだった。

話がヒートアップして自販機に行くタイミングを見失っていたがこれはありがたい。

俺は手渡されたペットボトルの水を一気に飲み干す。


カラカラの喉に冷たい水が潤いを与えてくれる。

何だかんだで、喉が渇いたときに一番旨いのはやはり水だ。



それにしても絶妙なタイミングで水分をくれたものである。おかげで気分が爽快だ。


「ありがとうございます」


俺は感謝を伝えるため生徒会長に向かって頭を下げる。










「……え?」




「御子柴先輩…?」



頭を上げたところで違和感にようやく気付く。





俺に水を渡したのは生徒会長だ。


いつの間にか俺たちのすぐ隣まで居る。



何で?どのタイミングで?どこまで聞いてた?


今の俺たちには何一つ分からない。



生徒会長はにっこりと笑って、いつもと変わりない綺麗な声で俺たちに問う。

だが、異様なほどの圧力を感じる。不思議と目も笑っていないように見えた。



「もう放課後も大分過ぎてるんだけど……二人とも、何かまだ学校に用事でもあるのかな?」

タグのヤンデレが美鈴だけとは誰も言ってない……あれ、多分言ってないですよね?

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