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プロローグ
「なんで出来損ないで失敗作のテメェがっ……俺様に歯向かってんだよっ!!」
「……うっ!!」
鳩尾に強烈なボディーブローが入り僕は腹を抑えながらその場に倒れ込み、肺が酸素を求めているのか一瞬止まった呼吸を循環させる為に咳き込む。
「ホント……、なんでお前がこんなトコに来てんだよっ!!」
髪を紫に染めた短髪の男が僕の顔目掛けてローキックを放つ。
「なっ!!」
僕はその蹴りを顔に当たるギリギリの所で掴み取る。
「なんで……決まってるだろ?」
僕はそう言って男の足を掴んだまま立ち上がる。
「友達を……助けに来たんだっ!!」
この言葉に目を大きく見開く男。
僕は考える。
君と昔から助け合えていればこんな未来にならなかったんじゃないかと……。
僕の頭の中でここまでに至った経緯が走馬灯のように蘇る。
そう、僕とかつての友達である赤髪で顔にヒョウ柄のタトゥーを入れた男……東堂歩と桜が満開の時期に再会したあの時を――。




