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僕のモノクロだった世界が君に出会ってから色付き始める  作者: 高橋裕司
第四章 確かに僕は
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か、可愛いよっ

 山岸さんと話を終えて電話を切る。そしてすぐに僕は着信履歴を当たり前のように開き、さっき掛けた電話番号を見る。


 これが山岸さんの電話番号……。6ヶ月も一緒だったというのに、今になってやっと彼女の電話番号を知るだなんて。こ、これ……、登録しちゃっても良いの、かな?


 いや良いんだよな……? だって僕と山岸さんは友達な訳だし。全く知らない人間だったら登録するべきじゃないと思うけど。


「それで集……。山岸はなんだって」


 僕が登録するかしないかで悩んでいると、天道が声を掛けてくる。


「あ、うん……。後10分くらいに着くって」


「そうか……。それで()()()()()は登録したのか」


「ぶっ!?」僕は天道の言葉に吹き出す。


「ばっ、きたねっ!!」


 天道は吹き出した僕の唾を慌てて避ける。


「はぁ、その様子だとまだ登録してないみたいだな」


 呆れ顔で言う天道に、僕は肩を落とす。


「だって、勝手に登録する訳にはいかないよ」


 山岸さんが嫌がるかもしれないし……。


 天道は僕を真っ直ぐに見つめてから


「ならさっき電話してて山岸は嫌がってたか?」


「それは……」


 ないと思う。電話越しだったけど彼女の声は弾んでいた。


「ならそれが答えだ。多分、山岸も集……お前の電話番号を登録してると思うぞ?」


 そうなのかな……? 僕は自分に自信を持てない。そんな自分が時折嫌になるけど。


「そういう事だから……さっさと登録しろ」


 半ば強引に天道に山岸さんの電話番号を登録される。僕は電話帳を開きヤ行にカーソルを合わせる。元々僕のスマホに登録されているのは家族と学校の連絡先だけなので、ヤ行のトップに山岸奏という文字が出る。それを見て僕は自然と緩む口元に気付き手で覆い隠す。


 いけないいけない。たかが電話番号くらいでこんな喜ぶなんて……。


「さてと……。じゃあこの場にいる全員と電話番号交換な。集」


 笑顔で言う天道に僕は目を丸くする。


「え?」


「え? じゃねぇよ。この前風邪で休んだ時とか……普通に心配したしよ」


 その言葉に近くにいた万丈と本城さんが頷く。


「そうだぜ、集……。オレは朝から学校にいなかったけど、行ったらお前が休んで皐月が見舞いに行って……、悔しいったらねぇよっ」


 何に対して悔しいのかはよく分からないけど……。そうか、僕は沢山の人に迷惑を掛けていたのか。


「……ゴメン」


「別に俺は謝って欲しい訳じゃない。それはここにいる亜希子も万丈も同じだ……だろ?」


 天道が確認を取ると二人は頷く。


「だって〜、ボチ崎と私はもう……マブダチっしょ」


「オレと集は親友だから……連絡ねえと寂しいよ」


 二人とも……。僕は頷く。


「そうだね。よし、じゃあ……連絡先を交換しようっ」


 こうして山岸さん達を待ってる間、僕の連絡帳に今日だけで4人の名前と電話番号が登録される。


 天道達と仲良く喋って待つこと15分……。


「ご、ごめ〜んっ」


 山岸さんの謝罪の声が聞こえそちらへ目を向けると僕はその姿に息を呑む。


 上はピンクのトップスにその下に白いシャツが見える。下は紺のパンツで露出は少なめだけど、僕の目には凄くキレイに見えた。


「ど、どう……かな?」


 まじまじと見る僕に耐えられなくなったのか、顔を真っ赤にさせながら少し屈むようにすると僕の目線より少し下の所から上目遣いで聞いてくる。


「……っ」 


 こ、ここで上目遣いとかズルい。それに心なしか山岸さんの目が潤んでるように見える。


「……か、可愛いよっ」


 僕は彼女から顔を背けながら言う。すると……。


「良かった〜っ」


 そう言うと山岸さんは僕の身体をギュッと強く抱きしめてくる。突然の事に驚き止めさせようとするけど、彼女の満面の笑みを見て思い留まる。


 まぁクリスマスだし、今日ぐらいはいいかな。と暗い空を見上げながら僕はそう思った――。

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