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僕のモノクロだった世界が君に出会ってから色付き始める  作者: 高橋裕司
第七章 オレの王子様なんだって
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で、出たああぁぁ〜〜っっ!!

「怖くない怖くない怖くないっ」


「いやそれなら、僕の腕から離れてくれない?」


 祠に向けて僕と万丈は歩いているけど蝉やフクロウの鳴き声が怖いのか、万丈は僕の腕に抱きつき身体を腕に押し付けている。怖いからそうしてるのは伝わったけど出来ればそろそろ離れてほしい。高校生男子にとってこの状態は辛い。


「ごめん……それは出来ない」


 え〜〜、それ十分怖がってるってことだよね?

 

「とにかく、そろそろ祠が見えてきても良いんじゃないかな?」


 あれから大分奥の方に進んだわけだし。そう思って前方に目を凝らしていると小さな祠が見えてきた。祠に辿り着くと僕達はお祈りをする。そういえば、ここにはなんの神が祀られているんだろうか? 後で奏さんに聞いてみよう。

 お祈りを終え僕達は立て札に『出口→』と書かれた方向に歩き出す。なんだかぐるっと回る形になってるけど、まぁ立て札にそう書いてあるんだから問題ない、よな?


「後は戻るだけだし、良かったね万丈?」


 僕は隣で今も尚しがみついてくる万丈に目を向ける。


「あ、あぁ。べ、別に怖くなんか……」


「はいはい。怖がってなんかないもんね」


 僕は呆れ口調で言い放つ。


「なんだよ〜、集の癖にっ!!」


「痛〜〜〜ッッッ!!!」


 頭を思い切り万丈に殴られる。

 おいおい、今一瞬三途の川が見えたぞっ!! やめてやめてっ、こんな所で死にたくないから。


「フン、馬鹿にしたお前が悪い」


 いやいや、馬鹿にした覚えなんてないんですけどっ。


「なら、とっとと行こうよ」


 僕はそう言って歩き出す。

 後ろから万丈の足音が聞こえてくる。


「おい集……、なんか後ろから足音が聞こえんだけど?」


「え?」


 僕はそう言われて立ち止まり耳を澄ます。確かに足音が聞こえる。でも2番目のグループがここまで来るには早すぎるしなにより……。


「1人だけ……みたいだな?」


 足音は1人だけしか聞こえなかった。

 次来るのは天道と本城さんだから1人だけというのはおかしい。


「な、なぁアレ」


 万丈が震えた手つきでとある方向に指をさす。

 その方向へと目を向けると強い光がこちらに向かって差している。


「幽霊っ!?」


「そんな訳無いだろ」


 僕は呆れながらその光を眺める。

 おそらくここの管理人かなにかだろう。そう思ってみていたら人影らしきものが見えてくる。


「ほら幽霊なんかじゃ」


 ないだろと言おうとした所で僕は止まる。 

 その人影は40代くらいの男のものだった。そこまではいい、問題は……その男が()()()だという事だ。


「ヒッ……で、出たああぁぁ〜〜っっ!!」


 万丈がそう叫ぶと走り出す。僕も慌てて彼女の後に付いていく。

 なんなんだよアイツ。ここの関係者なのか、どう考えてもそれあり得なさそうなんだけど。

 僕達はひたすらに出口に向けて走る。さっき見えた血塗れの男から逃れる為に――。

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