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プロローグ
「ずっとオレはお前のことが好きだったよ……」
その言葉と同時に遠くで天高く打ち上げられた花火が轟音と共に花開く。その光が彼女……万丈皐月の銀髪を明るく照らし出す。彼女の着ている赤い浴衣も艶かしく光り輝く。
僕はその言葉を聞いて息を止める。なんで……? 僕なんかより良い人なんて沢山いるだろうに。
「ぼ、僕は……」
なんとか言葉にした僕の声は震えている。我ながらみっともないなって思う。
思えばいつだってそうだ。僕はいつだって周りの人間に助けられてばかりだ。たとえ自分が自覚していなくても誰かが知らず知らずのうちに助けてくれている。
僕は緊張する中この日に至るまでの事に思いを馳せる――。




