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僕のモノクロだった世界が君に出会ってから色付き始める  作者: 高橋裕司
第六章 これから変われるよ
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ご飯食べに行かない?

「……どういうことよっ!?」


 午前の授業が終わり僕はご飯を食べに行こうとした所目の前に櫻井さんが現れ机の上を、バンッと叩きながら叫ぶ。

 僕は若干白けた気分になる。

 今日はなに……。僕突っかかられるの2度目なんだけど。そろそろ僕のキャパシティオーバーですよっ!?


「櫻井〜っ、お前そろそろウザいよ〜っ」


 ニコニコと笑いながら本城さんが僕達の元に来ると僕の右肩に後ろから手を回して置く。


「ボチ崎からかうのも虐めんのも、許されてんのウチラだけだから」


 ちょっとっ、真面目な顔と声音で良い事言ってるように聞こえるけど……。僕1回も許したつもり無いよっ!!


「……っ」


 櫻井さんは悔しそうな顔を僕達に向けた後自分の席へと帰っていく。


「ふぅ、ありがとう本城さん」


「…………」


 僕が礼を言ったのに本城さんは唖然とした表情で見つめてくる。


「ど、どうしたの?」


「いや、ボチ崎に礼言われたの初めてだなと思って〜っ。つうか、礼言えたんだね〜っ」


「っ……もう知らないっ!!」


 僕はそう言って歩き出す。

 後ろでは本城さんを咎める天道の声と楽しそうに笑う本城さんの笑い声が聞こえた。

 僕はそのまま中庭へと向かった。

 

「……いるかな?」


 僕は中庭全体を見回す。川崎さんを探す為だ。

 見回していたら僕はピタッと視線が留まる。


「見つけた」


 川崎さんは前回と場所の違うベンチで1人黙々と食べていた。僕はそのベンチに向けて足を進める。

 足音で気付いたのだろう。彼がこちらへ視線を向ける。


「こんにちは……隣、良いかな?」


 僕が問いかけると彼はコクリと頷き横にずれる。


「……ありがとう」


 僕はそう言って彼が空けてくれた場所にゆっくりと腰掛ける。そしてお互い無言で食べた後……。


「木下さん、復帰したよ」


 と僕は呟くように言う。

 そう。今回僕が来たのは2つの理由がある。その内の1つがこれだ。


「……そう、ですか」


 川崎さんはただそれだけ言って再びご飯を食べ出す。僕はそんな彼を見つめる。なにか切っ掛けがあれば立ち直れると思うんだけどな。

 こんな事今まで考えた事もなかったな……。他人に干渉してでも誰かを自分から進んで助けてあげたいなんて。


「ねぇ」


 去年だったら考えられない。

 それだけ僕が奏さんに影響を受けてるって事なんだろうな。 

 僕は川崎さんに声を掛けて


「放課後……ご飯食べに行かない?」


 と言った。

 その言葉に彼は目を見開く。


「……は?」


「いやもっと川崎さんの事が知りたいなと思って……ダメかな?」


 僕がそう尋ねると彼は顔を伏せる。

 前髪が長いせいで今どんな顔をしているのか分からない。


「別に、いいけど……」


 僕はその言葉を聞いて微笑む。


「じゃあまた、放課後にねっ」


 僕はそう言うと立ち上がって歩き出す。

 よし、僕が木下さんと川崎さんの仲……。上手い事取り持ってみよう。


 そんな第3者から見れば完全なお節介な事を考えながら僕は教室に向けて歩いていた――。

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